15才のあなたへ①
どうだった?一週間考えて来た?相談もした?
そうだね。産みたいよね。うん、あのね、自分のおなかに赤ちゃんがいると知ったら、みんな産みたいと言うよ。はじめっから、困る、こんな子いらないという人はいないよね。レイプされたとか、辛い思いをした人は別にしてね。あなたも産みたいと言うのは、分かるよ。好きな彼氏との間の子なんだから。
ただね、産むからには育ててあげないといけん。それもね、幸せに育ててあげないとね。
彼はどうなの?産んで一緒に育てようと言ってくれた?
そうなん。悩んどるん。育てようとは言ってくれないん。そうねえ。彼も15才だったら、今から働いて子育てというのはしんどいかもね。で、誰かほかに育ててくれるという人はいるのかね。彼の親はどうなん?どう言われた?
そうね。申し訳ないけど、また早すぎます、中絶して下さいって言われたん。ウーン、私たちが責任をもって一緒に育てますとは言ってくれんかったん。あなたの親もダメって言われてるんよね。
今ね、他の国では高校に行きながら子育てもできるような国はあるけど、まだ日本は駄目なんよ。若い人の妊娠には冷たい国だからねえ。
赤ちゃんを産んで育てるのには、考えんといけんことがある。それを整理しようね。1.どこに住むか?家賃はいくら?電気、ガス、水道、食費、いくらくらいと思う?あなたの家のこれらの費用は、一体いくらなんか、これまで知らんかったでしょう?全部親任せだよね。それらが自分たちではいくらかかるのか?そして、そのお金を誰がどこで働いて、いくら稼げるのか?それを知らないといけん。そういう経済的な事って何より大切な事なんよ。
あなた一人では無理かもね。誰か協力してくれる人がいないとね。経済的な事だけじゃなくって、子育てって子どもが病気した時とか、いろいろ大変でね、誰か助けてくれる人がいるよ。彼が一緒に育ててくれるのなら、それも可能かもしれんけど。でも、私からみたら、彼は逃げ腰だね。はじめっから、うれしい、自分は一生懸命働くから二人でその子を育てようよ、と言ってくれない人は、まず逃げるね。そもそも彼は、あなたもだけど、妊娠するなんて、はじめから考えてないんだと思うよ。避妊のない性交をしたら、女性は妊娠するんだと知っていないんよね。私からみたら当たり前の事なんだけど。中学ではこんなこと教えてくれないからねえ。だから、こうなって初めてとまどって悩むんよねえ。
もう少し時間があるからね。しっかり考えて、相談もして。自分でちゃんと結論を出すこと。もう一週間あるからね。さっき言ったことなんかもしっかり考えて、結論を出してお出で。どっちにしても、いろいろと急いでしなければならない事があるからね。
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