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「性的DV・パートナーからの性暴力についての声明」シェルターネット

NPO法人全国女性シェルターネットはこの度「性的DV・パートナーからの性暴力についての声明」を出されました。その代表の北仲千里先生は、NPO法人性暴力被害者サポート広島の代表でもあります。素晴らしく大活躍です。この声明は多くの方に読んでいただきたく、ここに転載させていただきます。(ただし転載は途中までとします。)

https://nwsnet.or.jp/images/PDF/2.2.20210215/%E6%80%A7%E7%9A%84DV%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E6%80%A7%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%A3%B0%E6%98%8E%EF%BC%8820210215_2%EF%BC%89.pdf

                     2021 年 2 月
  性的 DV・パートナーからの性暴力についての声明
              NPO法人 全国女性シェルターネット

配偶者やパートナー、交際相手などからのドメスティック・バイオレンス(DV)の本
質は、相手に対する支配・コントロールです。DV と言えば、殴る蹴るなどの身体的
暴力だけがクローズアップされがちですが、身体的暴力があってもなくても、精神的
な相手への支配・追い詰め、人格否定が重要な要素であり、それによって被害者は
深刻な心理的なダメージや生活・人生への影響を受けます。

加えて DV には性的な行為や言葉を伴っていることが少なくなく、しかしそれは語ら
れにくく、真正面から取り上げられることはこれまではありませんでした。

私たちは、配偶者やパートナー、交際相手などへ性的な DV 被害の深刻さに目を
向けることを訴えるとともに、DV や性暴力に対する政策にこの性的 DV/パートナー
からの性暴力の問題をきちんと位置づけることを提言します。

Ⅰ 提言

1.国や地方自治体は、性的 DV の深刻さに目を向け、次の施策を実施してください。

・DV 防止法の保護命令の対象に精神的 DV と性的な DV を含めて下さい。
・精神的 DV や性的 DV の被害をうけた人に対し一時保護を含む積極的な支援を行
ってください。
・精神的・性的 DV によって心が壊されるという影響の深刻さを理解し、DV 被害
者の回復支援を本格的に実施して下さい。

2.パートナー間の性暴力を扱う性犯罪を創設してください。

現行刑法の性犯罪が規定する「暴行脅迫」要件では、継続的な支配関係の下での
パートナー間の性暴力を性犯罪として捉えることは困難です。配偶者・パートナー
間の性的 DV の特質をふまえた犯罪類型を作るか、不同意の性的行為全体を禁止し
た上で、配偶者・パートナー間の性的 DV の場合はより重い刑として下さい。

3.性的 DV の実態をふまえ、母体保護法に基づく人工妊娠中絶の際の

配偶者の同意のサインの要件を撤廃して下さい。また、婚姻していない
関係において
は中絶についての相手の男性の同意が不要との方針を周知し、
徹底して下さい。

Ⅱ 説明

1.DV としての性暴力

DV ケースの中での性暴力やその結果としての妊娠の問題は、頻繁に起こってい
る。

DV は相手を支配する行動であり、精神的ないじめや性的な暴力だけが行われる
場合も珍しくない。性を通じた相手への支配が行われているのである。「相手の満
足のため」に我慢し、「モノとして扱われる痛み」「繰り返される無力感」などを感
じながらも、生活のために離れることを選べないケースが多い。

「性行為に痛みがある」と訴えても、取り合われない。「性交渉に応ずるのは妻
の義務、妻は夫の要求に従うもの」などと配偶者間の性暴力は、過酷、残虐なもの
であるにもかかわらず、問題にされない実態がある。

それは継続的な関係性の中での行為であり、また夫婦であるため応じないといけ
ないという意識があるため「暴行や脅迫」を伴うことを要件とする性犯罪の定義で
は捉えることが難しい。被害当事者も性暴力であると認識しにくいため、日常化、
深刻化する。性暴力による支配は最大の困難を強いる。被害者もあまり、語りたが
らず、回復に長い時間がかかる。

2.表には見えない性暴力被害

内閣府のアンケート調査(平成 29 年 12 月実施内閣府「男女間における暴力に
関する調査」回答者数 3,376 人)では、性交を強制された経験の内もっとも多い
「相手」は、配偶者や元配偶者・交際相手などである(47.6%)。この、カテゴリー
中もっと多く常に 3-4 割という傾向は、過去数回の同調査においても、一貫して
いる。

しかし、そのほとんどは、刑事事件化しないものと思われる(平成元年度の警察
の犯罪統計では、配偶者間の検挙件数は強制性交等罪6、強制わいせつ罪2)。
さらに、被害者は相手から離れ、避難先を隠したいということを優先するため、
性暴力行為に絞って警察に被害届を出すという行動をとることは非常に難しい。警
察に DV を相談した場合も、警察の(主に生活安全課)担当者は、生命の危険など
を重視して聞き取りを行い、避難の援助を行うことを主に考えるため、DV の行為の
中に性暴力があったとしてもそれにきちんと注目して刑事課に回し、被害届を出す
提案をするということはまずないものと思われる。

配暴センターや民間の DV 相談の場合も、性的 DV をあえて意識して取り出すこと
はされていない。

3.実態

(1)妊娠時の暴力

妊娠出産時に過激な暴力がふるわれる。妊娠中の女性の身体をいたわらず、むし
ろお腹や腰を蹴る、食事をさせない、過酷な作業をさせる、暴言を吐くなどの身体
的暴力や虐待がしばしばある。

(2)中絶と妊娠

同意のない性行為、また避妊についても話し合えない関係であるため、DV カップ
ルは子だくさんであることも珍しくなく、また、何度も中絶と妊娠を繰り返すとい
う話も多い。妊娠中一度も病院を受診せず、駆け込み出産をする妊婦や、何度も中
絶と妊娠を繰り返す夫婦は、DV のリスクが高いケースとして、産婦人科の臨床では
認識されている。「避妊してくれないので 6 回も中絶した」と語った被害者もいた。

(3)離婚後も受ける性被害

同居や交際中の性暴力だけでなく、離婚後の子どもの面会交流を利用して呼び出
され性暴力に遭うケースもある。

(4)同時に起こる子どもに対する性虐待
子どもに対する性虐待も同時に進行する場合がある。
同居や交際中の性暴力といっても、子どもたちに夫婦の性行為を見せるというも
のがある。子ども(10 代や成人の娘)と性行為をし、妻にそれを手伝わせたり、撮
影させるなどの行為もある。

(5)デジタル性暴力

写真や映像の撮影を強制されたり、内緒で撮られるという「デジタル性被害」も
ある。また、薬で眠らせて撮影され、その動画や画像を所有して脅しに使われたり、
インターネットなどで拡散されたり、販売されることもある。

(6)望まない形の性行為

性交の強制ではなく、排せつ行為を見るなどの侮辱行為もある。物を性器に挿入
する行為の強制もしばしばある。例えば、野菜や、卵などを入れて、そのまま出す
ことができなくなり、病院で取り出す処置をするなどということがある。また、下
着をつけずに外出させるなどの行為もある。アダルトビデオで視た通りの残虐な性
行為を強いられることもある。これらの性的行為は、真の同意がなく、強制された
場合は性暴力であり、性的 DV である。

(7)性的搾取

妻や娘に売春をさせる。写真を売りさばくなど、性の商品として搾取することも
ある。

(8)その他、DV 行為としては、次のようなことも起こっている。

・これみよがしデリヘリでの性的経験や性的表現を聞かされる。
・性的対象としての魅力がないことをしばしば言われる。

4.相談の中で聞いた声(加盟団体の相談記録や手記などから)

  (ここから先は略します。あまりに壮絶な体験が書かれていて、胸が痛くなります。)

転載ここまで。特に私がかってに太字にした部分、「妊娠を相手の男性に告げると、相手がブロックしてしまって連絡も取れない、だから同意書が取れない⇒中絶が出来ない」というのは、どこの産婦人科でも起こっています。この声明が、現在検討されている性暴力の刑法の見直しの場に届きます様に。これは女性たちの切実な声です。

クリニックの青野さんのお花。桜が満開です。この後、残りの一つの百合が開いて、とても豪華になりました。

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