中三同士の妊娠・中学校長会の機関誌から②
昨日に続いて、20年前の中学校長会の機関誌に私が書いた中学三年生同士の妊娠について転載します。
「先生、お願いがあります。」
「先生、お願いだから超音波で赤ちゃんを見せて」
「うーん、見る?見るとつらいよ。」
「わかってます。つらくても、最後にもう一度赤ちゃんを見ておきたいから。だから、お願い、先生。」
必死で頼む姿に動かされて超音波で赤ちゃんの姿を映した。
「先生、写真を撮って。」
「先生、心臓の音を聞かせて。」
彼女は写真を握りしめてとんとんという胎児の心音を聞きながら、
「ごめんね、ごめんね」
と涙をいっぱい流して胎児によびかけた。そして
「先生ありがとうございました。もう大丈夫です。」
ときちんとあいさつをして、入院のために部屋を出て行った。
ずいぶんといろいろな例に接してきた私も、さすがに胸が痛んだ。
長々と語ったこの例から、たくさんのことが見えてくる。
(1) 性交年齢の低年齢化が言われて久しい。しかし、常に若年者の性行動は、一部の家庭的に問題のある子の非行と捉えて論議されている。が、現場では家庭的にもしっかりし、成績もよく、これまで何の問題もなくすくすくと育った子の妊娠が増えている。非行と捉えたのでは、問題が見えなくなる。また、そのような子ほど一人で抱え込んで受診が遅れがちである。来た時にはすでに中絶不可能、やむを得ず出産、養子縁組の手配をする例も少数ではない。
(2) あふれるほどの情報の中で、一見、若者たち自身も多くのことを知っているかのように思っている。が、その実、全く無知である。性というのは、無知であっても間違った知識を持っていても行動は取れる。知らなければ行動しないであろうというのは、間違いである。無知のままで行動をとるとその結果がどのようなことになるか、目に見えている。もっと我々はまともな情報を真正面から与えるべきだと思う。
(3) どこがどう無知か。何より性交と妊娠が結びついていない。その結果、避妊があまりにいい加減となっている。図1に当院における開業以来十年間の十代の受診者の内、妊娠が1109。それらの避妊法を示す。
避妊がいいかげんであると妊娠となるのは当然であるが、ではそれぞれの避妊法と妊娠率はどうであるか、図2に示す。
すみません。続きを明日にします。生のデータが手元にはないので、本を見ながら、キーボードを叩いています。結構労力がかかります・・。
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