« 映画「ミナリ」を観に行きました。 | トップページ | 国際間特別養子縁組について・続 »

国際間特別養子縁組について

特別養子縁組のあっせん事業所の一つ、ベビーライフがその事業を閉じたということで、いろいろと報道されています。それについて私は胸を痛めています。その報道で、ベビーライフが主に海外に赤ちゃんをあっせんしていたことが、とても悪いことのように報道されているのが、とてもつらいのです。


 私は、広島市から許可を受けている特別養子縁組あっせん事業者です。あっせんは35年前から行っていますが、それが届け出制となり、さらに許可制となりました。そして、許可制となった時に、養子縁組は「国内で」という条件が示されました。それが、何と政治家が言った「外国に子どもを出すのは、三流国である。一流国がするべきことではない」というのが理由だと聞いて、本当にがっかりしました。

 私は、そう決められるまでは半分は国内で、半分は海外、主にアメリカへお世話をしていました。それ以外に、カナダとフランスが一人ずつあります。日系のアメリカ人であったり、どちらかが日本人で、どちらかがアメリカ人の国際結婚の方、また、アメリカ人ではあるが、日本在住の方であるとかで、日本に何らかのご縁がある方たちです。アメリカに移住された日本人の方が日本から子どもを迎えたいと望むのは、当然のことともいえるでしょう。

 そして、アメリカという国は、子どもは「社会の子」であって、養子縁組に対して、とてもおおらかな国です。

 私は、国際養子縁組に携わって、その方たちから本当に多くのことを学びました。

 それらをお話したいと思います。

 アメリカでは、養親希望の方は「ホーム・スタディ」を受けなければなりません。それはとても厳しくて、調査は仔細に及びます。例えば、家に子ども部屋はあるか、収入はどうであるかは勿論ですが、もしどちらか一人が死んだときにはどうなるか、どんな保険に入っているか、または二人が離婚した時には子どもはどうするつもりであるかということも。ですらか、ホームスタディをクリアした人は一応信頼がおけます。

あるアメリカ人の女性と日本人の男性の国際結婚をしている方たちに生まれたばかりの赤ちゃんをお世話しました。しかし、お二人が育て初めてその一週間後、赤ちゃんに突然痙攣が起こりました。検査で、脳内に出血していることが分かりました。痙攣はとても激しくて、小児科医からは、後遺症が残りますとのことでした。私は、仕方ありません。赤ちゃんは返して下さい。これは、この子の運命です。病状が落ち着いたら、児相に相談して施設で育ててもらいましょうと。そしたら、彼女たちはもう少し私達に見させてください。看病したいのですと。そうしていると、アメリカの彼女の母親から手紙が届いたのです。「あなたは、その子を手放してはいけない。障がいのある子ほど家庭が必要なの。あなたは、その子を育てなさい。私もサポートをするから」と。

お二人は、懸命に看病と子育てをしました。アメリカの小児科医にも診てもらいました。まだ養子縁組が成立する前にアメリカに連れて行くのは、手続き的にとてもむずかしかったのですが。そして、養子縁組が成立し、赤ちゃんはお二人の子になりました。

今は、アメリカで育っていますが、日本にもよく連れて来て、私にも会わせて下さいます。赤ちゃんには全く後遺症が残りませんでした。成績も優秀で、何と二回も飛び級をしました。英語とスペイン語と日本語をしゃべります。そして、後遺症を心配した運動機能ですが、フラメンコを習っていて、クリニックでタッタカタッタカ踊って見せてくれました。

 私には彼女のお母さんの「障がいがある子ほど家庭が必要だから」という言葉が残り続けています。

アメリカでは、実子がいても養子を育てて下さる方も沢山います。ある養子縁組の手続きをして下さったアメリカの弁護士さんには、19歳と20歳の息子さんがいて、そしてアジアから2歳の子を引き取って「さあ、もう一度子育て!」と張り切っているということでした。

ある夫妻は教師をしています。妻は教師で夫は校長先生でした。でも、私の所から赤ちゃんを引き取ることが決まると、彼は校長を降りて平の教師になりました。教師と子育ての両方をするのだと。ある男性は、航空会社にお勤めでしたが、赤ちゃんが来るというので、半日勤務にしてもらったのですって。半日は子育てをするのだと。

そんなことがとても自然にできるのですね。

そんなエピソードがとても沢山あります。もう少し続きをお話しますね。

これは、特別養子縁組の年次推移です。厚労省が正規にだしているのは、このグラフです。2016年までしかありません。

Photo_20210405002301

先日、日本財団の講習があったので、それを受けました。その時にだされたグラフはこうです。見えにくくてすみません。これによると、2019年には711件が成立しています。厚労省は、2017年からおおむね5年で1000件を目標にするとしています。


2-2_20210405002301

昨年、法律がさらに変わって、それまでの特別養子縁組は子どもが6歳までだったのが、15歳までとなりました。

『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。

広島ブログに参加しています。このバナーをクリックすると、
私のポイントになります。ご協力よろしくお願いします。

広島ブログ

|

« 映画「ミナリ」を観に行きました。 | トップページ | 国際間特別養子縁組について・続 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 映画「ミナリ」を観に行きました。 | トップページ | 国際間特別養子縁組について・続 »