性暴力救援センター全国連絡会全国研修会

9月28・29日は、全国性暴力救援センター全国連絡会全国研修会でした。

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全てきっちり聞いて、ずいぶん勉強になりました。すべてをここに語ることはしませんが、違和感もいくつか。

一つは、言葉の問題。行政の世界や法律の世界では、違和感を持つ言葉がいずいぶん使われるのだなあと。

「性非行」まだこんな言葉が生きていました!それから、児童虐待の中の「ネグレクト」。そして、検察の方の言葉の中の「初期汚染」。

「性非行」性教育の中では、とっくに消えた言葉ですが。児相では普通に使われているのですね。何をもって「非行」とするのか、聞いてみたいと思ったのですが、聞けませんでした。うんと昔は、例えば高校生がセックスをすることを「性非行」と呼んでいた時代もありましたが。今は?定義は何なのでしょう。

「ネグレクト」。例えば、父母などが子どもの養育をきちんとしないで、食事も与えなかったりお風呂にも入れなかったり、要するにほったらがしにしている事・・。そうなのですが。でも、異なる使い方もされています。兄から、妹への性的行為。これはとてもあることなのですが・・。これも児相の統計では、「ネグレクト」いうのです。これは、もうずいぶん前から私は違和感を持っていました。「兄からの性虐待」ではないのです。「ネグレクト」なのです。「虐待」は、あくまでも親の立場にいる人のみの事。だから、兄から被害に遭っている事を両親などの監護者が「放っておいた」から「ネグレクト」なのですね。これは、もういいかげん、言葉を改めて「兄からの性被害」とすべきことと思います。そうしないと、現実を投影していない統計となってしまう。それを私は質問したのですが、児相の方の返答はちゃんとしたものではありませんでした。その方が児相の所長をしている間には、これを改めようという動きはありませんでした、とだけでした。


「初期汚染」。なんだと思います?今、子どもの性被害は、何度も被害者が尋ねられることがないように、一回だけ「司法面接」で、被害の状況を聴くこととなっています。それは、録画され、裁判まで有効な証拠となります。でも、その前に人からあれこれ聞かれると、それによって誘導されることがあります。特に、被害を告白された人が、根堀り葉堀り尋ねることは、禁です。それは、司法面接ですることになっています。でも、私たちは診療の場で、まだ司法面接がされていない場合は、どこまで聴いていいのか、とても迷います。被害の状況が分からないと、どこまで診察をしていいのか分からなくなります。警察や児相から「司法面接前ですから、尋ねることはしないでください」と言われると、本当に困ります。傷の事や性感染症の事など、丁寧に尋ねないと、ちゃんとした診察ができません。そして、司法面接の前に尋ねることを「初期汚染」というのですね。面白いなあと思いました。私たちは、汚染源なんだと。検事さんは何度も「初期汚染」と言われたのですが、でも、ワンストップの方が普通に「初期汚染を防ぐために」と発言されたのを聞いて、そうなのか、その言葉に抵抗ないのだなあ、でも私には使えない言葉だなあと思った次第です。

 言葉にこだわるのは、筋違いかなと思いますが、でも、言葉ってとても大事なのですね。差別や人を傷つけることは、言葉によってなされるのだから。

 それから、ワンストップセンターが全国に作られても、その働きはずいぶんと異なります。その違いの多くは、「お金」。ワンストップを作れというだけ言って、できあがっても、そこに予算措置というか、お金の投入が本当にまちまちなのですね。多くの箇所は、スタッフの「ボランティア」意識によって支えられています。でも、そのボランティアの人たちも、仕事も生活もあります。ボランティアのために持ち出しになることも。で、一番悔しいのは、予算不足で十分に被害者の方にケアができない事。もっと、国がちゃんと予算を付けるべき。各自治体任せではなく、基準を作り、国が責任をもって予算をちゃんとつけること。

 そんなことが明らかになった会だったと思います。

会の写真はとれないのですが、懇親会。

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 そして、二次会。二次会は多くの方が来て下さって、すみません。ちょっと予想外で、椅子が足りなかったり。でも、折角の「カフェパセ」のママの美しいお料理の写真を撮り忘れて、ごめんなさい。ああ、残念。

ちなみに、二次会の写真。写真の私の隣。SACHICOの加藤先生が来て下さって、とてもうれしかったです。私が手に持っているのは、残っていたブドウをT先生の息子さんへのお土産にしようと思って。そうそう、ブドウはピオーネとシャインマスカット。このどちらも、広島県で品種改良で作られたものです。ピオーネは三次で、シャインマスカットは、安芸津で。

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二次会からの帰り、少しの方ですが、私のクリニックに来て下さって、ありがとうございました。買ったばかりの骨盤底筋体操の椅子に座ってみてと言って、来てもらいました。記念写真。

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関係者の皆様、お疲れさまでした。こんなことを書いたけれど、勉強になったことが沢山でした。本当にありがとうございました。

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「言えないことをしたのは誰?」

7月10日に出版された漫画。玉造のホテルで全部読みました。

スクールセクハラ、中学校の教師による生徒への性暴力を詳細に描いています。作者は、ともよく取材をしています。私がしばしば当たる性暴力の被害に遭った少女たちをそっくり再現しているとも言えます。とても読み応えのある漫画です。

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主人公は、中学校の養護教諭。いわゆる保健室の先生。生徒からの情報で、部活の顧問の教師が何人もの女子生徒をレイプしていることを知ります。彼女は、何とかして生徒たちを救い出そうとしますが・・。

 この中で、はじめは未熟で空回りばかりする養護教諭の行動ですが。後で、だんだんと力をつけていく中で、自らの間違いにも気づいています。しかし、それでも・・。と私は思います。

 この様な事件に向き合う時には、しっかりした取材が必要で、何より被害者本人からちゃんと被害を聞き出さないと。その証言もないままで、彼女は教員室でその疑惑を他の教師たちに話してしまいます。これ、もっともやってはいけないこと。なぜか。それは、加害者が犯罪行為を知られる可能性があることを感じ取ったら、何より被害者を危険な目に遭わせる恐れがあるからです。口封じのために。

1990年、広島県の小学校での事件です。

1990年3月…広島県警は、安浦町立の小学校6年女児を絞殺した疑いで同小学校教諭・T.K.を逮捕した。被害女児が小学校を卒業した3日後、元担任だったKは彼女の家に車で訪れ「ちょっと話がある」と連れ出した上、首を手で絞め殺害。自らの妻に「子供を殺してしまった、新幹線に乗って(自分も)どこかで死ぬ」と連絡したため事件が発覚したのである。
そしてこの件には、さらに根深い問題があった。そもそも河内は被害女児に対し、日常的に体を触る、キスをするなどのわいせつ行為を繰り返していたというのだ。その行為が明るみに出たため、河内は謹慎処分を受けている最中だったのである。そんななかで起こった殺害事件…学校長や教育委員長、他の教職員らの対応も大いに問題視された。・・


 私は、この件でメディアからコメントの取材を受け、本当にびっくりして、胸が痛くて、忘れられません。この教師も仕事熱心で、保護者の評判もいい人だったと。

 さらに、別のまだ記憶に新しい事件ですが。

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これらでも分かるように、教師による児童生徒への性加害は、なにも今に始まったことではありません。この事件では、加害者は女児たちに固く口留めをしていました。被害者、特にまだ未成熟な少女たちは、その被害をなかなか口に出せません。だから、長い間多くのこどもたちが被害に遭い続けました。

 この漫画の被害生徒たちも。それを、焦ることなく、じっくりと信頼関係の中で、話を聞くことがなにより大切。そもそも、社会的には、まさか教師がそんなことをするはずがないという思いが浸透していますので。話しても信じてもらえない・・ますます被害者はだれにも言えなくなってしまいます。


 今、やっとやっと法律も変わって来て、社会も少しずつ変わって来て、ワンストップセンターも力を発揮できる(すべてのワンストップセンターではありませんが)地盤もできてきて、告発もできるようになってきました。

 また、今もなお、この漫画の中にもありましたが、学校の名誉のために、事件を明らかにすることをためらい、あたかも被害児のプライバシーのために公にしなかったという言い訳がまだまかり通っています。今回の米兵による沖縄の少女への性暴力を政府が隠蔽したのと同じように。

 多くの人、とくに学校現場にいる人は、まずこの漫画を謙虚に読んでほしいと思います。作者の懇親の取材力で、性暴力の基本が余す所なく語られています。これを読んで、少なくとも、性暴力の被害者に対する偏見を改めてほしい、そんな思いを持ちました。すごい力作を書いて下さった作者に心から感謝します。

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性教協例会「性虐待の現実から見えるもの」

 朝早くに新幹線に乗って広島に帰ってきました。ま、どうせマスクしているから、お化粧もせず新幹線に乗って、クリニックに帰ってお化粧をして性教協の例会に行きました。早いみずほだからでしょう、横も前も後ろにも人は全然いませんでしたよ。

 こうしてみると、交通費が高額でも広島大阪なんて、通勤圏内ですね。

 例会での寺西先生のお話。数々の性暴力の被害者に寄り添っての弁護活動で、それはそれは何とも苦しい闘いであっても、それは被害者の尊厳を取り戻す闘いだとおっしゃいました。古い被害で、民事でも時効で負けることが分かっていても、それでも、訴えたケース。それこそ、尊厳のために。よくよく負けるということを話した上での訴えなのですが、それでも、そのことでマスコミに話すこともできたし、時効ではあっても、そういう事実があったということを判決の中に書かれることもできました。

 日本の性暴力についての法律は、明治の男性たちばかりで作られた法が延々と続いて、世界の中でも例を見ないほど、加害者に甘く、被害者には高い壁が作られていました。

 それでも。寺西先生に教えていただいたのですが、ここにこんな事件があります。

 ある男性が、中学時代の教師にずっとひどい性暴力に遭い続け、当時も年が経っても、それをどれだけ訴えても、誰にも受け入れられず。校長にも、教師たちにも。保護者も。多くの弁護士さんも受けてくれず、結局一人で裁判に訴えた、その事件。彼が勝訴したこと。これ、もっと多くのマスコミが取り上げてもいいのに。あんまりなので、ここにそのニュースのアドレスを張り付けますね。時効の壁をどうやって乗り越えたのか。判決には、彼がどのような性暴力に遭い続けたかが詳しく書かれたと言います。

https://shueisha.online/articles/-/110854


秘策は「下着の返還請求」。中学時代、同性の担任教師から性暴力を受けた男性(45)が34年後に勝訴できた驚きの手法



「中学時代の3年間、担任だった男性教師から性暴力を受け続けた栗栖英俊さん(45)。すでに時効を迎えているにもかかわらず、被害の事実を認定してほしいと、34年経った昨年、独力で提訴し、勝訴を勝ち取ったという。なぜ、いま孤独な戦いに挑んだのか? 時事YouTuberでお笑いジャーナリストのたかまつななが聞いた。」

 私もワンストップなどでずいぶん悔しい思いをする被害者の方たちにお会いしますが、やっと日本も何とかその思いを晴らすことができるようなそういう時代になってきつつあると思います。皆さん、ほんとうに苦しい闘いではありますが。

例会も、その後でみんなでお昼ご飯を食べたのも、写真を撮り忘れました。ランチした芸州本店は、国際ホテルが再建築中なので、移転してラッキー会館に仮住まいです。そこの入口。なのに、食べたものの写真を忘れました。



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司法面接についての検事さんのお話

「しまね性暴力被害者支援センターさひめ」10周年記念スタッフ研修会の初めに、松江検察庁の指澤慶子検事さんから、令和5年の刑事訴訟法改正について、特に子どもからの事情聴取についてのお話しがありました。頂いた資料は自由に使っていい、この話を広めてほしいということでしたので、ここにも再現しますね。

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私も、今では、以前と違って、子どもが児相やワンストップセンターや警察の人たちから連れてこられた場合、司法面接がこれからという時には、診察に必要な事しか聞かないようにしています。検事さんから頂いた量には、「保護者の皆様へ」や「学校の先生方へ」という個別のお願いも添付されています。

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読みにくいと思いますので、「学校の先生方へ」のバージョンをここに転載しますね。

「犯罪被害に遭われたお子さまの学校の先生方へ、警察からいくつかお知らせがあります。ご不明点等ございましたら、遠慮なく担当警察官や担当警察職員にご質問ください。

1 今後の捜査について
  本日お聞かせいだいた件に関して、後日、改めて、お子さまからお話をお聞かせいただきます。その日迄のお願いごとにつきまして、以下にいくつか挙げさせて頂きます。

2  お子様との接し方について
   お子さまの記憶はとても繊細で周囲の影響を受けやすく、まわりからの何気ない言葉がけにより、お子さまが元々ご記憶されていることとは別のことを、後日、私たちがお話をうかがうときにお話されるようになることがあります。
 そのため、本日お聞かせいただいたことに関して、学校の先生方が、お子さまから話を聞き出すようなことはなさらないでください。また、お子さまの前や、お子さまに聞こえる場所で、この件に関して、先生方の間でお話しされることや、電話などでお話されこともお控えください。
 もしも、お子さまの方から、自分でこの件に関してお話しを始めたときには、途中で質問を差し挟んだりせずに話を聞いてあげてください。区切りのよいところまで聞いたら、「たくさんお話ししたいことがあるんだね。そのことは専門の人にお話ししてね。」と伝えて、追加の質問も加えないでください。
 その後、お子さまが話したとおりの言葉と、その言葉をお聞きになった日時を記録し、担当警察官や担当警察職員にお伝えください。
 お子さまからの話をお聞きになった後は、お子さまには、「やお話しをしてくれてありがとう。」と声を掛け、ねぎらってあげてください。
 先生方もお辛いとは存じますが、お子さまの前で加害者のことを怒ったり、お子さまに起こった出来事について悲しまれたりされないでください。お子さまが、自分が話したせいで先生方を怒らせたり悲しませていると思って、出来事を話すのを控えてしまうようになってしまうかもしれません。お子さまに根堀り葉堀り話を聞いたり、「それは間違ってるんじゃないの?」などと責めたり、真偽を確認したりなされないでください。

3  今後の体制について
   今回お聞かせいただいた件につきましては、以下の者が担当の窓口となります。何かご心配な点、疑問点などございましたら、お気軽にご連絡下さい。

これは、なかなか難しいことかもしれません。でも、被害者であるお子さまから専門の方が話をきくことが、加害者の処遇に繋がることでもありますから、大人の側が耐えなければならない事であります。

 そして検事さんのお話しが済んで、質問の時に私は尋ねました。小さいお子さんの場合、知らない所に知らない人と二人きっりで緊張して、お母さんに話せたことでも、知らない人には話せなかった、司法面接では何も出なかった、話せなかったとよく聞くのですがと。そしたら、指澤検事さんは、40から50人のお子さんに話を聞いたが、話が出なかったことは一人もないと言われました。それはすごい。島根の河野先生に伺ったところでは、指澤検事さんは、もと臨床心理士なのだそうです。心理士から司法試験を受けて、検事になられた方と。性暴力や子どもの事件の担当で、ものすごく頑張っていらっしゃる方と。広島に来てほしいですねえ。

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島根、玉造です。

松江、玉造温泉にいます。

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しまね性暴力被害者支援センター「さひめ」の10周年記念のために来ました。今日は、支援員の方たちの交流会。明日は、10周年記念の講演会が開かれます。午前中は、支援員の方たちの研修、午後に一般の方たちへの公開講演会です。

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交流会は、とっても楽しくて。皆さん、はじめから「さひめ」の支援員である方も、最近支援員になった方も、さまざまで職業も様々です。カウンセラーや弁護士さんたちも。中心になってるのが産婦人科医であり、臨床心理士でもある河野美江先生。10年も頑張ってきているさひめですが、広島県と違って、

県がお金を出していません。皆さんボランティアで、苦しい中、頑張っています。内閣府は、各県に一カ所はワンストップセンターを作れとの指示は出しても、経済的なバックアップがありません。皆さん明るくって、かつ使命感をもっていらっしゃいます。


 実は、私は皆さんにお土産をもっていきました。ところが、数が足らなくって、これを2パック、計12個しかありません。困ってしまって。

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売店に行って、ない人用にこれをたくさん買いました。一箱ずつ持って帰って頂きます。島根のものですが、仕方なく。


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みなさんで話し合って、結局私とじゃんけんをして、勝った人からはっさく大福をもらうとなって、その争奪戦が白熱して、本当に楽しかったです。申し訳ない事をしたと思ったけれど、久々にお腹が痛くなるほど笑いました。

素晴らしい温泉にもゆったり入りました。明日の朝にも入ります。これから少し講演の予行演習をして寝ます。

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さらに松本人志氏の事件について

松本人志氏の事について、もう少し。コメントを様々な人が言っていますが。中でも「なぜ今なのか。8年も経ってから」と、同時に「なぜ週刊誌なのか。事実なら、警察に行け」というものが多いのですね。このコメントを言う人は、「性犯罪」に対しての日本の状況が全然わかっていないと思います。

 前者の「なぜ今なのか」については、昨日に言いました。すぐに言えなくても、それを抱えたまま生きるのがつらくて、やっとの思いで「今」言えたという人。性暴力の被害にあった人たちに接していれば、こんなことは全く普通にあることだとわかります。

 何度も言っていることですが、日本の性犯罪についての法律は、明治時代に作られたのが延々と続いていたのです。「明治時代」というと、女性は、立候補はおろか投票権もなく、男性たちだけで法律は作られていました。そして、その法は、まさに男性のための法律であって、性犯罪の加害者が法で罰せられるためには、被害者が「死ぬほど抵抗しなければならなかった」のです。昨年の7月、やっと法律が変わるまで。

 今回の松本人志氏の被害とされている女性は「逃げようと思えば逃げられた」かもしれません。パーティーだからと騙されて連れていかれても、「俺の子どもを産んでくれ」と迫られても、「逃げることができた」はず。だから、警察に行っても相手にされません。裁判でも、有罪にはなりません。

伊藤詩織さんの「Black Box」を読んで見て下さい。あんなひどい状況でレイプされても、それは「合意の上だ」と刑事事件では加害者は逮捕すらされず、立件すらされませんでした。これまで多くの女性がどれだけ悔しい思いをしてきたか。

ある女性、お酒で意識がなくなって気づいた時には、動画を撮りながら、レイプされていたのです。彼女はやめて下さい、やめて下さいと抵抗し、その動画も法廷に出されました。しかし、判決は「やめて下さいというのは、性交ではなく、動画を取るのをやめて」と言っていると「加害者が判断した」ので、加害者は無罪でした。
 
 実の父親に長い間レイプされ続けても、「逃げようとすれば逃げられたはず」と加害者は無罪となり、多くの女性が怒りました。

 騙されてレイプされて、警察に行って相手にされるのは、昨年の7月からです。

 そんな日本の法律の状況だということを知らない人が「警察にいけ」というのでしょう。ちなみに、ジャニーズの事件でも、警察に行けばよかったのにという人がいます。男性は、2017年に一部法が変わるまでは「被害者」にならなかったのですよ。被害者は女性だけでした。

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そんな、警察に言っても相手にされない被害者が週刊誌に訴えるという方法があってもいい。警察に言うよりも報復になるでしょう。しかし、セカンドレイプはひどいでしょうが、それすらも覚悟で訴えているのだと思います。週刊誌がジャニーズの事件をずっと報道してきても、まったく社会が相手にしなかった、今回もそれと同じことを繰り返そうとしているのでしょうか。

それから、松本氏がMCをした、NHKの「世界のLOVEジャーナル」、見ていて、気分が悪かったです。そのような性に関してのテレビなどの報道をしている国は、子どもの頃からしっかり性教育がされていて、性に関してのアイデンテイーもしっかり持っている「大人」対象の番組です。日本のように、避妊すらちゃんと教えない国とは、土台が全く違います。一体、何が目的なのかが、さっぱりわからなかった番組でした。それなら、「世界の性教育」をルポしてくれる方が、はるかに役に立つでしょう。「自分にも年頃の娘がいるので」という松本氏の隠そうとしてもつい漏れる卑猥な笑いが、さらに気持ち悪かったです。

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中国新聞の記事「性被害ワンストップセンター」

われらが中国新聞の久保記者が書いて下さいました。「広島県性被害ワンストップセンター」についてです。本当に今多くの訴えで、忙しくてスタッフみんな大変です。センターでは、常勤だけでなく、大勢の人がシフトでそれぞれ受け待ちをしています。

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記事の中にあるように、過去の被害を何年もたって、お話しする方もとても多いのです。一人抱え込んで、ずっと悩んで、やっと今になって誰かに話をしたいと。そんな方のお話もワンストップセンターは、しっかり受け止めます。そして、その方がどうしたら心が楽になるか、一緒に考えます。

 松本人志さんの件で、被害にあった女性について、あれこれ言われています。中でも、なぜ今になって、という声が多いですね。ジャニーズ氏による性被害が公になって以来、全国のワンストップセンターで同じ現象が起こっているそうです。過去の被害、それをずっと抱えて生きるのはとてもつらいことです。時間が経ってからの訴えを、責めてはなりません。それは、セカンドレイプとなり、さらに被害者を苦しめます。

 私も、週刊誌は読みましたが、これだけ詳細に嘘が書かれることはないと思いました。辛い思いを話すのは、裁判の場だけとは限りません。時効が来ていても、裁判以外の方法でも、いろいろと対応出るのですから、悩んでいる方、どうぞ一人で抱えこまないで下さい。

ワンストップセンターは、弁護士さんだけでなく、カウンセラーや支援員など沢山の女性たちがフル活動していますよ。久保さんの記事、本当にうれしく読みました。この記事で、悩んできたけれど、思い切って話してみようかと思う人が、増えて下さいますように。

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性被害ワンストップセンター広島支援員養成講座

 23日土曜日は、診療後すぐから今年最後の講演です。性被害ワンストップセンターの支援員養成講座の一つです。昨日、その講演用と配布用の両方の資料を作って、送りました。

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 今年は、ワンストップセンターや警察や児童相談所からの沢山の性被害の患者さんを診ました。大人も子どもも、男性も女性も。被害にあった人自身は、大分社会の状況が変わって来たと感じています。昔は、被害にあったことは、決して誰にも知られてはいけないという雰囲気が強くて、それが加害者を増長させているのではと悔しい思いをすることも多くありました。また、警察や検察や司法の対応も、本当にひどくて、怒りをおさえるのが大変でした。でも、少しずつ変わってきて。被害にあった人は泣き寝入りをしない、という行動をする人も大分増えて来たと思います。

 それは、やっとやっと性犯罪の法律が変わったことも多いにあると思います。何しろ、明治の時代の法律がずっと続いてきていたのですから。明治時代というと、女性の国会議員は一人もいなかった、いえ、女性は選挙権すらなかったのです。男たちだけで、それこそ、男に都合のいいように作られた法律。それにずっと縛られてきました。それが、今年やっと変わって、他の国並みになってきつつあります。それに伴って、やっとメディアも。性犯罪は許さないという姿勢を取る報道が少しずつ増えてきました。でも、これはまだうん?と首をかしげることも多々ありますが。特に、ジャニーズの件についても。

 広島県のワンストップセンターは、沢山の支援員の人たちで素晴らしく機能しています。私は医療の所だけを受け持てばいいようになって、ずいぶん楽になりました。でも、支援員はまだまだ足りません。支援員として頑張っていただけるように、私も講師を頑張りましょぅ。

 

 

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東京です。今日の学校の性被害の報道について。

東京です。先週と全く同じ新幹線に乗り、同じホテルに入りました。

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違うのは、先週は午後の講演なので、朝のんびりしていましたが、今回は午前中の講演なので、朝早くホテルを出なければなりません。先週は、朝風呂に入りましたが、今回はホテルに着くとすぐに入ってきました。ホテルの4階にあるお風呂の王様です。

来る時の駅弁、あじろやだからいろいろな和食のお料理が入っているだろうとちょっと豪華なのを買いました。サンプルも写真もなかったので。

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そして、開けてみて、あら、こうだったの?まあ、おいしくはありましたが・・。

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出発まで、いろいろと大変でした。息もつがずというか、診療をしながらとお昼時間を全部使って、喪中はがきを作り、350枚すべて印刷をして、そして名簿の修正をしました。そこでタイムアップ。宛名をブリントして投函しておきたかった・・そこまでしておきたかったのですが無理でした。そうそう、生活保護の申請の二枚は書きました。

明日、講演の後は午後は娘と、夕方には孫ちゃんにも会えそうで、うれしいです。

今日、一斉に報道された、広島の中高一貫校での性被害、10月には中高一貫の男子校と報道されていたのに、今回は「男子校」と言われなかったけれど、これはもう遅いですね。ちょうどNHKのあさいちで「男性の性被害」を今日明日と二日間にわたって放送されます。これまでもさんざん言ってきましたが、2017年まで、日本の法律は、男性の性被害を認めていなかったのです。だから、ジャニーズの被害者がなぜ警察に行かなかったかというのは、無理なのです。それは、国の責任でもあるということです。まして、教育の中で、男性の性被害が取り上げられることは、ほとんどありませんでした。だから、よけいに被害者は苦しむ、今回も10数人が被害にあうまで、声を上げられなかった、それは学校という場で行われた、それも教師という力を持ったものから支配される生徒に対してなのだから、学校の責任は厳しく問われなければならないと思います。それから、RCCだけ「セクハラ」と言っていますが、そう定義していいのでしょうか。私はそんなごまかしではなく、はっきりと「性被害」と報道すべきと思うのですが。あくまでも各社の報道を見た範囲での、私の感想です。

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ジャニーズの事件について考えること②

 ある中学校のスポーツの指導者が男子中学生に性的暴行を加えました。沢山の生徒に繰り返し。その指導者は警察に逮捕されましたが、結局罪に問われたのは、中学一年生の一人に対してのみでした。一年生は、12歳だからです。日本の性的自立、性的同意年齢は13歳とされていました。明治以来延々と。13才未満の人に性的暴行を加えれば、文句なしに罪に問われます。でも、13歳からは、どれだけ抵抗したかが問われます。または、抵抗できない、暴行・脅迫があったのかが。しかし、いつも女性の被害者が問われている命の危機を感じるほどの暴行、脅迫はこの中学生の場合はありませんでした。他の沢山の生徒たちは、抵抗しようとすればできたはずです。しかし、そこに「いうことを聞かないと試合に出してもらえない」ということは、一度聞かされれば、それは恐怖に近い感情となり、抵抗できなくなってもやむを得ないことでしょう。

 まさに、ジャニーズでの沢山の男性が被害にあったと同じ被害でした。

 そして、多くの人たちの訴えがやっと実る形で、今年の7月13日から、新しい刑法が施行されました。

 それまでの「強姦罪」は2017年に「強制性交罪」となり、そして今回「不同意性交罪」となりました。不同意の累型が8つ提示されました。例えば、その1は暴行・脅迫を用いることなど。その8番目に「経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることまたはそれを憂慮している事」とあります。これは会社の上司と部下とか、学校の教師と生徒とか。

 先述のスポーツの指導者とか、それにまさにジャニーズ氏の性暴力にに当てはまります。

 そして、性的同意年齢がこれもやっと13歳から16歳に引き上げられました。

 先述のスポーツの指導者からの被害者は中学生ですので、すべてこの16歳より下でした。そして、ジャニーズ事務所の多くの被害者もはじめは少年でした。中には、その意味も解らないままに被害を受けている人もいます。

 今回の性暴力の刑法を改正することで、やっと日本も世界の他の国々と同じレベルにまで来ました。もしも、日本がもっと早くに明治につくられた刑法をちゃんと社会に見合うように改正してていたなら、と思います。

 男性も被害者でありうる事、16歳未満であれば、同意のありなしに関わらず、加害者は罰せられること、そして、地位を利用して行為に及んだこと。ジャニー氏の行為は、今回の刑法改正では、何重にも犯罪として罰せられることでした。

 要するに、社会全体がこの刑法をそのままにして、多くの被害者を泣き寝入りさせてきた、そのことがジャニー氏の行為を黙認し続けたことにつながります。日本の国が性暴力に真摯に向き合ってこなかったから。私は、やはりジャニーズの問題は、日本の国、社会全体の責任だと思います。

2週間ぶりに、クリニックのベランダのハイビスカス、K-ブルーが花を咲かせました。ブルーがかった澄んだピンクで、可憐です。もう少しつぼみがついています。遅くに撒いた朝顔も、沢山のつぼみをつけています。でも、つぼみが咲かない事もあるそうですので、ドキドキです。

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