広島市の平和教育について③
はだしのゲンは、現在24か国語に帆編訳され、世界中に広まっています。
2009年には、英語の翻訳本全10巻が完成し、広島で完成記念の会
英語版全10巻出版記念会『世界へ飛びたて はだしのゲン』出版激励会が開かれました。私も、その会の呼びかけ人の一人として参加させていただきました。その会について、ゲンの翻訳、編集を務める「プロジェクト・ゲン」のブログをご紹介します
http://project-gen.seesaa.net/category/26551217-1.html
平成21年7月26日、プロジェクト・ゲンは広島市メルパルクにおいて『はだしのゲン』英語版全10巻の出版の記念会を行いました。また、現在、各言語で出版されている、もしくは目下翻訳中のゲンをも含めて激励しようとこの会を企画しました。
広島平和文化センターのスティブン・リーパー理事長様、中国放送顧問の佐々木典明様、河野クリニックの河野美代子様、広島映画センターの牛尾英隆様には呼びかけ人としてご尽力頂き、広島での会は一層有意義のものとなりました。
当日はこの時期、特にご多忙の秋葉広島市長様や中川宝塚市長様始め、英語、ロシア語をはじめ朝鮮語、ポーランド語、ウクライナ語、中国語、イタリア語の7言語の翻訳者、北海道や沖縄からの参加者は100名を超え、また新聞、テレビ、ラジオの取材陣も30名以上となり、急遽会場を拡張していただきました。
会場では英語版『はだしのゲン』を参加者の皆様にお買い上げ頂き、中沢啓治さんが中央に減の顔を描いた色紙に参加者は思いおもいのメッセージを書いて、オリヅルを添えてオバマ米大統領&ファミリーに届けることにしました。無事届いたかどうかに関しては今のところ定かではありませんが、確実に届く方法を採っていますので、いずれ判明しました時には皆様にご報告いたします。(風呂敷と和紙による包装の写真)①
プロジェクト・ゲンは海外ゲストとしてウクライナの ワシレンコ・ニーナミハイロブナさんとタイのチャットナコーン・オンカシングさんを招待しました。(以下略)
2016年には、「はだしのゲン翻訳者の集い」も開かれました。
翻訳をされているプロジェクト・ゲンと共に、これらの翻訳本を世界の人々に届ける活躍をしている「NPOはだしのゲンを広める会」の声明が出されました。こうして、広島市教育委員会が行ったことは、世界中に広げられています。
2023年2月22日
広島市の学校教材に「はだしのゲン」継続採用を求める声明
特定非営利活動法人
はだしのゲンをひろめる会
理事長 白﨑 良明
広島市教育委員会が、平和教育プログラムの一環として2013年度から小学3年生の学校教材「ひろしま平和ノート」に採用してきた漫画『はだしのゲン』を2023年度から削除し、別の被爆者の体験に差し替えることが大きく報道されています。
広島市教育委員会は、この度、平和教育プログラムを「実相の検証」「発信」「発達段階」「最新の情報」の4つの観点に沿って検証した結果、次の問題点を挙げています。①「実相の検証」漫画の一部を教材としているため、被爆の実相に迫りにくい。②「発達段階」浪曲の場面は、児童の実態に合わない。鯉を盗む描写は、誤解を与える恐れがあり、補足説明が必要となるため、教材として扱うことが難しい。③「発信」ゲンの気持ちを考えることに留まり、教材を通して、自分が平和について考えたことを伝える学習となっていない。
(2023年2月8日、広島市教育委員会学校教育部指導第一課・第二課)
被爆の実相をリアルに伝える作品
『はだしのゲン』の学校教材からの削除には、「時代背景の説明に時間と手間をかけて伝えることが教育の本来の役割」「切り出した場面が分かりにくければ違う場面を使う方法もあったはず」「核戦争の恐れがある今こそ、ゲンの継続採用を求めたい」「広島市議会に市内図書館から『はだしのゲン』を撤去する陳情書が提出されていることが背景にあるのでは?」など様々な意見が本会に寄せられています。
これまで被爆者の皆さんが国内外で被爆の実相を証言してきましたが、高齢化を迎える中で次世代への継承が急務となっています。その意味で核兵器の残酷さと平和の大切さを描いた『はだしのゲン』の果たす役割は大きいと言えます。『はだしのゲン』はこれまで世界で24か国語に翻訳・出版され、国内外にて多くの子どもたちや若者たちに読み継がれてきた実績があります。戦争を知らない世代に被爆の実相をリアルに伝える最適の作品です。
私たちは広島市教育委員会が学校教材に『はだしのゲン』を継続採用することを求めます。
『はだしのゲン』連載開始50周年に寄せて
はだしのゲンをひろめる会は、国内外に被爆の実相と核兵器の非人道性を伝え、核兵器廃絶と平和への思いを継承していくため『はだしのゲン』の普及・読書運動を進める事業を行い、「核兵器のない世界」をめざす運動を発展させることに寄与することを目的(定款第3条)にしている特定非営利活動法人です。2013年のNPO法人設立から10年間の寄贈実績は、プロジェクト・ゲンが翻訳した英語版、ロシア語版を中心に34か国319セットにのぼります。広島市内では国際協力機構(JICA)中国、のぼり平和資料室(広島市立幟町小学校内)、広島県立図書館等にも寄贈しています。
『はだしのゲン』は、「週刊少年ジャンプ」に連載されて今年6月に50年を迎えます。広島が活動の拠点であるNPO法人ANT-Hiroshimaの呼びかけで昨年暮れに50周年記念事業実行委員会を結成し、今年6月3日~4日、広島市内で多彩なイベントを企画しています。また全国各地で記念事業が行われるよう情報発信していきます。
本会では「ゲン50周年」記念として、学校図書館や公立図書館等への普及・寄贈活動に積極的に尽力していく所存です。
以上です。
今や、この件は、広島だけの問題ではなくなってきています。
ここまで広がってきたのは、それは、「はだしのゲン」が、単なる被爆証言だけではなく、権力者によっていかに人々が戦争に巻き込まれて行ったか、ゲン=中沢さんのお父さんのようにそれに抵抗する人たちがどんな風に迫害されて行ったか、言論がつぶされていったか、日本に侵略をされた国の人達が、どう差別されてきたか、原爆がいかに非人間的、悲惨なものであるか、そして、それを三度繰り返さないためには私たちはどうすればいいのか、それらが余すことなく、描かれているからでもあります。原爆の被害にあって、それらを一番知らなければならない「広島」という土地で、子どもたちの教育の場で、「ゲンが外された」ということは、世界中に広められています。
「はだしのゲン」の代わりに採用された「いわたくんのおばあちゃん」は、先日の中国新聞のように「素晴らしい本だと」言われていますが、「被爆証言」としてはそうでしょう。しかし、それだからと言って、決して「はだしのゲン」に代わるものではありません。
「いわたくんのおばあちゃん」について、その本について私が思うところと、肝心の「へいわノート」に、この絵本がどう扱われているのか、それを続けます。
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