薬も注射も注射針も欠品ですって。
診療をしていて、今ほど「困った困った」ことはありません。どうしようかねえ、と、しょっちゅう言っています。ものがないのです。医者にとって、薬がないとどうすればいいのでしょうかねえ。
葛根湯などの漢方がなくなったのは、もうずいぶん前の事。それどころか、度々処方していた麦門冬湯も当帰芍薬散も小青龍湯も防風通聖散も五苓散も、次々と出荷調整となって。本当に困りました。今は何とか、少しずつ世に出回るようになって、ホッとしてたら、今度はいつも点滴に入れる抗生物質がないと。これは他の抗生剤で何とかしていますが。
すごく困っているのが、男性ホルモン剤。性同一性障害の人に使う注射液です。冗談じゃない。これは困ります。内服は重宝していましたが、これはもう製造していなくって、注射液しかないのです。今、250ミリが出荷調整で、それを使う人は仕方ないので、125ミリを2アンプル使っていますが、この125ミリも直ぐに出荷調整となりますと言われています。
そして、まさかっとビックリしたのが、あの子宮頸がん予防ワクチン!!9価のシルガードが品不足、出荷調整だと。なんと。子宮頸がん予防ワクチンの「副反応が」とのことでうてなかった人たちの救済策、来年3月までは無料ですとのことが、期限が切れそうになって(半年で3回打つので)希望者が殺到したからでしょう。ものがないなんて。なんということでしょう。
私は、これまで、子宮頸がん予防ワクチンは副反応が・・と言われて、希望者が激減した時でも、そうではない、世界をちゃんと見なければと言い続けて、ずっとうち続けて来てるのに、ここにきてものがありませんはいくらなんでもひどすぎると、メーカーにも大文句を言って、何とか打てる状態にはなってきていますが。でも、担当のスタッフは大変苦労しています。出荷調整なので、今、ここにこれだけの予約が入っていて・・と問屋さんにその状況を見せながら、ギリギリ入れてもらっています。
でも、ここに来て、なんとまあ、どゆこと?という事態が。なんと、注射針が欠品だというのです。主にワクチンの接種に使う細いの、25ゲージが出荷調整で入りませんと。もうずいぶん前に5箱注文していたのに、それがいつ入るか分かりませんと。ええっ!!それは困ります。もう、ワクチンの予約が入っているのに、針がないからうてませんは言えませんよ。すぐに他のメーカーのを、と手配をしたら、そこのもすぐに出荷調整で、ひと箱だけ何とか入れてもらいました。でも、ひと箱100本です。今月の子宮頸がん予防ワクチンだけでも100人超えているし、それにインフルエンザ、新型コロナ・・。他の問屋さんにもSOSをして、かき集めました。
ちょっと一息つきましたが、こうなったら、ちょっと太いのや細いのを使わざるを得ないでしょうね。でも、コロナのワクチンは0.3ミリリットルですので、針内に残ることを考えると、太いのは駄目ですし。きっと、もっと細いのも出荷調整になるでしょう。一体、何がどうなって、こんなことになっているのでしょう。単に需要が高まっているというのだけではないのではと、疑っています。
薬も注射も注射針さえも。武器とは言わないけれど、道具がなければ医者の仕事はできません。困った困った・・です。
『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。
| 固定リンク
コメント