男性合唱のためのレクイエム「碑」
昨日の夜、エリザベート音大のセシリアホールで行われた「被爆75周年 平和と希望のコンサートⅢ」に行きました。平和の夕べのスタッフと待ち合わせたのは、エリザベート音大の校舎に入った所のホール。私は、これまで外からしか見ていなかったのですが、中に入るととても美しい環境でした。中庭に向かって並べられた椅子。ちょうどクリスマスツリーもかざってありました。
セシリアホールも素晴らしい。正面には、ピアノだけでなく、パイプオルガンも設置されています。
パンフレットを戴きました。これには、とても大切な資料が満載でした。
何より、私は「Ⅲ」の意味が分かりませんでした。平和と希望のコンサートは、これまで2014年にニューヨークの国連本部で、2015年には国連合唱部を迎えて開催されたそうです。今回「被爆75周年」に「Ⅲ」を開催されるということでした。第一部が県内のいろいろな男性合唱団による「男性合唱団のためのレクイエム「碑」」でした。指揮をして下さったのは、何と40年前、広島メンネルコールの代表で、この曲の制作を依頼をされ、初演で指揮をされた山本定男さん。作詞も作曲も、そして、山本さんも広島二中の卒業生です。すでに89歳の山本さんの指揮、合唱は素晴らしく、最初から、始まってすぐから涙涙でした。(それにしても、89歳という高齢の方が45分も立ちっぱなしで指揮をされる、その大変さ、段に上がるのも、降りるのも大変だということを主催者は配慮しておかなければならなかったと思います。)
改めて知ったことがあります。第6章「まさちゃん、お母さんよ」は、昨日書いた西村利信さんの弟さんのことでした。当時二中2年生西村さんの手記には、1年生正照さんを探し、瀕死の弟を連れて帰った様子が書かれています。歌詞は次のごとくです。
「朝から昼へ/昼から夜へ/燃えつきる広島の/道を母は走る/土手を走り/名を呼ぶ母/まさちゃん わかる/お母さんがきたのよ/助けにきたのよ/兄ちゃんもきたのよ/助けにきたのよ/家に帰ろうね/家に帰るのよ わかる」
これら、歌詞に出て来る人の碑に書かれた名前の写真もプログラムと共に配って戴きました。
第8章「全滅」これは、もうたまりません。こんなひどい目に遭った、まだ幼い中学1年生たち。
「渋江くんは/がん木の石段で/二日目の朝/涙の顔で/朝火をおがんで死んだ/手をとりあって/励ましあって/逃げた羽白君は/南くんと道ばたで/並んで息絶えた/お寺の救護所で/坪木くんはいじらしく/夢で親にあうから/いいよと/静かに息をひきとった/ほかの1年生たちは/家路の途中で/たどりついた家で/つぎつぎに死んだ/日がのぼり 落ち/五日目の朝/最後の一人が/桜美くんが死んだ/8月6日が彼の誕生日/13歳と5日を/せいいっぱい生きて/桜美くんは死んだ/父の歌う/好きな軍歌を/ききながら/父を見上げて死んだ/三百二十二の/広島二中の/1年生はみんな/原爆の中に死んだ」
よくもよくもこんなひどいことを!!いくら戦争中とは言え・・。
そういえば、パンフレットには、たくさんの方の挨拶が載っています。この中の広島県合唱連盟会長、今回のコンサートの実行委員長の谷千鶴子さんと、エリザベート音楽大学のの理事長・学長の川野裕二さんのお二人とも、「核兵器禁止条約が来年1月22日に発行する」ということに言及されています。でも、広島県知事も広島市長も全くこのことには触れていません・・。ああ。
この後、小学生、中学生、高校生たちのそれぞれの合唱、一般女性合唱団、一般混声合唱団の合唱があり、それから混声合唱のためのレクイエム「碑」英語版の最終章の合唱がありました。
それから、とてもうれしかったのは、毎年広島二中の後輩、県立広島観音高等学校音楽部OB会の「レクイエム碑」の合唱の指揮をされる益田遙先生も来られていたこと。全てが終わった後、先生は合唱をした人にも観客のたくさんの人にも囲まれていらっしゃいました。先生の温かさでしょうか。
素晴らしい合唱をして下さった方も、この会を準備して下さった方も、皆様、ほんとうにありがとうございました。それから、チケットを手配して下さった穂垣さん、おかげ様で素晴らしい時を過ごすことができました。ありがとうございました。
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コメント
また、コーラスをお聴きになった先生の文を拝読して感動を覚えています。
山本定男さんは私より1年下で弟達と先生の都合かなんかで当日交換して火傷は負ったけど殆ど助かった2年生組。
弟達1年生は爆心地で全滅! この運命の悪戯は誰を怨んだらいいんでしょう?
投稿: 松本 正 | 2020年11月29日 (日) 20時46分