特別養子縁組:実親への支援
広島市に提出している特別養子縁組の業務方法書から、実親への支援に関する部分を示します。この中には私がこれまで培ってきた、実践の中から学んだことが詰まっています。
- 実親への相談支援の実施方法
私は、これまで診療や性教育等で培ってきた人脈があります。小、中、高校の養護教諭、スクールカウンセラー、保健師、助産師さんやDV・デーとDV(結婚していない間柄のDV)などの相談員、女性の様々な事件に対応している弁護士さん、などなど、私が35年以上前から特別養子縁組のお世話をしていることをご存じの方々に相談があった場合、そのような方々を通して、私に相談がまいります。
まず、大変苦しい状況にある妊婦さんに私のクリニックに患者さんとして来ていただきます。保護者もともに来られることがほとんどです。
実際診察をし、人工中絶が不可能な場合、元気に赤ちゃんを産んであげることが一番大切だと話します。
産んだ後に子育てはいろいろな方法があることをお話します。自宅で家族の支援を受けながら子育てをすることはできないか、児相に行き相談することもできること。出生後、施設にあずかっていただき、時々でも会いに行って、自活できるようになれば引き取ることもできること。自分ではどうにもならない時には、初めて養子縁組という方法もあること。などのお話をします。
結論は焦って出さないこと。妊婦健診として診察に何回か来ていだたくうちに、自分の意志がゆっくりと決まってくればよろしいのです。決して焦ってはいけませんし、保護者等の回りが強引に事を進めてもいけません。自らが結論を出すことが、今後の立ち直りのためにも何より必要なことです。これらの時間の中で、自ら育てるという結論を出す女性も少なからずあります。その場合には行政に関するノウハウ等、わたしの知る限りのサポートをいたしますし、直接保健師さんに繋ぎ、支援を要請します。
さらに、出産に関して、通学中であれば、学校にはどうするかの対応方法、(中学、高校など、学校によっては、生徒のためにどうすればよいかを考えてくれる場合も、逆に学校にいては困るという方針を出す所もあります。私は、基本的には高卒の資格をとってほしいという思いがあります。)
近所に知られないためにはどうするのが一番良いか、実際住む所、住民票、本籍をどうするか、母子手帳をどこで頂くか、出生届をどこに出すか、など細かい相談、支援が必要です。これらはあくまでも、診療の一環として診察室の中で行います。(時間がかかる場合は、お昼時間や診察時間終了後等にしっかり時間をかけて話し合います。)
本人の意志が固まれば、それに応じてこちらも動きます。
もう一点、大切なことは、妊娠の相手の男性のことです。相手の男性との状況を慎重に確認します。もし、相手とまだ付き合いが続いていれば、養子縁組は基本的には勧められません。今は、子育てができなくとも、後に二人で育てたいという状況になることも考えられます故。場合によっては、相手の男性はどうしたいと考えるのか、もし相手も未成年である場合には、保護者はどう考えるのかなどを直接会って確かめます。
- 実親の意思確認の実施方法
実親の両親などの家族にもクリニックの診察の時に来ていただいて、一緒に考えます。実親の意志よりも実親の両親などの家族の意志を優先させてはいけません。家族としっかり話し合って、あくまでも、実親の意志がしっかり固まるのを待ちます。
出産前の意志の確認と、さらに、出産した後は、毎日実親と話し合います。産んでみたら気持ちが変わったということもあり得ますので。出産後も、赤ちゃんは特別養子縁組に託したいか否かをゆっくりと話をします。
特別養子縁組の意思が変わらない場合は、出生届の提出は、実親またはその母親などの実親の保護者と、私が共に行きます。出生届の書き方に独特の所があるからです。赤ちゃんの住民票は、基本的に養親の家になりますので、それを役場の人にきちんと示さなければなりません。役場の方の中には、この辺りが不案内の方がおありです。私がきちんと説明をいたします。
この項まだ続きます。
全然関係ないことなのですが、男子100メートル、山縣亮太選手の復活、素晴らしい。もう世代交代、引退への道かと痛々しく思っていたのですが、今回の日本新記録、本当にうれしいです。これは私のお宝写真。山縣選手のお父さんとのツーショットです。ロータリークラブでお話した時にお願いして写って戴きました。恐縮です。
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