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緊急避妊薬のOTC化に反対します。さらに。

年の終わりに、こんな気分でいることは情けないので、昨日まで二日に渡って書いたことの、もう少し追加を書いておきたいと思います。

「日本の女性が自立していないと言い切ることに違和感がある」と言った方がおありです。きっとその方の所には自立した意識の高い患者さんたちが訪れるのでしょう。統計を見てください。日本の若者の避妊の統計では、コンドームと膣外射精が85%という、男性任せ、男性の意志に任せる方法をとっていること。それすらも、つけてと言えなかった、言ってもつけてくれなかったというのが私のところでの45%という数値となっています。私のクリニックは、地べたを這うような診療をしているものですから。それから、薬剤師さんの中には、熱心に勉強している方が多くいるということですが、OTC化されれば、勉強していようがしていまいが、全国のどこの薬局でも、自由に「売る」ことができるようになるのです。これまで、何十年も懸命に性教育に取り組んで来て、その流れの中でこの緊急避妊薬にも取り組んで来て、クリニックでの若者の姿を見てきて、危惧しているのです。

 コンドームが緊急避妊薬にとって代わるのではないかと。

 それから、条件として、「一般の薬にはさせない」と言った方がおありです。はじめは薬剤師さんの面前で飲むことにしても、今の法律では、三年たてば、自動的に一般の薬として、まったく自由に買うことができるようになる仕組みをご存じでしょうか。そうさせないためには法律を変えるしかないのですが。今の社会で、こんな法律が三年以内に変えられると思われるのでしょうか。日本は、DV男や性暴力にとても甘い国です。明治時代の性犯罪の法律を変えるのにも、こんなにもたもたしている状況なのですよ。

 また、性教育もOTC化も両方頑張るといわれていますが、そんな生易しいものではありません。この間、歯を食いしばってバッシングにも耐え、とにかく続けることと頑張ってきた者にとって、新たな危険が迫ってきた時に、それに反対の意志を表明するのは、当然のことでもあります。

 性教育の世界では、また指導要領が変わりませんでした。2023年度は、小学校の教科書採択、2024年度は、中学校の教科書採択となります。指導要領が変わらなかった以上、

〇小学5年の理科(人の受精に至る過程は取り扱わないものとする)
〇中学1年の保健体育(妊娠の経過は取り扱わないものとする)という「歯止め規定」はそのまま引き続き記載されます。

そして、次に教科書が改定されるのは、4年後なのです。これからまた4年も、「性交という言葉は使ってはならず、性的接触という言葉で」という教科書を使い続けなければなりません。これは、まさに政治の世界なのです。

このような政治の世界を見るなら、「頑張る」という情緒的なことではないということです。日本中の子どもたちが、どこに住んでいても、しっかりと性教育を受けられる環境にすること。それは、自分が性教育の講演をして回れば解決することとは遠く離れたことであると思います。


 私は、本当に危機感をもって声を上げています。

こんなことで今年のブログを終えるのは、ほんとうに情けないことですが。今年は、私が言い続けて来てもあまり振り向いてもらえなかった統一教会と性教育バッシングについても、やっと少しは分かってもらえるようになってきたかと、それとこの緊急避妊薬についてもつながっているということを言いたくて、最後の締めくくりとしました。

クリニックのお正月のお花です。

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皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。


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