性教育の歯止め規定
性教育の講演もいろいろと難しい依頼が増えて、かなり苦しみながら準備をしています。中でも、包括的性教育の解説について。
「包括的性教育とは、身体や性、人間関係、ジェンダー、人権など、性に関する様々な要素を総合的に理解し、健康的な性生活を送るための知識、態度、技能、価値観を身につける教育です。」
「包括的性教育とは、性をめぐるさまざまな要素を包括的に教育するもので、生殖や性的行動だけでなく、ジェンダー平等、人権、多様性などを学び、自己決定能力をやしなう教育です。それは、個人の性生活を送るために必要な知識やスキル、態度、価値観を身につけることを目的とします。」
「そして、ユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」が性教育の国際的指針となっています。」と続きます。
日本は、これまで「生殖や性的行動の教育を行ってきたが・・」となると、私は、ええっ?と思うのです。「生殖や性的行動」の教育すら、行えていないのではないかと。
2000年当初からのバッシングは、今も続いていて、それは文科省の「歯止め規定」に顕著です。
AIによる概要です。「歯止め規定」とは、学習指導要領において、特定の学習内容を扱うことを前提としたうえで、その扱い方を制限する規定のことです。具体的には、特定の内容を扱わない、または取り扱う程度を制限する、といった記述が該当します。
例:小学校理科で「受精に至る過程は取り扱わないものとする」、中学校保健体育で「妊娠の過程は取り扱わないものとする」といった記述が該当します。
文科省の認識:文科省は、「状況に応じて、個別指導することは可能」とする一方、「一律指導にする内容としては取り扱わない」と説明しています。
議論:「歯止め規定」は、性教育の遅れや、教師が性教育を避けやすい原因の一つとして指摘されています。
私は、すべての若者がせめて避妊をちゃんと学んで大人になってほしいと、ずっと願ってきました。現場の大変さからです。それは切実な思いなのですね。でも、それを「過激な性教育」とか、「若者にセックスを推奨している」とか、レッテルを張られて、ほんとうに情けなく悔しい思いをして来ました。ずっとずっと。
「性教育って、セックスの仕方を学ぶものではありませんよ」「人間関係を学ぶことでもあります」「学べば学ぶほど行動は慎重になるのですよ」こう言い続けてきました。50年間ずっと性教育に携わって来て、いまだにすべての若者が避妊すらちゃんと学ぶことができない状況を憂えています。すべての若者がというからには、義務教育の内に、という意味です。今は高校で教えられるのですが、高校に行かない子、中退する子などは、キチンと学ばないまま社会に出、性を実行するようになる。学ばないままに実行することの悲しさを嫌というほど見てきました。今の芸能界やスポーツ界の様々なトラブルも、教育されていないことからくる悲しい出来事と思います。
講演の準備をしながら、改めて情けない思いが沸き上がって来ています。
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