情けない国日本③性暴力
今日午後1時までの受付で今年の診療を終えました。今年は、コロナが厳しい中、何とか診療を続けることができました。中でも今年の特徴は、「性暴力」の被害者がとても多かったということです。それも、若い人の。
性暴力について、ワンストップセンターに関わることもあって私自身もとても勉強しました。法廷にも何度も立ちました。そして、やはりこの国の性暴力に対しての法律、裁判に怒りを覚えています。
明治に作られた刑法が延々と続いていたのが2017年にやっと110年ぶりに一部変えられました。が、まだ不十分と思えることがうんとあって、その3年後の今年に見直しをすることになっていました。その見直しの論議が続けられています。特に、次のことなどについて。
1.性暴力に時効をなくしてほしいこと。性暴力の被害者は被害ゆえに精神に不調きたすことも多く、やっと前向きに考えられるようになるまでに長年の月日を要することがあるということ。特に子どもの時の被害は、大人になってそれが被害であると理解できることも少なくありません。世界では時効は取り払われています。日本では、強制性交等の罪は10年、強制わいせつ罪は7年と決められています。せめて子どもの時の被害は大人になるまで時効停止するとか、様々な国がとっているような方法にすべきです。
2.強制性交罪の成立のためには、被害者がいかに抵抗したかが問われます。すなわち、抵抗できなかったのは、「暴行・脅迫」か「心神喪失・抗拒不能」であったかが問わるのです。最近とても増えている「薬を飲まされての性暴力」でも、「薬を飲まされたこと」の証明が必要となっています。抵抗でも、例えば、性交をされながら動画を取られていて、「いやだやめて」と言ったのは、「動画取られることを嫌だと言った」のであって、「無理やりの性交を嫌だと言った」かどうか加害者にはわからなかったということで無罪になったという例もあります。いかに抵抗したかではなく「同意があったか否か」が、世界の潮流です。「性交の同意」について性教育でしっかり論議されるべきなのですが。
私は、法律の世界の人たち、弁護士も検事も裁判官ももっと性暴力について、特に被害者の思いを勉強してほしいと思っています。あまりにひどい事件が「無罪」となっているのを見ると腹立たしいのを通り越して絶望的になることもあります。
3.子どもの被害の多いこと。小さな幼児への性犯罪は絶対に許せません。同時に、「性交同意年齢」が日本は13歳のままです。最近SNSによる被害もひどいのですが、14歳中学2年生になると、どこまで抵抗したかが問われます。大人の男が14歳の子をだまそうと思えば、簡単なことでしょう。せめて、同意年齢を16歳まで引き上げてほしいと思います。
4.力関係での性。「地位・関係性を利用した性犯罪」の罰則規定を作るべきです。例えば中・高校生が学校や塾の先生から被害に遭ったとなればとても許されるものではありません。それが法の性では無罪になったりするのですね。職場の上司からの被害も。
こうして書いていて、やはり結局は「性教育の貧しさ」に行きつくのです。なぜ犯罪をおかしてまで、強引に性を迫るのか。被害者は、いつまでも心に残り続け、精神を病み、辛い人生を送ることになるが故に、許されないものでもあります。そして、性被害はこの日本の社会にはとても多いものであり、誰もが被害に遭う可能性があるということなのですね。まったくとんでない社会が作り出されています。
明日は、性被害でもSNSの被害についてお話します。
昨年までは仕事収めの日はみんなでお弁当を食べて「お疲れ様でした」とするのですが、今年は、お弁当をみんなで食べるのではなく、食べて帰っても良し、持って帰っても良し、それぞれご自由にとしました。私は午後8時から研修があるのでクリニックで少しずつ食べています。熊野のみどり屋さんのお弁当です。
昨夜夫が脚立から落ちてケガをしました。手が折れていると思うのですが、病院に行こうとしません。痛い痛いと言いながら家で寝ています。私は夜遅くまで帰れないので、甥にお弁当を持って行ってもらいました。やれやれです。
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