私たちの仕事はいい仕事?

先日、オフィスギネコロジストの会、いわゆるビル開業の産婦人科医の集まりがありました。いつも三人が情報提供をします。自分が読んだ中の面白かった本の紹介をしたり、趣味の尺八の話だったり。この度も、お一人の先生が家族でアメリカに行った話、それも飛行機はビジネスクラスを利用された話等をされ、うらやましいことでした。

その後の雑談で、いつものようにいつまで仕事を続けるかの話になりました。私は、二番目の年寄りです。一番の先生は、いまも週一回、ゴルフに行ったり、冬はスキーに行ったりで体を鍛えているのだと。私より少し年下の先生は、診療を午後4時までにして、のんびりしているのだと。するとやっぱり赤字になったそうですが、ストレスがほとんどなくなったと。

すると、一人のドクターが、それにしても、いい仕事ですよねえと言いました。人にありがとうございましたと感謝の言葉を言われて、お金までもらえるのだからと。ああ、この人はなんと幸せな仕事ばかりしているのかと思いました。私は言いました。

「それはちがうよ。責任ある厳しい仕事をしているんよ。1000人に感謝されてもね、一人、たった一人に、おまえ、何しとったんやて言われたら、それは苦しいものよ。そういう厳しい仕事をしているのよ。」と。

それと、つくづく思うのです。私たちの仕事は、ボランティアだと。その意識が無いとやっていけないと。

先週のある日は、夜中までかかって警察の供述書を作り、一昨日は日曜日でしたが、夜遅くまで緊急の診療をし、昨日は、ある事件のことで診療後検察庁に行き事情聴取・・。もう一度行くことになりました。

それでも、それらに生きがいを感じるからこそできることであって。とても「お金」では、換算できることではありません。

「いい仕事ですよねえ」と言った先生に、トラブルが発生しません様に・・。

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性暴力救援センター全国連絡会研修会・続

昨日は、午前中性暴力救援センター連絡協議会の医師部会で研修をして、午後の全体会に出ないで帰りました。後ろ髪をひかれる思いでしたが・・。とくに、午後、弁護士部会での話を聞きたかったのですが。

タクシーで新大阪に直行、直ぐに新幹線に乗って、そのままクリニックに行きました。

医師部会では、全国のワンストップセンターの状況を聴くことができました。各自治体によっていろいと対応が異なるということもよく分かりました。とくに、被害を警察に訴えるか否かで受診料が異なったりするというのは、びっくりしました。警察に言えない被害者の方たちをも救済するのがワンストップセンターの役目でもあります。

それから、行政からの補助金についても、補助金なしで頑張っている所はすごいと思います。が、これは内閣府の問題でしょう。もっと自治体に指導があってもいいはずです。お金のない中で皆さんが頑張っているということもよく分かりました。

 それにしても、いち早く性暴力の被害者救済をしながら、全国連絡会をも組織し、このような研修会を続けてこられた阪南中央病院の加藤治子先生、素晴らしいです。おかげ様でとても役に立つ研修を受けることができました。本当にありがとうございました。

これは、前夜の医師部会でのお弁当です。これを頂きながらの研修でした。私は、大阪に来る新幹線の中で昼ご飯にと思っていたパンを一つ食べたので、後でホテルに入って頂きました。

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淡路島の食材でのお弁当。とてもおいしくて。こんなお弁当の手配までして下さったスタッフの皆様の心使いに感謝します。本当にありがとうございました。今回学んだことを活かして、さらに被害者の方たちの救済に努めたいと思います。

それにしても、このような活動は、ひたすらボランティア意識が無いとやっていけないということが良く分かりました。診察だけでなく、診断書、意見書、供述書などを書く労力等は大変なものですし、それに対しての労働としていの対価はほとんどありません。

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月経等の出血はできるだけ無い方がいい。

9月18日の水曜日に、奈良県立医科大学の小林浩教授の講演を聴きに行きました。子宮内膜症の癌化の話。重い月経痛を引き起こす子宮内膜症は、癌化することがあるので、定期的にちゃんと経過を見て行かなければなりません。その癌はなぜ起こるのか解明途中という話で、とても興味深く聴きました。その中で、もっとも強く印象に残ったのは、内膜症になるのも、がん化するのも防ぐためには、なるべく月経等の出血を起こさない方が良いという事。昔の人と今の人では、一生のうちに起こる月経の数が400回も多いと言われています。

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昔の人は初経がはじまるのも遅く、閉経も早く、一生のうちに子どもを産む回数も多く。出産後は母乳を飲ませるので月経は止まっているし、授乳が終わって次の月経があるとすぐに次の妊娠をしていたから月経は無いままだし。ですから、閉経まで月経はほとんどないままに過ごすことができていました。今は、早く初経があり、50才まで閉経せず、それに産む子どもの数が少なく、ですから、月経の回数も多くなるという事です。

月経や排卵が多いことにより、子宮内膜症や卵巣癌が増えてしまうということも分かっています。

先日も、保護者の方たちにお話する時に、低用量ピルは、今、排卵を抑えて避妊を確実にするだけでなく、月経痛を軽快させ、量も減らして、月経をとても楽にすること。だから月経痛に保険が適応される製剤ももう10種類も認可されていること。それに、今や毎月月経があるのでなく、年に三回、120日に一回や77日に一回出血をおこせばいいような低用量ピル(正確にはピルと言わず、LEP製剤と言います)が、保険で認可されているという事などをお話すると、とても驚かれます。もっとも驚かれるのは、ピルを長期服用すると、「子宮体がんや卵巣がんが減る。大腸がん等の婦人科以外の疾患も減る」といった事です。

日本では、多くの女性がピルというと、即「副作用」という風に洗脳されてしまっていますので。

今や、毎月ある月経をいかに耐えるかではなく、いかに「快適に過ごすか」という時代なのだということが、本当に知られていないのですね。月経等の出血は、できるだけ少ないほうがいいのだという事も。

せっかくひどい月経痛をLEP製剤で快適に過ごすことができるようになった高校生に、「いつまでそんなものもを飲むの」と学校の養護の先生に叱られてやめさせられたという事などを聴くと、ほんとうにガッカリしてしまいます。

そろそろ、今年も受験生が試験と月経がぶつからないようにするべく、ピルの処方を求めて次々と来られる時期になりました。大学受験だけで
なく、高校受験の中学生も。母親たちの理解が大分広がってきたかな?とうれしく思います。

 

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大きな仕事仕上げて、ぼんやりしています。

この一週間、怒涛の毎日でした。二つの性暴力について、意見書や診断書を書くのに必死でした。このような時、診察の結果だけでなく、論文や文献を探し、それらを引用しながら、説得力のある文章にしなければなりません。その資料集めにもとても時間がかかります。二つ目を書き上げて、直ぐに渡し、事態が即動き始めました。

とてもしんどい思いをしながらも、書き上げて本当に良かったと、ホッとしました。このような、毎日の診療と共に、診療外のことでとても忙しくしています。それが私だと思っています。

でも、別の事件ですが、こんなに苦労して書いた長文の診断書でも、不採用になって裁判の場に提出されなくって、法廷に私が出なければならなくなったと、先日、検察庁から連絡があって、本当にガッカリしました。時間と労力と、性暴力についての私の怒りが無駄になるって、情けないことです。今回のことでも、そうなる可能性があると考えると、複雑な思いがあります。まったく、性暴力に関しての日本の司法の場、何とかしてほしいと強く思います。

昨日は、大きなことを仕上げた後の虚脱状態でした。ユーポッポに行って、外の露天風呂の広場で椅子を二つ向き合わせに置いて、そこで風に吹かれて、ウトウトと至福の時を過ごしました。いつまでもぼんやりとはしておられないので、今日は、今度の日曜日の三次での講演の資料作りです。もし、今日早くに仕上げられたら、行きたいと思っている映画に行けるといいなあと思っています。

そんなことで、今日は日曜日のユーポッポに行く前に戸坂のロイヤルホストに寄って食べた晩御飯です。

ロイヤルホストは何年ぶりでしょうか。ここのオニオングラタンスープ、大好きです。

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このスープと、少しだけたんぱく質が入ったサラダと、フランスパンのセットがありましたので、それにしました。

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夫は、シーフードが沢山乗ったパエリアです。

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子宮頸がん予防ワクチンについてさらに。

子宮頸がん予防ワクチンについて、青森の蓮尾先生が今日のフェイスブックに書かれています。先生の了解を得てここに転載させて頂きます。

HPVワクチンの積極的勧奨の停止から6年以上が経過してしまいましたが、最近市町村レベルで「定期接種は継続しています」というような通知を対象家庭に届けるなどの動きが見られているようです。

青森県八戸市医師会の理事をしている産婦人科の仲間からの情報です。 八戸市のHPVワクチン延べ接種本数は 平成23年度12020本 平成24年度4891本でしたが、 平成25年度以降激減し 平成25年度606本 平成26年度15本 平成27年度 6本 平成28年度 7本 平成29年度 7本 平成30年度44本という惨憺たる状況でした。

しかし、令和元年5月31日付けで八戸市保健所から接種対象年齢の家庭に「HPVワクチンの定期接種は継続しています。対象年齢女子は無料で受けることができます。」というような文書が送付されると 令和元年6月59本 7月44本と増加しています。文書が送付される前の数年分の接種者数を1〜2ヵ月でクリアしているのです。

私の後輩の産婦人科クリニックでは 令和元年6月12本 7月14本 全員1回目です。 小学6年生0名 中学1年7名 中学2年5名 中学3年2名 高校1年12名 やはり無料の最後の学年、高校1年生が多いことがわかります。 平成24年度までの実績に比べればまだまだ絶対数は少ない状況ですが、行政からのたった1枚の文書が各家庭に送付されるインパクトは大きいのだと実感させられました。

問題はまだまだ対象年齢女子の総数から見るとごく僅かの接種数ですので、この上昇カーブをさらに大きなウェーブにするために何が必要なのかを考え、働きかけを緩めないことだと思っています。各地区で同じような動きが出てくることを期待しています。


「守れる命を守る会」」のによると、現在行政から個別にHPVワクチンの通知をしているのは、わずかに7市町村のみです。

埼玉県深谷市、兵庫県三田市、兵庫県姫路市、鳥取県倉吉市、徳島県上坂町、奈良県橿原市、愛知県刈谷市。

例えば兵庫県の三田氏ではこのように、他のワクチンの報せと共に個別に通知されています。

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「守れる命を守る会」は科学的根拠に基づいた言論活動を支援する団体です。医学・科学の専門家、ジャーナリスト、法律家等との交流及び協力を行い、科学的な言論活動に対する誹謗、中傷、訴訟等を受けた者に対する人的物的支援を行っています。

この会の代表の石渡勇先生は、次のように言われています。

「HPVワクチンで一年間に救える命が約2500人、がんを免れる人が約7000人、子宮の円錐切除を免れる人が約6300人。海外では、2価または4価のHPVワクチンを導入しているのは約140か国、ワクチン接種の公費負担は約100か国、男性への公費負担は約30か国等。」

既に、10年前から多くの若い女性に接種を続けている国では、次々と子宮頸がんの絶滅宣言をしており、今後は、とてもまれにみられる病気となるであろうともいわれています。

WHOでは、世界中で最も安全なワクチンとされ、日本に早く積極的勧奨をするようにという勧告をしていますが、動きません。これは今、官邸預かりになっているそうで、やはり
総理が変わらなければだめなのかもしれません。



 

 

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子宮頸がん予防ワクチン村中璃子先生

子宮頸がん予防ワクチンについてもう少し。名古屋スタディについては、昨日のブログの鈴木貞夫教授のインタビューが一番分かりやすいと思います。このワクチンについて、私はここから三日間にわたって詳しく書いています。

http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/post-44af.html

そして。それらにも書いているのですが、村中璃子先生について、ここから4日間にわたって書いています。

http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/1-2af7.html


孤軍奮闘してこられた村中先生ですが、私はこれらにも書いているように、ジョン・マドックス賞受賞のお祝いの会に行きました。ちなみに、その時は知らなかったのですが、この会の発起人のお一人がこの写真の右に座られている、ノーベル賞を受賞された本庶佑先生です。

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名古屋スタディが論文になった今、このジョン・マドックス賞を受賞された村中先生が、2017年11月30日、ロンドンで行われた授賞式でのスピーチが、今の日本のワクチンの忌避の状況をよく示しており、意味があることとと思いますので、ここに再掲します。

世界では毎年、53万人が子宮頸がんと診断され、27万の命が失われている。
現在では子宮頸がんを防ぐワクチンがあり、世界130カ国以上で使われているというのに。
 
しかし、近い将来、ワクチン接種率の高い国では、子宮頸がんは歴史の本でしか見つからない過去の病気となるだろう。

けれども、その道のりは決して簡単ではない。

2013年4月、子宮頸がんワクチンは日本でも定期接種となった。ところが、それから2か月後、日本政府はこのワクチンを定期接種に定めたまま積極的接種勧奨を「一時的に」差し控えるという奇妙な政策決定を下した。けいれんする、歩けない、記憶力や成績が落ちた、不登校になったなどという訴えが相次いだためだ。

脳波に異常のない「偽発作」に代表されるように、小児科医たちは思春期の子どものこういう症状は、子宮頸がんワクチンが世に現れる前からいくらでも見てきたと言った。厚生労働省の副反応検討部会も、副反応だと訴えられている症状は、ほぼ間違いなく身体表現性のものだろうという評価を下していた。

親たちは娘のけいれんする姿や車椅子姿を携帯電話やスマートフォンで撮影し、インターネットに投稿した。メディアからの取材にも積極的だった。大多数のまっとうな医者たちは「心ない医者に、心の問題だと言われた」などと激しく批判されて面倒になり、みんな黙ってしまった。

世界中どの国でも新しいワクチンが導入されればそれに反対する人は必ず出てくる。しかし、日本には、他の国にはない厄介なことが2つあった。ひとつは、政府がサイエンスよりも感情を優先した政策を取ったこと。もうひとつは、わざわざ病名まで作って、子宮頸がんワクチンによって引き起こされたという薬害を唱える医者たちが登場したことだ。

その名はHANS(ハンス)、子宮頸がんワクチン関連免疫異常症候群。HANSを唱える医師たちの主張は、患者の訴えと印象に基づいており、決して、エビデンスを示すことはなかった。代わりに、エビデンスを示せないのは、現代医学が十分ではないからだと糾弾した。しかもHANSは「ワクチン接種から何か月、何年経っても起き」「消えてもまた現れ、一度なったら決して治らない」のだという。

昨今、科学的根拠に乏しいオルタナティブファクトが、専門的な知識をもたない人たちの不安に寄り添うように広がっている。私は医師として、守れる命や助かるはずの命を危険にさらす言説を見過ごすことはできない。書き手として、広く真実を伝えなければならない。これが、メディアに執筆を始めたきっかけである。

子宮頸がんワクチン問題は、エボラ出血熱から水素水まで、私が取り扱ったさまざまなテーマのひとつに過ぎない。この問題が、原子力爆弾のように何千・何万もの人々の命を危険にしていると気づいたのは、1本目の記事を出してからのことだ。私はただ真実を書いてきただけであり、このワクチンを推奨するために書いたことは一度もない。

最初の記事がビジネス誌「Wedge」の誌面とオンラインに掲載されたのは2015年10月だった。この記事は文字どおり数百万の人々に読まれ、子宮頸がんワクチンの安全性に関する議論を再開させるきっかけとなった。その後も私は取材、調査を続け、このテーマで20本以上の記事を発表した。

メディアを通じて、子宮頸がんワクチンの危険性を煽るミスリーディングな映像とストーリーが日本社会に広まっていったある日、厚労省が指定した子宮頸がんワクチン副反応研究班の主任研究者で信州大学の元教授だった神経内科学医、池田修一氏が、厚労省の成果発表会である衝撃的なマウス実験の結果を発表した。池田氏は当時、信州大学の副学長で医学部長を務めていた人物である。

池田氏は「子宮頸がんワクチン」と書かれたマウスの脳切片だけが緑に光る、白い円でその部分を強調した画像を見せながらこう言った。

「明らかに脳に障害が起きている。子宮頸がんワクチンを打った後、脳障害を訴えている少女たちに共通した客観的所見が提示されている」

池田氏によれば、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、子宮頸がんワクチンをそれぞれマウスに接種して10か月後に脳を観察したところ、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳だけに異常な自己抗体が「沈着」したという。池田氏のこの発表は、夜の人気ニュース番組でも放送された。

それから2週間後の3月末、子宮頸がんワクチンの被害を訴える人たちが、日本政府とワクチン製造企業を相手取った集団提訴を予告する記者会見を行った。日本政府は、積極的接種勧奨の「一時的」差し控えを継続。そして、「一時的」が3年にも及んだ昨年7月27日、日本政府は世界初の子宮頸がんワクチンによるものだという被害に対する国家賠償請求訴訟を起こされた。

数か月にわたる調査の末、私はマウス実験をデザインし、実施した研究者を探しだした。研究者は私に、池田氏が発表した脳切片は、実はワクチンを打っていないマウスの脳切片だと語った。ワクチンを打ったのは、数か月の加齢だけで自己抗体が自然にできる非常に特殊な遺伝子改変マウスだった。このマウスから、自己抗体たっぷりの血清を採り、別の正常マウスの脳切片にふりかけ、写真を撮ったという。

用いたマウスの数は、各ワクチンについて「マウス1匹」。投与したワクチンはヒトへの投与量の100倍だった。

私は池田氏が発表したこの実験を「捏造」と書いた。

池田氏は「他の研究者がつくったスライドセットから1枚のスライドを引用しただけなので、捏造とは名誉棄損である」といって私を訴えてきた。池田氏の弁護士は「争点は、子宮頸がんワクチンの科学の問題ではなく、捏造という表現の問題だ」と主張した。池田氏の弁護士は、日本における主要薬害訴訟で原告側に立ち、中心的な役割を果たしたことで有名な人物である。

被害者団体の行動は非常にプロフェッショナルだった。抗議の行き先はメディアの編集部ばかりではなかった。時には出版社の株主の社長室であり、時には株主の会社に影響力のある政治家のところだった。元東京都知事の娘で被害者団体と親しいNHKプロデューサーは、私の住所や職場や家族構成を知ろうと熱心だった。私と家族には山のような脅迫のメッセージが届いた。

メディアは、私を使うのを止めた。連載はすべて打ち切られた。刊行日が公表され、著者近影の撮影も終わり、表紙と帯までできていた書籍の刊行も中止となった。その後、日本を代表する8つの出版社に刊行を打診したが、すべての出版社が同じことを言った。

「非常によく書けた、読み応えのある作品です。でも、今はわが社からは刊行できません」

日本では毎年、3000の命と1万の子宮が失われている。

母校北海道大学で講演をした際、ひとりの若い産婦人科医が私にこう尋ねた。

——僕たちだけあとどのくらい子宮を掘り続ければいいんですか。
子宮を「掘る」、すなわち子宮を摘出するという意味だ。

日本では国家賠償請求訴訟が終わるまでには10年を要すると言われる。また、訴訟が終わるまで、接種再開を決断できる首相や官僚は出ないだろうとも言われる。よって、もし子宮頸がんワクチン接種再開まであと10年を待つ必要があるとすれば、日本人の産婦人科医は、いったいいくつの子宮を掘りだせばいいのだろうか。

答えは「10万個」だ。

掘り出した10万個の子宮を想像してほしい。その持ち主である女性たち、そこから生まれ母を失った子どもたちを。そこから生まれてくるはずだった子どもたちを。

一方、私の古巣でもある、世界保健機関(WHO)のワクチンの安全性に関する諮問委員会GACVSは、今年7月に出した子宮頸がんワクチンに関する最新の安全性評価をこう結んでいる。

“科学的分析とは裏腹に、世界では症例観察に基づく誤った報告や根拠のない主張が注目を集めている。合理的根拠に乏しい主張によって接種率の低下する国が増え、実害をもたらしていることに対し、委員会は引き続き懸念を表明する。今後もモニタリングを続け、大規模データの解析を通じてワクチンへの信頼を維持していくことが大切だが、その過程で結論を焦り、文脈を無視した、確たるエビデンスのないアーチファクト(二次的な事象)が観察されることがある。これこそが「挑戦」だ”

長く大変な道のりだった。しかし、私は今日、このような素晴らしい賞を受賞することができた。私はこの2017年ジョン・マドックス賞を与えられたという事実を、こうした子宮頚がんワクチンをめぐるアーチファクトやオルタナティブファクトに対し、世界中で行われている挑戦の象徴として受け止めている。

しかしながら、この場を借りて1つだけお願いしたいことがある。今週に入ってから、9番目に話をした出版社である平凡社から、本の刊行を決定したという連絡をもらった。本はできている。私の夢はこの本が、世界中の病院やクリニックの待合室に置かれて読まれることである。ぜひ海外の版元にも、この本の翻訳・刊行をお願いしたい。本のタイトルは「10万個の子宮」という。

推薦してくれた日本産婦人科医会の木下勝之先生、石渡勇先生、北海道大学小児科の有賀正先生、国立成育医療センターの五十嵐隆先生に感謝します。私を信じてくれた京都大学医学研究科の本庶佑先生、松田文彦先生、ウェッジ元編集長の大江紀洋さんと、私の次の仕事を辛抱強く待っていてくれる読者の皆さんに感謝します。そして、何よりも、私の不在と上の空に耐え支えてくれた家族と、このような形で私に名誉を与えてくれたジョン・マドックス賞関係者の皆さんに心からの感謝の意を表します。

本日はこのような名誉ある賞をいただき、本当にありがとうございました。

© 2017 Riko Muranaka*     *     *     *

書名をクリックするとアマゾンから予約できます。

村中璃子『10万個の子宮──あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか』 平凡社 2018年2月刊予定

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英語版"A Hundred Thousand Wombs"はこちらから

photograph by mateo miguel

 

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子宮頸がん予防ワクチンについて再度

子宮頸がん予防ワクチンについては、日本では、「副作用についていろいろと間違った報道がなされ」その結果接種する人が激減しているのは、もう誰もがご存じのことでしょう。

私は、副作用についての報道がなされても、全く動じませんでした。これまで、ずっとずっと、子宮頸がんの検診をする人達には、予防ワクチンについてのチラシを渡し続けました。

これもご存じでしょうが、今も「定期接種」は有効です。小学校6年生から高校1年までの年齢の女性が接種するのは無料です。半年で三回接種して大体5万円かかりますが、それが無料で受けられます。

今、私のクリニックでは、ひと月に10人前後の人達、ほとんどが中学生高校生ですが、接種を受けています。今月は11人です。

今ここでこれをお伝えしようとするのは、高校1年生は、来月、9月に接種を始めないと、3月までに終了しなくなるという事だからです。

問題の」「副作用」について。名古屋スタディという調査があります。名古屋の河村市長の委託を受けて名古屋在住の7万人対象の大規模な調査がされました。河村市長は、薬害エイズなどの被害者にとても理解のある活動をされていました。そして、子宮頸がん予防ワクチンの被害者会の方々に会い、健康調査をして欲しいという陳情を受け「全件調査をすることによって、ワクチンと副反応被害の関連性を証明したい」と記者会見をしています。

ところが、その調査の結果、「ワクチンと副反応の間には、関連性が認められない」ということが明らかになったのです。それを受けて、河村市長は「びっくりした」と言っています。

この度、その調査について、論文が発表されました。英語ですが。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405852117300708


そして、この調査をした名古屋市立大学の鈴木教授への時事メディカルのインタビュー記事がここにあります。

https://medical.jiji.com/topics/1184

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既に、子宮頸がん予防ワクチンが開発され、世界中で接種されて10年。多くの国々で「子宮頸がん克服宣言」がなされています。今や日本も含めたアジアの病気「アジア人が罹り、アジア人が死んでいく」となりつつある子宮頸がんです。早期発見すれば死ななくて済むと言われますが、若い人がかかり、若い人が子宮を失って行く、さらに若い人は進行も早い、こんな日本の状況です。私のクリニックでも、検診で陽性が出る人は20代が一番多いのですね。

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せっかく無料で受けられるワクチンです。どうぞ、次期を失しないようにして頂きたいと思います。疑問がある方、迷っている方、どうぞいらっして下さい、直接詳しくお話します。その上で納得して受けられますように。勿論、接種されるご本人、中学生でも高校生でも、このワクチンについて、さらに大人になったら健診を受けましょうねということもきちんとお話したうえで接種しています。

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養子縁組をしなかった子

かわいいお手紙が来ました。しっかりした字で、漢字のまちがいもなく、丁寧に書かれています。赤ちゃんの写真も同封されていました。プライバシーにかかわる部分を端折って転載しますね。

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『お久振りです。〇〇です。〇月〇(日)に無事、元気な男の子を産みました。河野産婦人科の皆さんには沢山お世話になりました。今は親子共に元気で暮らしています。

相談していた彼、パートナーの話ですが、「頑張る」と言っていたのに産後に態度が急変、学校にも行かず働かない、父親とは思えないような行動ばかりです。父親の認知もまだ状態なので、今は機嫌を伺いつつ、とりあえず認知はしてもらおうとしています。「全部どうでもいい」など、とても投げやりな姿勢なので、一人親で育てることも考えているところです。

 今回の妊娠、出産で、パートナーの性格もよく分かりました。友人関係も、心から信頼できる友人ができたりと、様々な変化がありました。何より子どもがとてもかわいく、大変な思いをする時もありますが、毎日とても楽しく過ごせるようになりました。いろんな人の協力もあってこそですが、子どもを産んでほんとうに良かったと思っています。
 
 河野産婦人科の皆さんには、とてもやさしく接していただいてもらい感謝しています。いくつかの他の産婦人科では、無理と強く反対され(略)。なので、河野産婦人科へ相談に行くとなった時も、同じことを言われるのではないかと正直とても不安でした。ですが、河野先生は私の意見を尊重して話を聴いてくれ、そこから今後どうするのかをしっかり決めれるように話してくれました。「元気な赤ちゃんを産もうね」と言われたことがとてもうれしく、今でも心に残っています。

 働き始めるので今後はもっと忙しく、大変になると思います。自分で育てると決めた責任もありますが、産んだ今、とても子どもがかわいくて仕方ありません。。。子どものために頑張ろう、と思っています。

 エコーが見たいという無茶なお願いも聞いてもらったり、相談にのってもらったりと大変お世話になりました。おかげで安心して出産に臨めました。これから先も頑張って行きます。本当にありがとうございました。』

この件、また、明日に続きます。


 

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恥ずかしくて、情けなくて、腹立たしくて。

私のクリニックには、外国人の患者さんがよく来られます。国によって医療が異なりますので、言葉の問題と共に、それは気を使います。

先日の、ある東南アジアからご夫婦で日本に来られている方。妊娠なさいましたが、稽留流産になってしまいました。妊娠が途中でストップしてしまうのですね。昔だったら出血が始まって、ああ、流産だとわかるのですが、今では超音波エコーで分かります。自然に流産をするのを待つには、少し大きく、手術が必要と判断しました。ご夫妻に説明をすると、


「手術でなく、薬で対処できませんか?」と言われました。いわゆる中絶薬ですね。「日本では、それは認められていないのです」とお答えしました。驚かれましたが、仕方ありません。手術をすることにしました。以前帝王切開をされていて、そのために子宮が腹壁に癒着をしていて、なかなか難しい手術でした。ああ、こんな方こそ、薬で出来たらいいのにと手術をしながら、痛感しました。今、WHOでも、人工中絶を安全にする方法として、中絶薬が推薦されており、日本でしているような手術は危険と警告されて、世界中で使われているのです。

手術の後の診察の時、暫く避妊をしたいと言われました。ピルにしましょうか、IUD(避妊リングと言われるものですが、今はミレーナと言って5年間効果が続くものもあります)もありますと説明すると、「腕に注射して3年間持つ避妊法を」と言われました。インプラントです。注射のようにして、上腕に細い棒状の物を入れ、そこから徐々に黄体ホルモンが排出され、3年間効果が持続します。妊娠を望む時に抜去すれば、直ぐに元に戻ります。外国からの患者さんに時々入れている方を見ます。足を広げて、痛いのを我慢して子宮の中にIUDを入れてもらうより、はるかに精神的に楽ですね。

「これも、日本では認可されていないのです」と言いました。情けない。中絶薬もインプラントも、先進国と言われるほとんどの国で広く使われているものなのですね。外国の方から見て、これらが日本にないというのは驚きであって、「どうして?」と聞かれます。

別の患者さんで同じ東南アジアの国からの方。以前中絶の既往があります。この時、どうやって中絶をしましたか、と尋ねると、「お薬で」と言われました。ゃっぱりね。

本当に、これまで何度も言っているように、日本の女性行政が貧しいのです。低用量ピル、緊急避妊薬、そして子宮頸がん予防ワクチン、どれも日本に導入されたのは、先進国の中では最後といってもいいほどなのですね。いえ、先進国というより、世界の中でといってもいいでしょう。だって、緊急避妊薬が日本で認可されたのは、世界中のラスト6か国。イラン、イラク、アフガン、ペルー、北朝鮮、そして日本。こうなって初めて認可され、でも、その条件として、とても高い値段を付けられました。先日ジェネリックが出たのですが、それでも、世界からはとびっきり高いのです。(自由診療だと言われても、問屋さんから買う値が高いのです)

それに加えて、避妊などの性教育の貧しさ。中学生には性交も避妊も教えてはならないという文科省の指導要領。こうせしめているのは、やはり政治なのです。金と票のある団体が政治家を動かし、行政を動かす。こんなことのおかげで、私のクリニックのような小さな末端で、女性たちが悲鳴を上げています。そして、外国からの患者さんにとても不思議がられている。

恥ずかしくて、情けなくって、腹立たしくて。

今日は投票日ですね。こんな国の状況を誰が作っているのか、よく見極めて投票しようと思います。一部、白紙投票をせざるを得ないのもありますが。棄権はしません。

昨日の平和公園の桜です。


Photo_43

そろそろお終いですね。桜吹雪の中を歩くのが好きです。

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お嬢さんが内緒で産婦人科にかかっていた!

若い人、特に女子高校生が来院する時に、「健康保険証を使いたくない」という事があります。ここにかかったことを親に知られたくないからと。

勿論、診療は保険証がなくとももできますが、お金がかかります。「高校生なのに、お金がかかってもったいないじゃないの」と言いますが、それでも使いたくないと。

健康保険の方から、誰々がどこどこの医療機関にかかりましたという報せが行くから、知られてしまうのですね。でも、病名まで知らされる訳ではないから、というのですが、それでもと。

生理痛がひどいから、病院に行ったのというのもダメなの?それでも、と。

悩んだときに、親が相談相手になっていないのですね。

ある父子家庭の方。父親は私の古くからの友人です。高校生のお嬢さんを連れてこられました。母親がいないので、何かあった時に、ここで相談できるようにと思って、連れてきましたと。

分かりました。大丈夫、相談に乗るからね、何かあったり、分からないことがあったら、何でもここに来てね、と言いました。

それからしばらく経って、お嬢さんが一人でやってきました。治療をして、それから数カ月後、お父様から電話がありました。お嬢さんが、ここにかかったことを昨日聞いたと。「僕はうれしくてね。そこにちゃんと相談に行って良かったと思って。」と。

別の方です。お嬢さんが、ここにかかった物を見つけたと。何しにそこに行ったのでしょうか、と。あらあら、せっかく保険証を使わないで知られないようにとしてたはずなのに、ばれてしまったのね。でも、大丈夫、私は、電話では一切そのような問いにお答えすることはありません。

「ごめんなさい、お母様だと言われても、私にはそれを確認する方法がありません。患者さんの個人情報を電話でペラペラしゃべることはできないのです。以前、患者さんの友達のお母様が、母親だと偽って電話をかけて来たということがありましたし。来られれれば、お話いたしますが」

困ったことがあった時、誰にも相談できなくて、一人で病院に行くこともできなくて、悩んでいるうちに、時が経ってしまって、というのが私にとっては、一番怖いことなのですね。だから、勇気をもって来てくれた事を大切にしたいのです。一人で抱え込んで、治療の時期を失するのが怖いのです。

お嬢さんが内緒で産婦人科にかかってる事が分かった時、それを問い詰め、責めないで欲しいのですね。そうではなく、自分に相談できなかった、なぜなのだろうかと自分に問うて欲しいのですね。

それどころか、こんなこともありました。お嬢さんの持ち物を探って、クリニックの診察券か何か見つけたのでしょう。そして、お嬢さんを問い詰めたと。それが、産婦人科から電話がかかったと。そちらのお嬢さんがこちらにかかりましたよ、と、報せてくれたと。それは、ご本人がクリニックに怒って来られたので、わかったのですが。そんなことは絶対にありません。こちらから、一方的に密告するなんてことはありません。私たちには、守秘義務があります。それを破ることは絶対にしません。医療機関に勤める物にとって、当たり前のことなのですが。

要するに、基本的な事。思春期にもなると、親に知られたくないことも出てきます。全て子どもを知ろうとするのは、無理だと考えておいた方がいい。もしも、子どもが悩んだ時に、「私は相談相手になるよ」という事を日常から伝えておくこと。その上で、もしも、親に言えない事があこったら、だれか相談相手を見つけてね、とも。

電話では話せませんが、お母様がクリニックにまで来られたら、きちんとお話します。同時に、産婦人科に来たことを責めないでくださいね。行って良かったね、と伝えて欲しいと。叱られて、もう来れなくなることの方が怖いのですと。

早くから、行きつけの産婦人科を持つという事は、本当はいいことなのですが。

今日は大阪の中学生にお話に行きます。これから大人になって行くのに、少しでも訳に立てますように、そんな気持ちで行ってきます。

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