ユン・ドンジュさん
私は、今回この演劇「星をかすめる風」を見るまで、恥ずかしながら「ユン・ドンジュ」さんのことは知りませんでした。でも、韓国では教科書に詩が載っていたりして、みんなが知っているほど有名な存在でした。私の韓国語の李先生ももちろん、同じ教室の小林さんも知っていると。
クリスチャンであるユン・ドンジュ氏は、現延世大学を卒業後1942年4月立教大学に入学、10月に同志社大学文学部英文学科専科に転入します。1943年7月、もう故郷に帰る予定で送別会もすんでいた所で、従兄と共に治安維持法で逮捕されます。そして懲役二年の判決を受け、福岡の刑務所に収容されたのです。
演劇の中での会話です。「どうして逮捕されたの?」「詩を書いたから」「詩を書いてどうして逮捕されるの?」「朝鮮語で書いたから」「どうして朝鮮語で書いたの?」「朝鮮人だから」本当に当たり前のことなのに。日本人がアメリカに行ってもブラジルに行っても、日本語と日本の文化は大切にするのが当たり前なのに。
序詩
死ぬ日まで天を仰ぎ
一点の恥じ入ることもないことを、
葉あいにそよぐ風にも
私は心痛んだ。
星をうたう心で
生きとし生けるものをいとおしまねば
そして私に与えられた道を
歩いて行かねば。
今夜も星が風にかすれて泣いている。
福岡の刑務所に乗り込んできた九州大学の医療班。医療を施すふりをして、囚人たちに人体実験をしていました。わけのわからない注射を打たれて。彼がこれまで書いてきた詩や文も押収され、焼かれてしまいました。彼が亡くなった後、遺体を引き取りに来た父親に、従兄がわからない注射を打たれていると言いました。そしてその従兄もほどなく亡くなっています。アメリカ人の捕虜にした人体実験は戦後問題になったのに、刑務所でひっそりと亡くなっていった朝鮮人の囚人たちのことはなにも知らされないままです。
以前、譜族という演劇を見ました。日本が、朝鮮人たちの名前を奪い、言葉を奪ったこと。それに抵抗する人達の演劇でした。創氏改名をしない人達には、ひどい差別をしました。それらに苦しんで、結局は主人公は身を投げて自死してしまいました。やはり日本がやったことは許されないと思います。
私は、アジアの人たちに日本の戦争推進者たちがしたことと、日本の若者たちにしたこと、多く若者たちの命を奪ったことは同じく許されないことだと思っています。それだけでなく、沖縄をはじめとして、日本本土の空襲で逃げまどい殺された人たち。原爆により子どもたちも含めてあらゆる年代の人々が焼かれ亡くなっていったこと。なんのために戦争をしたのでしょうか。
私は、以前、韓国の「八月のクリスマス」やぺ・ヨンジュン氏の「四月の雪」などの映画監督、ホ・ジさんと食事をしたことがあります。その時、韓国人の反日感情と、日本がやってきたことを考えればそれは当然でもあること等を話した私に、ホ・ジノさんは、「国に対してと、一人ひとりの人に対しての感情は異なるものだ」と言われて本当に助かったことを思い出しました。
その時のことを書いています。良ければ読んでみて下さい。
http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-e24c.html
その時の写真です。
日本がやってきたこと、それに対して私たちがどうしたらいいのか、国がちゃんと謝罪をした上での外交をしないから、いつもでも私たちはうしろめたさを持ち続けなければなりません。
回天のブックトークを聴き、ユン・ドンジュ氏の演劇を見たことで、そんなことを考えました。まだまだ私たちの課題は続きます。
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