法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会試案
倉敷にいます。診療後車を運転して来ました。明日、倉敷の高校で生徒さんに話をします。日帰りでは、往復で約5時間運転をするのは少々つらいので、前夜に来ました。夜中の高速を一人で運転するのも、なかなかしんどいなあと思うようになりました。その上、車検に出して戻ってきてすぐだったので、なんと、ETCカードが入っていませんでした。SAからディーラーにETCはどこ行った?と電話をすると、夫に渡したと。夫に電話をすると、どこにやったかわからない、と。まったく・・。まあ、もう高速に乗ってしまっているので、今更どこにあるかわかってもどうしようもないのですが。日本シリーズを聞きながらですが、これもカープでないので、たいして面白くもなく。
いろいろと腹立つことが続いているので、それらが頭の中をぐるぐると回ります。10時にホテルに到着。おなかがすいていましたが、ここは夜食に夜鳴きそばがサービスされるので、それを食べて、晩御飯にしました。貧しいものですが、でも、空腹だったからか、とてもおいしかったですよ。それに、お風呂上りに(温泉があります)アイスをどうぞと書いてあったので、二個もらってきて食べました。これがデザートです。
腹立たしいことの一つは、性犯罪の刑法の法制審議会の試案についてです。
今日も、広島地裁の判決が出ました。幼いころ、4才から中二まで実の父親に性虐待を受け続けた女性が父親を訴えた件。時効で訴え棄却だそうです。でも、子どものころの被害については、時効を停止するのが世界中の国々の実態です。大人になって初めて、その意味が深刻になったり、今回の原告のようにフラッシュバックしてPTSDになったり。それに、彼女はずっと一人で抱え続けていたのが、やっと話ができる人たちに出会い、時効の壁があることを承知で、ともに取り組んでくれる弁護士さんに出会えたり。この間、原告が記者会見で被害者は一生被害者だと言っていたように、ずっと被害者であり続けていたのですね。
子どもの性被害は、本当にとても多いのです。
法制審議会の試案について、刑法改正市民プロジェクトが緊急声明を出しました。刑法改正市民プロジェクトは、性暴力被害者救済などに取り組んでいる12の団体の集まりです。
試案はここにあります。新聞報道などを読むより、自分でこの試案を直接読んだ方が、うんとよくわかるし、腹も立ちます。
https://www.moj.go.jp/content/001382454.pdf
NOはNOであるという当たり前のことが、今回も明確にされていません。
さらに、性交同意年齢の引き上げについての試案です。
1 13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者は、6月以上1
0年以下の拘禁刑に処するものとし、13歳以上16歳未満の者に
対し、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、
当該13歳以上16歳未満の者の対処能力(性的な行為に関して
自律的に判断して対処することができる能力をいう。2において
同じ。)が不十分であることに乗じてわいせつな行為をしたとき
も、同様とするものとすること。
2 13歳未満の者に対し、性交等をした者は、5年以上の有期拘
禁刑に処するものとし、13歳以上16歳未満の者に対し、当該者
が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、当該13歳以
上16歳未満の者の対処能力が不十分であることに乗じて性交等
をしたときも、同様とするものとすること。
どうしてこんなにごちゃごちゃしているのでしょう。どうしてきちんと16歳と言わないのでしょうか。世界の国はこうなのです。韓国は日本と同じ13才だったのですが、さっさと16才に引き上げられました。
声明文はここにあります。
https://drive.google.com/file/d/1rX2H2_Stel4-1P0dVNAggPPm2XfsuDqA/view
その一部。声明文の初めを転写します。
「私たちは、①不同意性交等罪の導入、②性交同意年齢の引き上げ、③地位関係性利用罪の導入を求め、この要求は13万筆以上の市民の賛同を得ました。上記三項目は2021年の9月、法務大臣から法制審議会に諮問されました。しかし、法制審議会・刑事法部が、10月24日に公表した刑法性犯罪改正のたたき台は、私たちの求める性犯罪規定の改正とはかけ離れており、法務大臣の諮問に答える内容となっていません。」
声明終わりをここに転写します。
「以上のとおり、試案は、長年にわたり私たちが求めてきた性犯罪規定の改正の願いに反するものです。「性犯罪の本質は被害者が同意していないにも関わらず性的行為を行うこと」であると法制審議会が繰り返し確認してきたにも関わらず、被害者の「拒絶困難」を問い、性交同意年齢に年齢差要件以外の要件を加え、地位関係性利用等罪を個別に創設しない試案について、私たちは強く反対します。法改正の原点に立ち返り、被害者に寄り添う抜本的な法改正を求めます。
そして、法改正審議会刑事法(性犯罪関係)部会は、中間的に私たち市民の意見を聴取する機会を設けるとともに、この段階でパブリックコメントを募集し、市民の意見を適切に反映するよう強く求めます。」
男性ばかりによって作られた明治事時代の刑法が、やっと女性たちの声を聴いて作り直されようとしていると、幻想をもっていたけれど、やはり幻想でした。本当に情けない国です。
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コメント
広島地裁の判決を、テレビニュースで、見ました。腹立たしいです。弁護士さんは、控訴しますと。そりゃそうだ。上級審に、期待します。
投稿: 堀北 | 2022年10月27日 (木) 02時03分