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京都、風工房の話。

もうだいぶ前のことなのですが。10月10日・11日で京都と大阪に行きました。

京都は風工房。染めの斎藤洋さんの工房です。ここで藤井清秀展が開かれていました。その写真を斎藤さんのフェイスブックで見て、

一目ぼれしたシャツがあったもので。最終日のその日にどうしてもいかなければならないと思って。雨の中、傘をさしていきました。

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斎藤さんと藤井さん、そのほかの方たちにも気持ちよく迎えていただきました。

中にはシャツやバッグなどたくさんの作品が。

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私が欲しかったシャツは、サイズが小さすぎて。同じようでサイズが大きいのを少し手直ししていただいて。

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色を塗った後で、ドライヤーで乾かしてくださっています。それを見ていて、思い出しました。

32年前。エイズのメモリアルキルト展を広島でやった時。それは斎藤さんの力で、全国で開かれたものなのですが。そこに薬害エイズの患者さん、赤瀬範保さんが奥様といっっしょに来てくださいました。会場で、赤瀬さんは一つのキルトを作られました。赤瀬さんは書家です。

布に漢詩を書かれました。若い人たちが次々と亡くなっているのに、歳の私が今も生き残っていて申し訳ないと。そして、持参された注射器でと針で、自分の血液を抜かれました。それを赤の墨汁の中に入れて、赤で大きく「愛」と書かれ、その墨汁に自分の手を入れて、赤い手形を布にいくつか押されました。「みんな寄らないで、危ないから」と言いながら、ウィルスを殺すからと、それらの赤に持参のドライヤーを当てられたのです。

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 その姿を思い出しました。それを斎藤さんに話すと、そうだったねえと、キルトの話になりました。赤瀬さんと、それから平田豊さん。薬害エイズでなく、性感染症としての感染を公表し、世間からいろいろとたたかれた方です。平田さんには、広島にも来て語っていただいたこともあります。その平田さんは、私も聞きましたし、斎藤さんにも話されたと。100年後には、いま生きている赤ちゃんも子どもも、お年寄りまで、生きている人はほとんどいない。みんな亡くなっている。それを考えると、自分が死ぬのも当たり前だし、怖くはないと。

いよいよ様態が厳しくなって、もう命が持たないというときに、斎藤さんは平田さんを訪ねて行ったと。そして、いろいろと話をした後、かれが「斎藤さん・・」と改まって呼んだと。「はい、なんでしょう」と答えて。そしたら、平田さんはじっと斎藤さんの顔を見つめて、しばらく黙っていて、そして「今日どこに泊まるの?」といったのだと。ガクっときて・・そんな人だったと・・大笑いしまた。


もう、昔の話です。いろいろとありました。そんないろいろな経験をして、いろんな人と出会って、私はいい人生なのかも、と思いました。

もう少し、シャツの話など、続けますね。

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