性教育は教師がするものと思います。①
私は、もう40年近く前、山本直英先生と村瀬幸浩先生が一緒に性教協を作られて直ぐからのメンバーです。性教育については、いろいろな団体ともかかわってきましたが、性教協が一番正しいと思って来たし、活動もしてきました。性教協広島のメンバーからはいろいろと教えてもらってきました。メンバーのほとんどが学校の先生です。その学びの中で、私は性教育は何より教師がするべきものと思っています。
医師は、体は知っていても、性教育は素人です。素人から初めて、さまざまな実践者や患者さんと出会う中で、自分なりの性教育を作っていきます。その意味で、医師は謙虚でなければなりません。常日頃いつも子どもたちと向き合っている教師こそ、子どもたちの様々な姿を知り、今、彼等が何を必要としているかを感じ取り、実践していきます。だから、医師は実践をしている教師から学ばなければなりません。性教協広島のメンバーは皆さん、すごい実践者です。
まだバッシングの前、みんな授業を工夫し、実践し、それを模擬授業でみんなに公表し、批判を受け、さらに実践する。それは見ごたえがありました。指導要領で、性交を小学生に教えるようになった時、その時のディスカッションはそれは素晴らしかったです。あある学校では、小学校の担任が、それぞれの専門の教科の中で性教育の授業をする。そして、それを順繰りに教室を回って、同じ授業をします。理科の先生、国語の先生、保健体育の先生、それぞれに特徴があります。だから、その学年は、それぞれの先生から授業を受けますので、みんな同じ学びをします。
そんな時に、バッシングが始まりました。性交を教えることは、子どもと教師、それに保護者も加わって、なんにも問題がなかったのに、ありもしない想像の中で、意味のない批判が大出を振って歩きました。それは、今回私が買った浅井先生の「性教育バッシングと統一教会の罠」のなかにもありますが、地方の私たちが、どんな嵐の中に放り込まれたことか。そして、その痛手は、いまだに私たちの心を痛め続けています。
一例です。統一教会の関連のある人がPTA協議会の会長になりました。その人が繰り返し連れて来た人がPTAに講演をします。その中で、私たちの仲間の先生の個人名を上げて、授業の曲解をして報告します。
「ふれあい」の授業で、「いいふれあい」「いやなふれあい」などを話し合います。例えば、赤ちゃんをお母さんが抱っこする、うれしい時に親子で抱き合って喜ぶ、または友だちとハグをして喜ぶ。これらは気もちのいいふれあいです。でも、いやなふれあいもあります。それを知ることは、犯罪から実を守ることにもつながります。いやなふれあいは人にしてはいけないし、されたら、拒否をすることも大切な事。そんな授業です。それらは、保護者からも強く支持されていました。それをPTA教議会の会長に呼ばれて講演した人は、
「触れ合いとはセックスの事です。この教師は小学生にセックスをしましょうと勧めているのです。」などと言うのですから、それは聞いた保護者もびっくりするでしょう。
統一教会系のPTAの役員さんが市会議員を伴って、ある学校に行って、「性教育の教材を出してください」と迫りました。授業で使った何かがあるでしょうと。ちょうど七生養護学校の事件が起こったころです。もうその時にはその小学校で性教育を頑張った先生たちは転勤でいらっしゃらなかったのですが。校長先生からの当時の先生たちに連絡があって、そのことが分かりました。
(だれにも言わなかったことなのですが。ここで初めていうのですが。実は、このことには後日談があります。その市会議員さんと私は、ある方の尽力でお会いしました。その方の家で、鍋を囲んで話をしました。そして、その市会議員さんがPTA協議会の会長に吹き込まれていたことは、まったく逆であったことを理解して下さいました。そして、その大保守の議員さんは、以来、私を応援して下さったのです。)
先生たちの頑張りで、よく知られている七生の事件の陰に、広島だけでなく、地方で一体どれだけの事が起こっていたのでしょうか。私は、そのPTA会長にあらぬことを雑誌に書かれましたので、名誉棄損で裁判を起こしました。私が若者にセックスをそそのかして、家庭を壊し、社会を乱し、革命を狙っているだのと。そうして、私は広島市内の全ての学校での講演はできなくなりました・・。何しろPTA協議会の会長を訴えたのですから。でも、大丈夫です。広島市以外の県内、さらには県外の全国からの講演依頼はまだまだひきも切らずありましたので、私は変わらず忙しくしていました。
でも、私の事より、何より深刻なのは、先生たちが学校で性教育ができなくなったことなのです。この頃、統一教会の大運動で、政治も動きました。金と票がある彼らが、政治の世界に何をしたか、今になっていろいろと分かってきましたが、私たちにとっては、性教育が深刻な事態となったこと、指導要領の改訂、中学校の教科から、一斉に性交という言葉も消えたこと、そう、歯止め規定です。先生たちは身動きできなくなりました。そしてその歯止め規定はいまもなお続いているのです。
今年1月24日の朝日新聞に、広島のPTAの講演会になん度も呼ばれてきた、そして、嘘八百をしゃべりまくったその人が出ていました。統一教会との関係も出ています。その記事を皆さんに読んで欲しいけど、ここに出すのはダメみたいで、残念です。
この項、まだ続きますね。とても一回では語り切れません。
奈良の性教育指導セミナーから帰り、京都駅で乗り換え。少し時間があったので、伊勢丹デパートの地下のお弁当売り場で、なだ万のお弁当を買って帰りました。晩御飯に。さすがのお味でした。駅弁には飽きていますが、こういうデパ地下のお弁当、たまにはごちそうです。
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