« 広島市の平和教育について⑧ | トップページ | 「性問題行動の基本的理解」の講義を受けました。 »

広島市の平和教育について⑨

 中沢みさよさんと電話でお話ししました。みさよさんは、埼玉と広島を行ったり来たりしながら生活していらっしゃいます。やはり、みさよさんは、今回広島の「へいわノート」からはだしのゲンが削除されたことを、広島市の教育委員会からは知らされておらず、RCCから電話があって、初めて知ったのだそうです。このシリーズ②の被団協からの申し入れにあるように、中沢さんは、はだしのゲンの原画をすべて広島市に寄贈されています。

「平和教育ノートに原画を使用するにあたって、広島市は遺族に了解を得たのでしょうが、使わなくなることについて報告したのでしょうか。
 削除を決めたのであれば遺族に経緯の説明と感謝の意を込めて連絡すべきだったのではないでしょうか。それが無償で掲載を承諾している遺族への礼儀だと思いますがいかがでしょうか。」

 やっぱり。中沢さんは、広島市から平和ノートにゲンを掲載するということを、とてもとても喜ばれたのだそうです。全国的に図書館から排除しようとする動きがある中での掲載です。「この10年は何だったのでしょう」とみさよさんはおっしゃいました。へいわノートに掲載されたのが2012年。中沢さんがなくなったのも2012年です。そして10年。広島市教育委員会は、よくわからない経緯のままに「はだしのゲン」の削除を決めました。

そして、今、「元教員や日本会議の会員たちでつくる市民団体「広島の原爆被害を考える会」は16日、漫画「はだしのゲン」を広島市立学校の平和教育の教材から削除する市教委の方針について、評価する文書を提出した」と中国新聞に掲載されました。やはりね。以前私も書いたように、図書館からはだしのゲンを排除する運動をしている日本会議や右派の人たちにとって、今回の市教委の決定は、拍手喝さいなのでしょう。

先述の被団協とは別に、日本被団協の事務局長が談話を教育委員会に送付されています。それをここに掲載させて頂いて、このシリーズも終えることにします。また、機会があれば、掲載いたしますね。つらつらと書いた私の文を読んで頂いてありがとうございました。

平和教育教材から『はだしのゲン』を削除した広島市教育委員会の決定について

日本原水爆被害者団体協議(日本被団協)

事務局長 木戸季市

 今回の広島市教委の決定を聞いて、驚き、あきれています。

 被爆者(5歳、長崎被爆)として、長く学校(小中高大院)で学び、ほぼ40年間教育の場(短大教員)で生きてきた者として、怒りを禁じ得ません。

 削除を決定した広島市教委、審議にあたった13人の識者、教育専門家に教育とは何かを根本から考える人はいなかったのでしょうか? 一人でも教育とは何かわかっている人がいたらこんな結論を下すことはなかったでしょう。

 今回の改訂にあたって「『漫画』の一部を取り上げるだけでは、被爆の実態に迫りにくい」として、「被爆者の体験談に差し替えることにした」と報道されています。悲しくなります。原爆が人間に何をもたらしたか全く分かっていないと感じるからです。

 被爆者の体験談は多くの場合、個人の体験です。『はだしのゲン』は多くの被爆者の体験を基に被爆者が苦しみ、生きてきた全体像を描いています。『はだしのゲン』を削除し「被爆の体験」に差し替えることは原爆被害の全体像を見せない結果をもたらしかねません。真逆の判断です。

 教育委員会のみなさんは日本被団協の『原爆被爆者の基本要求』の「原爆がもたらしたもの」をお読みになったでしょうか。被爆者が何を求めて生き、たたかってきたかを学び検討されたでしょうか。

 さらに看過できない根源的な問題があります。一つは教育行政の責務は教育条件の整備であり教育内容への介入はできないということです。もう一つは人類の歴史を知り学ぶとはどういうことかという問題です。「児童の生活実態に合わない」ことを理由に過去の出来事を学ばせないことは過去の事実を学ばせず人類の歴史を学ばない行為です。これほど人類史を冒涜する行為があるでしょうか。

 密室の会議で表現の自由を抹殺する行為は戦前の言論弾圧の歴史、菅内閣の学術会議会員の任命拒否を思い起こさせます。密室、理由なき結論の押し付けは戦争への道につながります。許せません。

 広島市教委は今回の措置を撤回し、広島市民、被爆者に広く開かれた公開の新しい会議を設け、改めて審議されるべきだと考えます。広島市教委の猛省を求め、談話とします。

以上です。それから、このシリーズの前に2月27日に、「はだしのゲン」・中沢啓治さんというタイトルでブログを書いています。それも、ぜひ読んで戴けると幸いです。

お正月過ぎに大分に帰って、義兄から晩白柚を頂きました。私の頭より大きいの。それをやっと食べました。美味でした。その皮の白いところを昨日から二日がかりでお菓子にしました。ちょっと苦みがあるけど、それがいい具合の風味になって、なかなかです。たくさんできたので、どうしましょう。

Img_2668

 

 

『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。

 

 

 

広島ブログに参加しています。このバナーをクリックすると、
私のポイントになります。ご協力よろしくお願いします。広島ブログ

|

« 広島市の平和教育について⑧ | トップページ | 「性問題行動の基本的理解」の講義を受けました。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 広島市の平和教育について⑧ | トップページ | 「性問題行動の基本的理解」の講義を受けました。 »