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内密出産について⑤

 予期せぬ妊娠をした女性が、誰かにSOSを求めることもできず、一人で産婦人科受診することもできず悩み、抱え込んでいる内にアッという間に時は経ってしまいます。やっと産婦人科に来た時には、もう中絶可能な時期を過ぎ、産むしかないとなってしまった、でも産んでも育てることもできない場合、その赤ちゃんをどうする?誰がどこで育てるのか、ということなのですね。

 その陰には、妊娠させるだけさせておいて、一切彼女の相談にも乗らない、一人行動をとることもしない男性の姿があります。そもそも男がさっさと行動をとっていれば、彼女が一人ここまで悩み続けることもなかったのです。中には彼女が妊娠していることさえ知らないままの男性もいます。無責任な男たちのかげで、全てが彼女の肩にかぶさっているのです。もしもその女性がこれまで様々な人生の経験をしている人であれば、智恵も授かっているでしょうし、その中でさまざまな人たちとの繋がりもできているでしよう。

 でも、そのような経験もない若い女性が、一人で産み一人で育るのは、まず不可能です。孤立出産をし、赤ちゃんが亡くなって一人罪に問われる若い女性の姿も後を絶ちません。

 そのような報道がある度に、せめてその一日前にでも私の所に来てくれていたら、と思うのです。私のところにたどり着いてその日のうちに出産をした高校生もいます。生まれた後で家に連絡をし、びっくり仰天で駆け付けて来たお母さんは、「言えばよかったのに」と彼女に言いました。ふつうのお母さんです。きっと彼女が助けてと言えば全力で助けて下さったでしょう。でも彼女は「言えなかった」そうです。

 予期せぬ妊娠をした女性は、そのほとんどが親には、中でもお母さんには知られたくないと言います。そのような時女性が成人であれば知られないように出産をし、本人が望めば特別養子縁組のお世話もします。親に知られないですべてをすることは可能です。何人もそのお世話をしてきました。

 もしもその女性が未成年であったなら。本人とよく話をします。なぜ親に話が出来ないか。話したら、親が知ったらどうなるだろうか、しっかり話を聴きます。もしも自分では言えないというのであれば、こちらから話をします。丁寧に話せば、たいていの親は、初めはショックを受けますが、時間がたてば、彼女のためにどうしたらいいのか本気で考えるようになります。そうなるまで、彼女の隔離が必要なこともあります。それから大切なことの一つ。虐待されて育った女性が、親に話せないのであれば、誰か、親に変わる人はいないだろうか、その人を探します。誰か味方になってくれる人がいないと、不安定な中で出産を乗り越えるのはとても大変です。もし身内にそのような人がいないのであれば、当方で誰か手当をします。今では、妊娠SOSのボランティアの人等が、とても大切な働きをして下さいます。どうしても親に言えないのであれば言えないままに出産することもあります。

 赤ちゃんが生まれた後、出生届はちゃんと出します。それは法に沿って。届けによって、親と一緒の戸籍から彼女と赤ちゃんの二人の戸籍になります。それでも、日ごろ戸籍を取って見る人はあまりいませんので、人に知られることはありません。いわば、時間稼ぎですね。

さらに。特別養子縁組の申し立てには、実母の同意が得られているか問う箇所はありますが、実母が未成年であってもその親の同意が取れているかを問う箇所はありません。実父の同意が取れないことはしばしばあります。特にDV男の場合、出産が知られると、絶対と言っていいほど、養子縁組の同意は取れません。それに彼女の命の危機になることもあります。そのような事情は、家庭裁判所の調査官に良く良く説明をします。この頃の調査官の方は一人一人の事情をとてもよく聴いて配慮して下さいます。

まだいろいろと配慮しなければならないことはありますので、もう少し続けますね。

ベランダの花です。ハイビスカスが、一度に五つも花を咲かせました。小さな木ですのに。それに、うれしいことに他のハイビスカスたち、温室でも冬を越すことが出来ず、枯れてしまったと思っていたのが、何と緑の葉っぱでが出てきて、小さなつぼみ見つけました。赤も黄色も咲いてくれそうです。本当にうれしくて。

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