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子宮頸がん予防ワクチン・キャッチアップは期限があります。

先日、22歳の患者さんが、子宮頸がんの予防ワクチンをうちに来られました。いわゆるギャッチアップです。ワクチンを無料で打てるのは、原則高校一年生まで。ですが、子宮頸がん予防ワクチンの積極的勧奨をしなかった間に打てなかった人たちの救済として無料で打てます。これについては、後述します。

 その彼女にはお母さまがついてこられました。普通、診察室には、お母さまのつきそいは特別な場合だけにしているのですが、ワクチンの接種ですので、これについては、お母さまにも聞いていてもらったほうがいいと思って、そのまま、お二人に聞いてもらいました。子宮頸がん予防ワクチンについては、大々的に副反応が報道されたこともあって、親世代の方が心配されることもかなりあるからです。ワクチンを打つ前に、丁寧に説明をします。一人につき、約15分かかります。

 その説明が終わって、それでは、うちましょうね。お母さま、それでよろしいでしょうか?と尋ねた時、

「はい、あの、ちょっとよろしいでしょうか。」とお母さまが言われます。はい、どうぞと言いました。何か質問だと思ったからです。そしたら、

「私は、この子が生まれるまえからこちらの患者でした。そしてこの子が生まれて、その後第二子をと思ってこちらに来た時に、先生ががん検診を勧めて下さいました。してもらったら、引っ掛かったのです。そして、すぐに大学病院に紹介されて、手術を受けました。あの時に先生に勧めてもらわなければ、私はこの子を育てることもできませんでした。先生のおかげです。先生にお礼をと思いながら、今まで仕損じていました。本当にありがとうございました。」と。お母さまもお嬢さんも涙ぐんでいらっしゃいます。

「それは、それは。良かったですね。でも、それならお嬢さんも、もっと早くワクチンをうちにこられても良かったですね。」というと、
「そうです、そうなのですが、副反応が怖くて、」とおっしゃいました。そして、お礼の気持ちです。使って下さいと、このハンカチを下さいました。ありがたく大切に使わせて頂きます。

Img_6257

 そこで、キャッチアップについて。これは昨年の3月27日に私のブログに書いています。詳しくはここで。で、気を付けて頂きたいのは、これは無限ではないということ。期限があります。来年の9月までにうち始めないと、3回が無料でうてる事はなくなります。

http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2022/03/post-56a836.html

このブログの一部の大切な所だけを張り付けておきますね。以下です。

2013年4月からやっと定期接種となって無料で接種できていたのに、アッという間、その年の6月に積極的勧奨が中止となりました。その結果70%を超えた接種率が1%未満となってしまいました。今や、世界の中で日本はこの点については孤立しています。アフリカの国々もどんどん接種され、ルワンダなんてほぼ100%の接種率です。その結果多くの国々で「子宮頸がんは我が国では克服した。これからはごくまれにみる珍しい病気になるであろう」という宣言が次々となされています。

 私がずっとぶれずに接種を続けてきたのは、世界を見て来たからです。世界中でどのように接種されどんな成果上げているか、次々と発表される論文を読んできたこと、WHOの「世界中でもっとも安全なワクチン」との発表もありました。同時に日本において誰によってこのワクチンの反対運動がなされてきたかを初期からずっと見続けてきたことによります。そのうち、名古屋スタディなど、子宮頸がん予防ワクチンの副反応とされたものが、実は思春期特有の症状であるとの証明がなされてきました。

そもそも積極的勧奨を控え、WHOや世界産科婦人科学会などから早く再開するようにと度々日本に対しての勧告があったのに、無視し続けてきた責任が誰にあるのかということです・・。その間、どれだけの若い女性の子宮がなくなり、命さえも亡くなり続けたことか。

(中略)

以下、子宮頸がん予防ワクチンを打ちそびれた方たちの救済接種です。無料で接種できます。

1. 平成9年(1997年)4月2日から平成18年(2006年)4月1日までに生まれた方で子宮頸がん予防ワクチンを打っていない方、または3回接種の途中でストップした方、残りの回数、無料で接種できます。
2. 接種期間:令和4年(2022年)4月1日から令和7年(2025年)3月31日までの3年間。
3. 各医療機関で。あらかじめ電話で予約をして下さい。接種券は、とりあえず、いま接種している人(小6から高1まで)用のを使います。ただし、救済接種の人には保護者の同意のサインは要らなくって、本人の同意のみでいいそうです。

以上です。

 

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