素晴らしかった村瀬先生のお話。
今日の、性教協中国ブロックセミナーの村瀬先生のお話は終わりました。とても良かったです。
「不幸にならないための性教育から幸せに生きるための性教育へ」というお話。先生のお話は、名著「よりヒューマンな性をもとめて」(上)(下)で書いたこと、考えたこと考え続けたことは何か、から入られました。
あらかじめ配られた先生のレジュメから少し引用させて頂きます。
“ヒューマン”という言葉は「人間的な」とか「人間らしい」という意味の形容詞です。その言葉の響きにも温かみが感じられて気に入っているのですが、この本のタイトルとして「よりヒューマンな・・・」という表現を使うことで何を言いたかったのか、下巻の始まりにひと言説明し
ておく必要があると思いました。
その中身とは、第一に、科学的に性を見つめることです。“科学的”という言い方には、“ヒューマン”と対立して、なにか「冷たさ」を連想されるかもしれませんが、“科学”と対立するのは、“人間”ではなく、「迷信」「偏見」「思い込み」ですし、ものごとの真理の解明をあきらめて「神秘」という言い方で片付けてしまう考え方です。もっとも、人間にかかわるすべての事象を科学で解明できるのかといえば、それは、永遠の課題ともいえるわけで、一つ解明がすすめば新たな謎や不思議が10も20も湧き出てくるでしょう。にもかかわらず偏見から抜け出て科学の眼で人間を、人間の性を深く見つめ探究すること、それが人間への興味、愛着、さらに人間へのいとおしみとかロマンにつながっていくのではないでしょうか。
第二に“ヒューマン”という言葉のなかには、人間らしく生きていく権利として、性を見つめようとする意味で込めています。老若男女、障害のあるなしにかかわらず差別なく平等に性をたのしみ、味わい、表現する権利を持っているという考え方と同時に、どうしたらそれを実現できるのか、なにがその実現を阻んでいるのかを学ばせていくことが大切だと思っています。
三番目には、男も女もそれぞれ自立した存在として生きていく姿を“ヒューマン”という表現のなかにイメージしました。ただ「自立」という言葉には、ひとの力を借りないで生きるという感じが強くしますが、本当の「自立」とは、“孤立”でも“独立”でもありません。ひとに助けを求めたり甘えたりもできるし、ひとからの依存に対してもタップリと心を開いて受け入れることができる、自立とはこの「共生」とセットになってはじめて成立するものと考えています。その意味で“依存拒否”というのはむしろ子ども世界の心性というべきでしょう。
このように人間の性を科学的な眼でシッカリ見つめること、人間らしく生きていくうえで誰もが平等に持っている権利として、そして自立と共生の力を育てるものとして考え学ばせること、このことを“ヒューマン”という言葉に込めて表しました。果たしてその思いが文章となって読者の皆さんのこころにまで届くのかどうか、どうぞ次のページを繰ってみてください。
(2)日本の性教育はなぜ他の先進国に比べてこれほど遅れてしまったのか、とよく聞かれます。ところが「オランダの性教育」(リヒテルズ直子著)や「フランス人の性」(プラド夏樹著)を読むと、これらの国も 40 年ほど前には日本と大差なかったとあります。なぜこの間にこれほどの差が開いてしまったのか(ジェンダーギャップのちがい、性教育のとりくみがすすまない、セックスレス・少子化など深いかかわりがある)
これらをふまえて、本題に入られました。
・生理の貧困
・人工中絶をどう教材かするか
・マスターベーションからセルフプレジャーへ
・子どもへの性の加害者は身近にいる
・人間にとっての「性」の三側面「生殖としての性」「快楽・共生としての性」「支配としての性」このうち「生殖」と「支配」についてはほ ぼ教育としての取り上げ方について見通しが立つ。これまで、全く、ほとんどとりあげられてこなかったのが「快楽・共生の性」であった。むしろ意識的に避けられてきたと言ってよい。しかし、いまでもそれでいいわけではない。
・性別意識や性愛の対象は決まりきった物ではない―人間の社会の教育の大きな課題
・男子の性教育 性器・生理の学習・セルフプレジャー・月経についての学習(PMS PMSS)。特に月経ついて男の子に語ることの大切さ。
・関係性としての性を学ぶ・・性のよしあしは関係のよしあし・性の多様性と人権の大切さをしっかり語られました。
大変盛り沢山のことを語り掛けて頂きました。やっぱり村瀬先生はいいですねえ。多くを学び続けさせて頂いています。本当にありがとうございました。
おまけですが、ちょっと最後に私の古い本、「初めてのセックス」がいい本だと。高校生くらいになりると読ませたほうがいいと言って頂いて。びっくりしました。
皆様ご参加ありがとうございました。チャットにも沢山質問やご意見をありがとうございました。
私は今度は三日の準備です。お尻に火がつきました・・。
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