産婦人科研修・新型コロナに感染した妊婦さんと赤ちゃんについて
一昨日の山田秀人先生の講演の続きです。
「新型コロナウィルス感染症について妊婦・妊娠を希望される方へ」昨日は、日本産科婦人科感染症学会の昨年12月30日の声明を報告しました。それに加え三学会(日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会・日本産婦人科感染症学会)共同の「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)への対応」という声明があります。それも紹介されました。昨年9月2日第5版です。
1.妊婦も高齢者や合併症のある患者さんと同様の扱いとする。
2.新型コロナウィルスに感染した方の産科的管理は通じように準じ、院内感染対策には十分留意する。感染拡大に応じ、実によって原則、帝王切開分娩もやむを得ない。
3.感染者や疑い患者がいなくても施設内の清掃消毒、食事の個別提供(ビュッフェ形式は不可)面会制限等の感染予防対策をする。
4.妊婦と医療スタッフの感染リスク避けるため、原則的に帰省分娩と分娩付き添いは推奨しないが、地域ごとの感染状況によって弾力的に対応する。
5.担がん患者は新型コロナウィルス感染リスクが高い報告があるので、必要に応じて治療計画の変更を考慮する。
6.生殖補助医療は、地域ごとの感染状況に配慮し、徐々に通常診療へ。引き続き標準予防策の徹底など院内感染防御に配慮する。
さらに新型コロナウィルスに感染した妊婦さんから出生した赤ちゃんについての声明もあります。
「新型コロナウィルス感染症に対する出生後早期の新生児への対応について」日本新生児生育学会(抜粋)昨年10月19日第4版
・新型コロナウィルス感染母体から出生した新生児のウィルス検査陽性率は0.0-4.7%。経胎盤感染は稀。出生後の水平感染の可能性あり。感染新生児の一部で重症化の報告があるが、多くは無症状か軽症。
・感染母体から出生した新生児は、飛沫・接触感染を防ぐために、分娩後一時的に母児分離とし、母親は個室隔離、新生児は保育器隔離またはコホート隔離を行う。母体の隔離期間終了後、母児接触は可能。母児分離を行った日本の報告で新生児発症者は極めて限定的。母児同室の希望がある場合は感染予防策を指導し、検討する。
・母乳を介した感染の危険は極めて低い。母乳栄養を一律に中止すべきでエビデンスはない。母乳栄養は、(1)搾母乳と(2)直接母乳がある。(1)搾母乳では搾乳器具、容器等の消毒を行う。(2)直接母乳では、母の手洗い、消毒、マスク着用等の対策が必要。コロナウィルス陽性の母親と新生児の扱い(隔離)については、施設ごとの判断に委ねられる。
このほか、横浜市立大学の宮城悦子先生の妊婦・出産ご女性の長さの報告もありました。
妊婦は感染の不安強く感じており、産後うつ病のリスクが高い。というデータでした。
そして、講演の中にはなかったのですが、座長の広島大学の工藤教授の質問へのお答えで、「妊婦への新型コロナウィルスワクチンの接種について」がありました。これは、今年1月27日に出たばかりの日本産婦人科感染症学会と日本産婦人科学会の共同の声明から、まとめの部分を転載しますね。
「COVID-19ワクチン接種希望する妊婦さん並びに妊娠希望する方へ」
⽇本産婦⼈科感染症学会として、現状において以下の提⾔をします。
1. COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対する安全性、特に中・⻑期的な副反応、胎児および出⽣
児への安全性は確⽴していない。
2. 流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない。接種する場合に
は、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していないことを接種前に⼗分
に説明する。同意を得た上で接種し、その後 30 分は院内での経過観察が必要である。器官形成期
(妊娠 12 週まで)は、ワクチン接種を避ける。⺟児管理のできる産婦⼈科施設等で接種を受け、
なるべく接種前と後にエコー検査などで胎児⼼拍を確認する。
3. 感染リスクが⾼い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併
している⽅は、ワクチン接種を考慮する。
4. 妊婦のパートナーは、家庭での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
5. 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(⽣ワクチンではな
いので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)
患者さん⼀⼈⼀⼈の背景が違いますので、まずは産婦⼈科の主治医と⼗分にご相談ください。
ほかにも梅毒のお話等もありましたが、また機会を見てご報告しますね。
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