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NHK「ひろしまタイムライン」について

このごろ、加害のことばかり考えています。日本がアジアの国々、とくに朝鮮半島の人達にした加害。特に、これが追及される時に、「被爆者の証言に」加害が語られていないという人達がいます。それを被爆者に求めていいのだろうかと思うのです。ひどい被爆で火傷し、放射能の障害に苦しみ、家もすべて焼かれ、そのような中で、私たち「被爆者の子ども」を必死で育ててくれた両親や祖父母たちに「あなたたちは戦争をしたではないか、アジアの国々に侵略したのを支持し、加担したではないか」なんて、とても言えない。「戦争を先導し、国民をだまし、そのことで大儲けをした人達。その人たちこそ、責められるべきではないのか、批判の矛先が違うのでは?」こんなことを私は学生時代に言いました。その後も、ずっと胸に残り続け、悪戦苦闘し、試行錯誤を繰り返しています。

今日の朝日新聞の社会面一面の大きな記事。ああ、やっと!!と思いました。

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NHKがした「ひろしまタイムライン」のひどいツイッター。「朝鮮人のやつらが・・」その元とされている当時13歳、中学一年生だった新井俊一郎さんの日記。ところが、新井さんの現実の日記にはそのツイッターの日の前後は空白で、書かれていないのです。新井さんの手記などを参考に「想像して書いた」というものなのです。

軍国少年であった新井さん。いえ、当時は教育の中で、みんな「軍国少年・軍国少女」に作られました。

事前にNHKに依頼された時、その日記を使って、「番組の中で当時の日記が紹介され、子どもたちが感想などを述べ合う」と考えていたと。

それが4月3日、企画を紹介する番組を見て驚いた新井さんはNHKの担当者に問いただしたと。そしたら、「日記を原作として子どもたちと一緒に創作している」と言われたと。新井さんは、「私は激怒しました。日記の偽造だと」と言っています。

少なくとも、私が学生時代から知っている新井さんは、紳士であり、温厚で、こんな差別発言をする人ではありません。まるで今の新井さんが発言したかのようなツイッターで、本当に驚いて、新井さんは何か反論されないのでしょうか、新井さんがなにも言われない所で、私たちが何か言ってはいけないのでしょうか、こう、何人かの人に相談し、悶々としておりました。


NHKがホームぺージ上で謝罪をしたという文章も、あまりに軽く、「差別された側の人達に対する」謝罪にはなっていません。それに、新聞紙上には出ていませんが、朝日のホームページ上に詳しく掲載されている新井さんとの一問一答。こんなことが書かれています。

 印象的なのは、子どもたち(高校生たち)と昔の話をしていたときに、ヒトラー、ムソリーニが死んだとき、私が日記の中で哀悼の意を述べているという話になった。そしたら担当者が「今でもヒトラーを尊敬していますか」と。そういうふうに思われてるんかなあと思ってがくぜんとした。

そうなのですね。軍国主義で軍国教育を受けた当時の少年たちが、今もその価値観をもちつづけているかのような、そんな想像力しかない担当者や子どもたちに、ツイートをさせる危険性は、謝罪文を見ても、全く分かっていないのではないかと思います。そして、今、そのツイートは、「戦勝国民が」と言い換えてほとんどそのままなのです。

戦争主導者たちに騙され、教育され続けた国民が、被爆という重い事実から、侵略戦争と差別の間違いに気づき、どうその価値観を再形成していったか。そこを見ないままで、当時の差別表現をそのまま今の時代に掲載したという、その間違いをこのままにしていてはいけません。少なくとも、新井さんの言い分をしっかりNHKの場(ホームぺージでもいいので)で掲載してほしいものです。

わたしも参加したこの会の主人公の新井さんです。今四つのがんと闘いながら、生き抜いておられます。どうぞ、これからもお元気で長生きをして、後輩たちに教育し続けて下さいませ。

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