飛行機は怖い。
あの豪雨から、どこに行っても誰に会っても、あの雨の時に、という話がはずみます。一番印象に残ったのは・・。
ある方。ちょうど海外から成田に帰って来て、豪雨の中、予定通り羽田へ。そして広島行きの新幹線は全滅でも、飛行機はあの雨と風の中を飛んだのだそうです。予約していたのでそれに乗って。もう、外国のも国内のもよく飛行機に乗る人だったのですが、これまでで最高に揺れたのだそうです。ずっとシートベルトを締めっぱなしで、でも、トイレに立った人がいて、するとすぐに、立たないで、シートベルトをしっかり締めてと言われて、自分の席に戻るなり、嘔吐されたのだそうです。気の毒に。
それで、思い出しました。私も、台風の中、飛行機に乗ったことがあります。その次の便から欠航でした。よかった乗れる!と、喜んで乗りました。どうしても東京にいかなければならなかったのです。大変にお忙しい人に面会のお願いをしていました。ある裁判を抱えていて、その方に会って頂かなければ、私の医師人生、いえ、人生そのものが終わると思っていました。そしたら、台風だと。なんと!診療もあるし、新幹線ではなく、予定していた飛行機に乗ることが絶対に必要でした。
でも、乗ったのはいいけれど、それは揺れました。飛び立つときから。ジェットコースターみたいに。ああ、怖い。もうどうしようと思っていたら、近くでお母さんと子どもが乗っていたのです。その子が揺れるのが楽しくって、大笑いしたのです。「キャー、アハハ、アハハ」と。そのとたん、私の気持ちもすっと落ち着きました。もうじたばたしてもしょうがない。パイロットさんにまかせましょうと、肝が座りました。あの時、子どもが、「こわいよう」と泣きだしたら、私も泣きだしたでしよう。笑ってくれて、ほんとうに助かりました。
怖い思いのついでの話。やはり東京への飛行機の中で、隣に座っていた男性が、席を窓際から通路側に代わってくれと言われたのです。トイレに立ちますからと。私は窓際のほうがいいので、喜んで変わりました。そしたらその人は、飛行機が飛び立つ前から、ポケットウイスキーを出して、ストレートでぐいぐいと飲みます。全部飲み終わって、そして、ふうっと息をして言われました。「ああ、やっと落ち着きました。」と。「僕はね、飛行機が怖くて仕方がないのです。飲むと少しは落ち着きます」と。「僕の仕事はね、飛行機の事故があると、すぐにそこに飛んでいって原因を調べることなのです。」ですって。「地上から、飛んでいる飛行機の例えばコーヒーポットが故障したということまで、すべてわかるのです。でも、分かるだけで、なにもできません。落ちているのを見ていても、ああ、落ちているとわかるだけです。」と。その人が、飛行機に乗るのを怖がるなんて。ああ、やっぱり飛行機って怖いものなんだと、ぞっとしました。
以来、私は遠方は仕方ないけれど、東京までは新幹線にしています。時間はかかりますが、怖い思いをしなくて済みますから。その時間、ビデオを見たり本を読んだり、結構貴重な時間になります。
青野さんの花です。芍薬と、でっかいネギ坊主のような紫の花はアリウムギガンテウムと言います。
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