教師による性暴力⑤
学校で、ある先生が生徒たちを触ると。首を触ったり髪を撫でられたり。手を入れて胸を触られた人もあると。気持ち悪いとある生徒が保護者に訴え、保護者が担任に言ったところ、そんなことを言って、誰に聞いたのですかと、訴えた生徒が叱られたと。そんなバカな。生徒がそんなウソを言うわけがない、気持ちが悪いから訴えたのに。と、私は、保護者に頑張ってと言いました。保護者が頑張るので、先生は仕方なくだったようですが、そういう言い出しっぺ、だれが言いふらしているのかを探す目的で、そんなことを誰から聞いたのか、書きなさいというアンケートをしたのだそうです。そしたら、私も触られた、という答えがぞろぞろ出て来て、びっくり。まさかと思っていたけど、本当でしたと謝罪されました。学校現場はなかなか信じてくれないものです。でも、子どもの訴えがあったときには、保護者は頑張らないとね。
教職を定年退職して塾の教師になった人から、触られたり、触らされたりのわいせつの被害に遭った小学生。中学生になったら、これを中に入れてやるからねと言われ、悩んだ末に家族に手紙で話しました。それまでは、だれにも言わないようにとのことで言えなかったと。
いろいろと大変でしたが、警察には言わないで解決したのちに。彼女に言ったこと。世の中には、けしからんことをする大人がいるんよ。大人みんながそうだということではないけど、その人がそうだった。その大人に出会ってしまったあなたは、かわいそうだったね。でも、これは絶対にあなたが悪いことはでなくって、その先生が悪かったんだからね。あなたには一つも悪いことはないんだからね。こんな目に遭った人はなかなか人には言えんのよね。でも、あなたは言えてよかったね。お父さんもお母さんもあなたをちゃんと守ってくれたよね。それはあなたも分かったね。本当はもっと早く言えても良かったんだけどね。これからもお父さんもお母さんもあなたが困ったら、必ず助けてくれるからね。親はあなたの味方だから。これから、あなたが大人になる時に、今度のことを思い出すことがあるかもしれない。でも、その時には、自分は悪かったわけではないと自分に言って聞かせて。負けないで、素敵な大人になろうねと伝えました。
先日、母娘さんが訪ねてこられました。お嬢さんは中学時代に教師の性暴力に遭いました。事態は教育委員会にもおよび、結局教師は退職となりました。彼女もお母さんもなかなか大変でしたが、その後頑張って、県立高校、国立大学を卒業、大手の会社に勤めていました。そしてこの度、結婚したと。その挨拶です。わたしはうれしくて、良く頑張ったねえ、と感無量でした。あの時の彼女のしんどさを見ていたからこそです。でも、結婚ですべてが終わるわけではなくって、これからですね。二人でいい家庭を築いてほしいと思います。
これは、教師ではなく、義理の父親の被害に遭った小学校2年生。被害に遭うのがしんどくて、家を出てしまう彼女を母親が強くたしなめると、わぁーっと泣き出して、私が悪いんじゃないと被害に遭っている事を訴えました。お母さんはそれは苦しまれて。そして彼女を私のところに連れてこられました。被害の手当はそれほど大変ではありませんが。その心の傷を考えると。わたしは、何度か話す内に彼女はとても賢い子だと思いました。しっかりと会話ができる子でした。そして、お母さんと話をして、自分に何が起こったのか、ちゃんと理解した方がいいのでは、と思いました。そこで、私の著書の漫画ですが、それを読んでもらうことにしました。体の仕組みや二次性徴、性被害に遭った時のことも、広く描いてあります。それを読んで、お母さんとの会話、そして私ともいろいろと疑問を持ったことを話すうちに、しっかりと理解してくれたと思います。そして、私は、あなたが悪いのではないからね。そんなことをしたあの人がいけなかった。大人のみんながそうだというのではないのだけれど、そういう大人に出会ってあなたは本当にかわいそうだったね。でも、お母さんはあなたを守ってくれたから、もうその人と出会うことはないからね。これから大人になるのに、あなたにはいろいろなことがあると思うけど、お母さんはちゃんとあなたを助けてくれるからね。それから私も何があっても相談に乗るから。
彼女はその後しっかりとした大人になって今は教師になっていますし、子どもも産んで家庭を築いています。
性被害に遭った子は本当に残酷でむごくて、心に深い傷を負います。でも、あとの立ち直りには、周りの大人がどうサポートするかにかかっていると思います。どんなにしんどいことがあっても、それをサポートする大人たちがしっかり支えれば、大丈夫、ちゃんと立ち直って生きていくことができます。被害に遭ったからと言って、この世の終わりの様に考えてはいけません。特に、周りの大人たちが、しっかりしないとね。そして、事件に触れないで無理に忘れさせようとするのでなく、しっかり事件と向き合うことが必要であると私は考えます。本人の中に渦巻いている「どうして?」という思いをちゃんと引き出して、それにともに向き合うことだと思うのです。
中には、悩んだ末ではあっても、子どもより自分の身を優先する大人もいます。そんな時は、被害に遭った子はサポートしてくれる身近な大人をも失います。立ち直りもなかなかしんどくて大変です。でも、伝えることは、「過去は変えられなくっても、これからはあなたの人生。あなたが幸せになることはできるのだからね。」と強く伝えたいと思います。
このシリーズ、これで終えます。読んで下さってありがとうございました。なお、私の現場では、今、性被害に遭った人たち子どもも含めてですが、本当に大変です。ここに例を挙げたのは、かなり前にあったことです。現在進行中のことは、語ることはできません。
今日、スタッフにボーナスを出しました。身を削るようにして。昨夜ボーナスを作った後は外食です。給料を作った後は月に一回のお寿司を食べに行くのですが、昨日は、そごうの加賀屋でうなぎまぶしのお膳を食べました。とってもおいしくて大満足です。でも、多くて。半分残して持って帰って、今日のお昼ご飯にしました。豪華なおむすびでした。
『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。
最近のコメント