性犯罪の刑法改正
性犯罪に関しての刑法がやっと変わります。本当にやっとやっとです。明治時代以来の法律で、どれだけの人が悔しい思いをしてきたことでしょうか。世界の中でも、ひどい状況であった日本の法律です。変わるのは、こんなことです。一部NHKから転載させていただきます。
この中で、これまであったのは、暴行・脅迫のみ。これによってどこまで抵抗したか、暴行・脅迫で抵抗できない状況であったか、被害者のこれらが問われるものでした。
ここのところ、すさまじくと言っていいほど多いのが、薬物を飲まされて、意識がなくなったりおかしくなった時に暴行されたという、いわゆるレイプ・ドラッグ。だから、こんなことを注意しなければなりませんでした。
私の患者さんでは、新幹線の中で隣の男性から「コーヒーをどうぞ」と言われて飲んだところ、意識が戻った時には、どこかのホテルであったと。それまでの意識が飛んでいるのですが、傍から見ていると、手を引っ張られて、あるいは体を支えられているようでも、自分の足で歩いているようなのですね。だから、明らかにドラッグの影響であっても、防犯カメラで自分でホテルに入っているから、これは合意だとされたことが悔しいけれど、何件もあります。カラオケでカルピスを飲んで、目が覚めたら男性が自分の上に乗っていたというのもあります。
もしも、レイプドラッグかもしれないという時には、できるだけ早く尿で検査をする必要があります。
経済、社会と力関係による影響力というのは、会社の上司とか、学校の先生とか、スポーツの指導者とか、これらがあてはまります。断ると試合に出してもらえないかもというのですね。今のジャニーズの問題もこれにあたります。これまでは、年齢も13才以上だし、どれだけ抵抗したかが問われ、だからこそ、多くの少年が被害にあい続け、それを告発できないできました。
それから、家族による性暴力。これもまさかという判決がこれまで出続けました。実父による繰り返しての性暴力も「抵抗できたはず」で無罪などと。これは、明らかに虐待ですので、これからは、罪に問われることができます。
これ以外でも、時効の問題とかありますが、実は、子どもの被害についての時効は、まだ甘すぎると思っています。多くの国では、子どもの被害は時効なしとする所もあります。今、広島で裁判で実父を訴えているケースでも、子ども時代からずっと胸に抱えていても、大人になって初めて告発できたということでした。一審では時効で被害者が負けています。
子どもの被害の場合、これまで、子どもが加害者を「好きだったから」ということがあります。これも手なずけてのコントロールで、罪に問えるようになりました。
やっとで、ホッとしていますが。問題は、これらの改正を受けて、警察や検察や特に裁判官が被害者を傷つけることがないように、意識を変えることができるか、これをちゃんと監視していかなければということだと思います。
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