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さらに松本人志氏の事件について

松本人志氏の事について、もう少し。コメントを様々な人が言っていますが。中でも「なぜ今なのか。8年も経ってから」と、同時に「なぜ週刊誌なのか。事実なら、警察に行け」というものが多いのですね。このコメントを言う人は、「性犯罪」に対しての日本の状況が全然わかっていないと思います。

 前者の「なぜ今なのか」については、昨日に言いました。すぐに言えなくても、それを抱えたまま生きるのがつらくて、やっとの思いで「今」言えたという人。性暴力の被害にあった人たちに接していれば、こんなことは全く普通にあることだとわかります。

 何度も言っていることですが、日本の性犯罪についての法律は、明治時代に作られたのが延々と続いていたのです。「明治時代」というと、女性は、立候補はおろか投票権もなく、男性たちだけで法律は作られていました。そして、その法は、まさに男性のための法律であって、性犯罪の加害者が法で罰せられるためには、被害者が「死ぬほど抵抗しなければならなかった」のです。昨年の7月、やっと法律が変わるまで。

 今回の松本人志氏の被害とされている女性は「逃げようと思えば逃げられた」かもしれません。パーティーだからと騙されて連れていかれても、「俺の子どもを産んでくれ」と迫られても、「逃げることができた」はず。だから、警察に行っても相手にされません。裁判でも、有罪にはなりません。

伊藤詩織さんの「Black Box」を読んで見て下さい。あんなひどい状況でレイプされても、それは「合意の上だ」と刑事事件では加害者は逮捕すらされず、立件すらされませんでした。これまで多くの女性がどれだけ悔しい思いをしてきたか。

ある女性、お酒で意識がなくなって気づいた時には、動画を撮りながら、レイプされていたのです。彼女はやめて下さい、やめて下さいと抵抗し、その動画も法廷に出されました。しかし、判決は「やめて下さいというのは、性交ではなく、動画を取るのをやめて」と言っていると「加害者が判断した」ので、加害者は無罪でした。
 
 実の父親に長い間レイプされ続けても、「逃げようとすれば逃げられたはず」と加害者は無罪となり、多くの女性が怒りました。

 騙されてレイプされて、警察に行って相手にされるのは、昨年の7月からです。

 そんな日本の法律の状況だということを知らない人が「警察にいけ」というのでしょう。ちなみに、ジャニーズの事件でも、警察に行けばよかったのにという人がいます。男性は、2017年に一部法が変わるまでは「被害者」にならなかったのですよ。被害者は女性だけでした。

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そんな、警察に言っても相手にされない被害者が週刊誌に訴えるという方法があってもいい。警察に言うよりも報復になるでしょう。しかし、セカンドレイプはひどいでしょうが、それすらも覚悟で訴えているのだと思います。週刊誌がジャニーズの事件をずっと報道してきても、まったく社会が相手にしなかった、今回もそれと同じことを繰り返そうとしているのでしょうか。

それから、松本氏がMCをした、NHKの「世界のLOVEジャーナル」、見ていて、気分が悪かったです。そのような性に関してのテレビなどの報道をしている国は、子どもの頃からしっかり性教育がされていて、性に関してのアイデンテイーもしっかり持っている「大人」対象の番組です。日本のように、避妊すらちゃんと教えない国とは、土台が全く違います。一体、何が目的なのかが、さっぱりわからなかった番組でした。それなら、「世界の性教育」をルポしてくれる方が、はるかに役に立つでしょう。「自分にも年頃の娘がいるので」という松本氏の隠そうとしてもつい漏れる卑猥な笑いが、さらに気持ち悪かったです。

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