映画「チョコレートな人々」の続きです。
映画「チョコレートな人々」を観て、ずっと頭の中にあることを書きます。
映画の中で、主役の夏目さんが、まだチョコレートの前にパン屋さんをしているとき。重度の障がいのある女性を雇用していました。彼女は、レジをする時にゆっくりで、それを他の従業員からせかされる事がありました。すると、彼女は自分を傷つけてしまいます。夏目さんは、根気強くしていれば、必ずできるようになると信じていましたが。どうにも困難になった時、夏目さんは、彼女の母親から叱られます。「あなたは、この子ほ健常者として見ている」と。「そうではない、この子は障がい者なんだ」と。「もっと大人になれ」と言い放ち、二人は去っていきます。
今、会社は、こんなに発展しています。550名の内、350名が障がい者です。そして、皆さん結構なお給料をもらって生活しています。
ダウン症で、重度の障害のある男性は、ほうじ茶を粉にする仕事をしています。はじめは、器の中で叩いてつぶす。それから、夏目さんは、石うすを購入。それですりつぶします。その後、今度はもっと優しいハンドルを回してすりつぶす簡単な機械を購入します。彼は、そのハンドルをぐるぐると回してほうじ茶を粉にします。(ちなみに、私が買ったチョコの内、ほうじ茶のチョコ、香ばしくてとっても美味です。)
私は、診療は基本患者さん本人と話をしたいのです。高校生等、母親が診察室に入ってこられて、お母さんがしゃべられることがよくあります。生理不順や生理痛などなのですが、私は、本人に質問をし本人の口から聞きたいのです。でも、それを嫌がられるお母さんもいらっしゃいます。そうですね、その子の事を一番よく分かっているのは、一緒に生活する親御さんなのですから。でも、中には、母親に知られたくないことをもっている女性もあります。
障がいのある人でも。ある日、お母さんから叱られました。「本人に言っても駄目よね先生、この子は障がい者なんじゃけえ。私に話をしてください。」と。それから私はお二人にお話しするようにしていますが、基本は患者さん本人だとの思いは消えません。
まったく話ができない、コミュニケーションをとるのが困難な女性もいます。そのような場合は、当然お母さんとお話しします。でも、彼女のお顔も見ながら。ある女性は、お腹からの超音波エコーで子宮を診たかったのですが、嫌がって無理でした。毎月、その後2か月に一回通ってこられて、お薬をお出しします。その内、私の顔を見ると、にこっとするようになり、やっと超音波エコーができたのが、7年後でした。
どうしても診察や処置をしなければならないけれど、無理なときには、仕方なくですが、麻酔で眠ってもらって診察をすることもあります。
人それぞれで決まりはありませんが、無理強いはせず、焦らず、じっくり、信頼関係を作りながら。映画には、それと通ずる部分がありました。それでも、夏目さんがお母さんに叱られて呆然とする姿が痛かったです。
いい映画とおいしいチョコレートです。
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