フジテレビの検証番組を観て。
今日は「8.6ヒロシマ平和の夕べ」最終のスタッフ会議でした。プログラムの確定、時間配分、会計の検討、準備物の確認、当日のスタッフの役割など細かく決めました。それに向けてそれぞれしなければならないことがあります。忙しくなります。
今年は、被爆80周年。多分何十周年という節目は今年が最後でしょう。先日厚労省が発表した被爆者の数は3月末日で9万9130人と。10年先には、ほんの小数になっているでしょうし、私たちスタッフもどれだけの人が生きているかわかりませんものね。今年は80周年だから参加しますという連絡を沢山いただいて、うれしい悲鳴です。会場に一杯入って頂けるように、工夫をすることにもしました。本やDVDなどの物品販売は、会場でなく隣の部屋ですることにしました。また、いろいろとご案内しますね。
その会議の前に。今日の朝10時から、フジテレビがこれまでのフジの事件についての検証番組を自ら作って放送しました。わたしは、診療の場でも性被害ワンストップセンターでも、性暴力の被害に遭った方に接していますので、今回のこの事件についても多いに関心があって、さまざま読み漁りました。今日の番組もはじめからしっかり観ました。で、やはり疑問がありますので、それを少し。教師による性暴力については、明日に続きます。
アナウンサーのAさんが中居氏からの被害に遭ったのちの会社の対応について。なお、中居氏の行為が性暴力ではないなどと今言い出していたり、友人と称する弁護士さんやタレントの方が言っていたりしますが、これはもってのほか。まして、彼女の失恋事案だなんて、二次加害でしかありません。性暴力の勉強をすべきですね。特に「地位利用」とか、「フリーズ」とか。「殴る、ける」とか「被害者がどこまで抵抗したか」というのは、日本独特のそれも昔の話です。
今日の番組でも言っていましたが、会社が「性被害について」素人ばかりで専門の指導も受けず、結果的に被害者であるAさんを追い詰めていったというのは、その通りと思います。
そして、私がやっぱり納得できないと思うのは。初めに週刊文春が書いて、それが間違いである、文春は彼女に謝罪せよという人達が沢山いる件について。佐々木アナウンサー、被害者の上司が、Aさんの話の聞き役で、第三者委員会でも彼女はよくやったと評価されているということについて。でも、私は佐々木氏がやったことは、やはり禁忌であると思います。それは、彼女がAさんから話を聞いたことを会社の上司に伝える役をしていたということです。逆に言えば、社長などの上司がAさんの状況を聞くために佐々木さんにその役をさせていたということです。佐々木さんは、Aさんから聞いたことを誰に伝え、誰と誰がその状況を知ることになるかということをAさんに伝えていなかった。それは、Aさんが退職を決意し、それを社長に会って伝えた時に、社長は私のことを知っているのかどうなのかわからなかったと書いています。社長は楽しそうにヨーロッパに旅行に行ったことばかりを話していたと。だから、第三者委員会の報告をAさんが読んでびっくりしたとも言っています。こんな風に伝わっていたのだと初めて知ったと。佐々木さんは、会社のためにはよくやったかもしれないけれど、Aさんに対しては、なんの役にも立っていない、結局退職することになってしまったのですから。
Aさんが被害から立ち直っていくためには、性被害専門のカウンセリングを受けるしかないのです。初め、会社の医師二人にだけ話すことにしたということですが、医師であっても、性被害について詳しいとは限りません。ちゃんと勉強していないと、素人とは変わりません。Aさんは、入院し、精神科の治療を受けるようになって、やっと立ち直りへの道を歩みました。
それから、会社がどう変わっていくかも報道されましたが、それを見てまた驚いたこと。それは、やっと今こうなのかという思いです。そんなこと、どこの会社でもとっくに改善している事。それをフジテレビでは、こんなことが続いていたと。見た目のいい女性だけが選ばれて社長の為の会に出られるとか、専務は「女子アナは良質なキャパ嬢だ」と言ってのけたとかの証言も今日の検証でありました。専務は「言葉の選び方の問題でまさか本当にそう思っていたわけではない」そうですが。
今、やっと社員の研修もされて、一般の会社並みの人権感覚を持つような会社に変わろうとしているそうですが。でも、まだありますね。それはコネ入社。特に有力政治家の身内を入社させて、見てはいられないようなへたくそなレポートをさせたり。視聴者をバカにしているのかというような場もありました。優れたドキュメントもフジテレビでみたことがありません。「楽しくなければテレビではない」というコンセプトもこれからは「楽しい」中身だと思います。上っ面だけの下品な笑いはいらない。心から感動できるような番組作りができるかということでしょうね。
以上、私の感想でした。明日はまた教師の性暴力の話に戻ります。
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