映画「カムイのうた」
尾道にいます。昨夜、遅くに来ました。車で来る時、知らなかったのですが、満月でした。大きな満月に向かって真っ直ぐに運転して。これは「月に吠える」だね、と思いながら。カープの中継を聞きながら来ようと思ったのに、雨で中止。仕方なく、月を気にしながら、ラジオの大竹しのぶの語りを聞きながらきました。満月は、時に大きく、時には高く小さく。こんなに変化すするものなのかと思いました。山の上の方では、霧で月が見えなくなります。長いトンネルを出ると、いきなり真正面に満月がきれいに表れて。「霧の長いトンネルを抜けると満月であった」だわ、なんて。ホテルは、昨日予約をしたのですが、以前泊まったことがある海辺のホテルで、海が見えると思って喜んで来たのに、工事で全室すっぽり覆われていて、何にも見えず、がっかりです。
今朝、朝ごはんの時、やっと海が見えました。ごちゃごちゃしていますが。
ホテルを出てから、ちゃんと海を見ました。
尾道に来たのは、シネマ尾道で「カムイの歌」を見るためです。見たくとも、広島の上映には、行くことができませんでした。今日を逃すと、もうずっと見られないと思って。
今、見終わって、尾道中央図書館に来ました。この映画は実話を物語にしたものです。美しい北海道の自然の中で生きて来たアイヌの人たち。和人から本当にひどい差別をされ、でも、自分たちの歴史や自然や神を口伝で歌い脈々と受け継いでいきます。



その歌ユーカラを日本語に翻訳した知里幸惠さんの生涯です。

翻訳した「アイヌ神謡集」が出版された当日、彼女は亡くなりました。わずか19才。驚いたのは、彼女が書いた序文のすごさです。映画でも一部読まれましたが、買ったパンフレットにその序文の全文が出されています。
「その昔この広い北海道は、私たちの先祖の自由の天地でありました。天真爛漫な稚児のように、美しい大自然に抱擁されてのんびりと楽しく生活していた彼らは、誠に自然の寵児、何という幸福な人達であったでしょう・・・」

19才。大正11年の事です。人権だとか人々はみな平等だとか、そんなことを学ばなくとも、彼女は自ら差別される不条理の中で、鋭い感性でこれを書き上げたのでしよう。
なんとも感動的な映画でした。あんまり感動したので。実は、3時15分から韓国映画「ビニールハウス」が上映されるので、それも観て帰ろうと思っていたのですが、それはまたにします。この感動がうすれそうな気がしますので。わざわざ泊りがけで来てよかったです。
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