前川直哉先生の講演「男性性と暴力」③
前川先生は、1980年代から2000年代の若者の性交経験率が高い原因の一つに若年男性誌による恋愛扇動を上げられました。セックス特集・恋愛特集、その特徴は「マニュアル化」と「消費扇動カタログ」と。その時代に若者だった人が今の40から60年代で、女性蔑視や同性愛嫌悪でセクハラの担い手ともなっていると。その分析はとても興味深いものでした。
しかし、しかし、私は、その前提としての若年男性向けの雑誌の扇動の前に、若年女性誌の扇動の方が先なのではないかと思っています。先生の言われる1986年のHDPの「新恋愛論」ですが、あんあんの表紙に郷ひろみの裸が出て、大センセーションを巻き起こしたのが、1983年です。「男はセクシーでいてほしい」と、とても大胆に挑発するかのように。
そして1989年から一年事に「セックスで、きれいになる。」特集が続きます。
そして、男性のヌードが表紙を飾ります。今に至るまで。1999年は香取慎吾氏。2007年はダルビッシュ氏。
ちなみに最近。2024年8月は田中樹氏です。
お分かりでしょうか。HDPが2004年で休刊してしまった(のちに2014年スマホ・マガジンとして復刊していますが)のに比べ、女性向けのアンアンはずっと若い女性に対してセックスの情報を流しづけています。(しかも売れています。)
初めの頃、性教育の全国の会で「セックスできれいになるなんて、なんということを!!」と男性の年配の先生が怒っているのがとても面白かったのですが。
しかし、あくまでも女性が情報を得て、そして望んでいるのは、「こころが通い合った」「素敵なセックス」であって、乱暴で強引な性ではないということ。それを間違えた男性たちが、そのような女性の望みを顧みることなく、犯罪まがいの強引な性を行おうとしてしまい、みじめな姿がさらされているのです。それこそ、フジテレビ・中居氏の問題ですね。
性犯罪の刑法も変わったことだし、今、男性たちへの性教育がしっかりなされなければ、日本の性を巡る状況は、まだまだ混迷を深めることでしょう。
前川先生、有意義な講演を本当にありがとうございました。
私が若いころ、いろいろとしんどい思いをしたこと、また改めて書きます。
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