「性暴力サバイバーが出産するとき」
友人である白井先生が以前から取り組んでいらっしゃった本が完成しました。
「子どもの頃に性的虐待を受けた女性が出産するときにおこることの理解と癒し」。原題は「WHEN SURVIVORS GIVE BIRTH」の翻訳本です。
白井千晶先生は静岡大学人文社会科学部教授、専門は家族社会学。全国養子縁組団体協議会代表理事、養子と里親を考える会理事。養子縁組の関係で先生と知り会いました。
私が書いたこの本の推薦文を載せます。使われたのは、この一部です。
私は、これまで50年間産婦人科医として妊婦のケアやお産に携わる一方、妊娠SOSや性被害ワンストップセンターに関わってきました。
今、改めて考えるのは、この社会にはどうしてこんなに子どもの性被害が多いのだろうかということです。本当に許せないことが起こり続けている、この事態をどうすればいいのかと。
同時に、被害にあった彼女たちが、この先、痛みを抱えながら生きていけるのか、その立ち直りと成長のために、周りはどうサポートしていけばよいのかということも。
この本は、そんな子どもの頃に性的被害にあった女性たちが、やがて自ら命を生み出そうとする時、どんなことが起きるか、そして周囲はどうケアをしていけばよいのか、それらが網羅されています。
二人の女性によって2005年に初版が出版され、第12版まで増刷され続けました。しかし、この社会では、この本の需要はますます高まり、この度初版に細かい修正を加えて改めて増刷されたものです。
出産に携わる医療者などにあてて、コミュニケーションスキル、カウンセリングや内診の仕方などについてまで、きめ細かく記述されています。
私は、これまで助産師や保健師、臨床心理士などはもちろん知っていましたが、ドゥーラという、妊婦に寄り添う職業があることは存じていませんでした。妊婦としっかり信頼関係に結ばれてサポートしてくれる人がいるなら、日本のお産事情もずいぶんとよくなるでしょう。心のつらさを抱えている人には、なおさらだろうと思いました。
この本は、女性の医療やカウンセリングにかかわる人達、特に性的被害のサバイバーにかかわる人たちすべてが手に取っては読むべき本でしょう。さらに、サバイバー当事者の方たちも読んで戴けたなら、きっと前向きに命を生み出すことができるようになるでしょう。とてもきめ細かい配慮に満ちていますから。
目次から。
読みにくいかもしれませんが、さまざまな方の推薦文が乗っているチラシを載せますね。
私は、産婦人科医、助産師、保健師、精神科医、心理師など、性暴力に傷ついた人に関わる全ての人に読んで戴きたいし、さらに、全国の性被害ワンストップセンターに置いておいてほしいと思います。
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