2025年「8.6ヒロシマへ平和の夕べ」⑥平和講演Ⅱ青木理さん・インタビュー小山美砂さん・続き
昨日に続いて、青木理さんのお話の要約です。インタビューは小山美砂さんです。
青木 日本(政府)は、「アメリカに依存する」態度をとる。「核問題」「自衛隊“別班”」問題を追及している記者がいる。記者としては、難しいテーマだ。最近、いわゆる台湾海峡問題をめぐる自衛隊と米軍の合同机上演習があったとき、自衛隊幹部が米軍に「核の脅しを使ってくれ」と迫ったという報道があった。「核抑止力」に強く拘泥しているのは、核被爆国である日本ではないか。
プラハで「核なき世界をめざす」と演説したオバマ大統領は、ノーベル平和賞を受けた。オバマ政権下で「核なき世界」がどこまで進んだのかは大いに疑問があるが、彼は政権末期に「核の先制不使用宣言を出せないか」と、ホワイトハウスで真剣に検討したという。「相手が使えば使うぞ」という核のあり方からは、「先制不使用」は当たり前。政権の最後のレガシーにしたかったのかも知れない。しかし、それは頓挫した。
頓挫した大きな理由の一つは、日本の「反対」だったという。「唯一の戦争被爆国」と言いながら、いかに日本が「核抑止力」ということに依拠しているのか。残念に思わざるを得ない。
小山 日本政府の責任の重さを思う。広島は、核兵器禁止条約に関心が高い人が多い。だけど、やっぱり少数派というのは否めないだろう…。
青木 今回の参院選、いわゆる某新興政党に多くの票が集まった。30代から50代の「若い世代」の支持が大きかったと言われる。いわゆる氷河期世代、派遣法など非常に不安定な働き方を強いられ、景気も低迷した時代の人たち。将来が見えない。世界最大も言われる財政赤字、社会保障の持続も疑われる。地球温暖化など、環境の先も危うい。将来も、現在の生活にも不安、不満、憤り…。
小山 「日本人ファースト」は、「軍備増強」にもつながっていく。「外国、外国人の脅威」ということをエスカレートしていけば、「国を守れ。だから安全保障だ」と危うい状況がすすむ。
青木 そうですね。ヨーロッパもそう。アメリカも中間層が没落し、「アメリカファースト」のトランプ人気が高まった。どこでも、排外主義が広まる。ヨーロッパ、EUやメルケルに象徴された「ある種の寛容さ」~それにバックラッシュが始まる。「(移民のせいで)職を奪われる。賃金が下がる」などなどが跋扈し、蔓延し始める。それを極右が受けとめるという構図になる。今回の参院選、そうなっていくのかと思った人も多いだろう。
さらに、それが「軍備増強」にも結びつく。この国は広島、長崎があり、さきほど聞いたビキニ・第五福竜丸があり、フクシマがあった。原爆が投下された国、核実験の被害に遭った国、最悪の原発事故を経験しつつある国。世界最悪の事故かどうかはともかく、少なくとも複数の原子炉が同時にメルトダウンを起こした。こんな国は世界中をみても、ない。日本は「前進していないのに」バックラッシュが起きる国でもある。
「広島、長崎、ビキニ、フクシマ」~「平和利用」という原発も含め、「核廃絶」へ声をあげていきたい。
(「世界の核兵器数」はヤフーニュースから(2024年))。
お話が終わって、そう、すぐに結論が出る問題ではないけれど、やはり声を上げることを続けなければならないと思いました。
語って下さった皆様、暑い中、参加して下さった多くの皆様、本当にありがとうございました。感謝しか有りません。わたしたちスタッフは、今後どうするか、私たちも高齢化していますし、いつまでこの会を続けることができるのか、今のところは不透明です。が、ヒロシマにいる者の使命として、核の廃絶を訴え続けなければ、と考えています。さらに、いまだに
ウクライナ、ガザなど、悲惨な戦争が続いています。わたしたちは、それらを止めることもできないまま、胸の痛みを抱えています。それでも、世界の片隅の小さなこのような会を続けることの意味も少しはあるのかも、と思っています。
いったん、ここで、被爆80年の「8.6ヒロシマ平和の夕べ」のご報告を終えさせていただきます。ありがとうございました。皆様から頂いたアンケートの集計、また反省会の様子など、少しずつご報告をさせていただきます。
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