« 大九州展その後 | トップページ | 15才のあなたへ① »

母体保護法指定医師研修会

先日の6月2日の日曜日は、母体保護法指定医師研修会でした。研修は、専門医の講習単位も取得できるため、参加しました。長時間で退屈だろうかと思いながら参加しましたが、どの講義もとても面白くて受講できました。


配布された資料は「許可なく複製・転載を禁ず」となっていますので、目次だけ。

Photo_20240602201801

兵頭先生のお話しの中には、「経口中絶薬治療の導入と運用に関する課題」と「刑法・刑事訴訟法一部改正の解説」が含まれていました。経口中絶薬はすでに昨年5月に日本でも認可されていますが、運用に厳しい条件が付けられていて、中でも入院が必須とされています。そのためもあってか、日本ではまだあまり使用されていないようです。その安全性は確立されていて、諸外国では入院が必須とされている所はありません。日本でも今後使用の拡大に向けての検討が必要と言われていました。

 人工妊娠中絶について、未成年の患者が保護者(法廷代理人)の了解を得られない場合の対応についても、詳しく話されました。親に話すことができない故に、中絶の機会を失し、孤立出産にいたり、新生児を殺害するという事件があることも。

「人工中絶を受けるために受診した女児が、①自分が妊娠していること、②時間の経過により出産に至ること、③育児能力がない事、④人工中絶が合法的にできること、⑤法定代理人(親)の同意が得られない事情をよく理解している事。以上の事柄を理解できているか、医師が確認することをもって同意能力ありと判断しても良い。いずれにせよ、書面上に記録として残し、問題が生じた場合に証拠とすることができるようにしておくことが必要である。」

 刑法の改正については、もう何度もここでも言ってきましたが、性暴力・性犯罪の刑法が昨年7月から変わったことについての周知でした。

 また、豊田先生のお話しでは、特にDVなど婚姻関係が破綻している場合の妊娠で、中絶の際の夫の同意はいらないとの事。ただし、婚姻関係の破綻については、きちんと記録をしておくこと。また、未婚の場合は配偶者の同意は不要。だも、これが、なかなか現実の現場では同意はいらないとはなっていませんが。

葵法律事務所の長谷部圭司先生は、医師であり弁護士でもあります。週5で泌尿器科や総合診療の医療を行われながら、今も14の裁判に携わってらっしゃると。正に鉄人ですね。お話しは具体的でわかりやすく楽しく学ぶことができました。医師法について、医療法について、患者の権利につい、刑法についてと。医療機関の宣伝、インフォームドコンセント、応召の義務、秘密漏示、虚偽診断書、堕胎罪・・。

そして、最後の近藤先生のお話し。出産の現場で赤ちゃんが生まれた直後、大出血で足が震える思いをしたことが何度もあります。いわゆる弛緩出血です。その止血のために、先生は、バルーン、風船を子宮内に入れて、その風船と手で圧迫して止血するという方法を教示して下さいました。写真や動画も使ってとても分かりやすく。なるほどと。私は今は出産の場にはほとんどいませんが、今もバリバリの現役の若い先生たちには、大いに勉強になったことでしょう。

 疲れたけれど、内容の濃い、楽しい研修でした・・。準備をされた先生方、ありがとうございました。

『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。



広島ブログに参加しています。このバナーをクリックすると、
私のポイントになります。ご協力よろしくお願いします。広島ブログ

|

« 大九州展その後 | トップページ | 15才のあなたへ① »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 大九州展その後 | トップページ | 15才のあなたへ① »