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ハグ

A子さんは、20代前半。知的障害があります。お母さまから、障害があるのですが、生理がなくなったので診てもらえますか?とお電話が入りました。どうぞ、連れて来てあげて下さいとお答えしました。障がいがあってもなくても、生理がない時には、まず腹式の超音波でおなかから子宮や卵巣を診ます。先ず大切なのは、子宮や卵巣に病気がないかどうかもそうなのですが、妊娠していないかどうかも大切なことです。ご家族が知らないうちに、性被害を受けていることもあり得るからです。でも、障害の程度によっては、ベットに寝るのを嫌がられることもあります。そんな時には、無理強いはしませんが、少し当方に慣れてから、改めと見させてもらうこともあります。そのためにも、生理が来るお薬を飲んでもらって、それが効くかどうかを見ることで、妊娠はクリアです。中には、7年かかって、やっと超音波を見させてもらったこともあります。

 A子さんは、子宮も卵巣も異常はありませんでした。でも、長い間生理がないとなると、何らかのホルモンの異常があります。それには、血液で調べなければなりません。

 血を取らせて下さいねというと、とても悲しそうで。お母さまによると、注射が大っ嫌いとのこと。でも、採血しないと原因が分かりません。検査室で、わーん、わーんと泣き声が聞こえます。でも、ちゃんと採血できました。もう一度診察室に入ってくると、まだなみだ目です。痛かった?と聞くと、痛かった、痛かったと。ごめんなさい。でも、頑張りましたね。もう、これで検査ができますからね、というと、ナースに向かって、

「お姉ちゃん、血を取ってくれてありがとう」

と、なんと可愛いい。今度ホルモン検査の結果を見て治療することにして、また一週間後に来て下さいね。というと、

「先生、ありがとう」と言って、なんと、両手を広げて私にくっついて来て、そして、ハグしてくれました。私もしっかりハグしましたよ。ちょっと太めの体がふわふわして、とてもいい感触でした。

彼女は、お姉ちゃんも、とナースの方に歩いて行って、ハグしています。

 私、しあわせでした。考えてみれば、もう何十年もハグなんてしたことがありません。孫が小さい時に抱っこをしたことはあるだけです。人と人が抱き合うって、ほんと、心地いい事なのですね。胸がほこほこしていました。

 そして思いました。こんなに素直に思いを表現できる彼女は、なんと幸せな人なのでしょう。それだけでなく、人に幸せを分けてあげる素敵な人だと、そう思いました。

久しぶりに青野さんのお花です。すっかり秋の花になっています。

2024105

 

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