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性同一性障害の人の保険証

今日、患者さんが診察室に入るなり、

「先生、できましたよ!!」と弾んだ声で言いました。「保険証!」と。

彼女は性同一性障害で、戸籍上は男性です。でも、職場でもプライベートでも女性として生活しています。事情があって、まだ戸籍の性別の変更はできません。名前は、家庭裁判所ですでに女性名に変えることができました。名前も女性名で、姿も女性で、でも、保険証を出すと、性別が「男」となっていて、「えっ!?」となるのですね。で、実は、保険証の表の「性別」を書かないで、裏に書くことができるとの情報をつかんだ彼女がそれに挑戦しました。

その結果、できました。

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わざわざ「裏面参照」と書いてあるし、裏を見れば「男」とわかるけれど、でも、これでも、彼女にとっては、とてもうれしい出来事なのです。

ここまで来るのにもとても労力と時間を要しました。

健保協会で変えてもらうのですが、それには戸籍謄本と診断書と原本の保険証と申請書を出すようにと言われたと。申請書はフォーマットはないので、自分で書くようにと。それで、家庭裁判所へ名前の変更の時に書いた申請書を参照に、自分で作りました。

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まだこんな申請をする人があまりないので、手続きもめんどうなのでしょうが、多くの人が申請するようになると、おそらく、もっと簡単になるのではないかと思います。

勿論、戸籍上の性別の変更ができると、保険証も「ちゃんと変わった性」でできるのですが、それには、高額な手術をしたり、年齢や家庭的な制限も乗り越えなければならなくて、そこにたどりつくのに、とても時間がかかる人もいます。そのような人には、表に異なる性別を書かれないという、一つの朗報であると思います。性別だけでなく、名前の変更をしていなくとも、「通称名」での保険証も出せるようです。

申請は、社会保険の人は健康保険協会へ、国民健康保険の方は、各自治体の保険年金課や国民年金課など国民健康保険を扱っている課。それから、健保協会や国保の自治体によっては、申請用紙がある所もあります。かなり地域や自治体によってまちまちです。自分の担当の所に問い合わされると教えてくれると思います。

彼女が「みんなに教えてあげて」と言って下さったので、ここで皆様にご報告しました。

 

 

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