ある警察官だった人の電話
昨日書いた私の投書について、あの事件の被害者の方が伊藤伊織さんにお手紙を書いていらっしゃることを知りました。友人の藍野さんがその手紙のことをフェイスブックに載せて下さいました。
https://courrier.jp/news/archives/142306/
「拝啓 伊藤詩織様 差出人は25年前の最も有名なレイプ事件の被害者」
という手紙です。この手紙には、何故6人がその加害者の家に行ったかということが克明に書かれています。それは、とても自然で、私だってあの様な状況で、あの様な会話があればついていたであろうと思いました。
でも、あまりに怖い経験をした彼女たちに浴びせられたのは、ひどい誹謗中傷でした。それにより、彼女たちは二度も三度も殺されました。まさに魂の殺人でした。
その手紙と、伊藤詩織さんのお返事から、回りの様々な「安全な所にいる人」が被害者を誹謗中傷し、さらには「弁護士の資格のある人」が、何よりもひどい言葉を浴びせていることも知りました。伊藤詩織さんに対しては、「国会議員」の女性たちがひどい中傷をしたことは知っています。その人たちのひどい言動が、「日本では女性が女性の被害者を中傷する」と世界中で非難されました。はい、男性だけでなく、女性までもが、被害者を攻撃するのですね。
でもね、そうでない、被害者を心から支えたい、応援したいと思っている女性たちも、そして実は男性だって、少なくはないということも世の中に知らせたいなあとも思います。
先日の、私へのインタビューが掲載された中国新聞「オピニオン」を読んだからと多くの方から連絡を頂きました。その中に懐かしい、かつて警察官だった方からの電話もありました。
私はその方の携帯の番号を登録したままにしていました。おそらくその方もそうだったのでしょう。だから、直に電話を下さったのだと思います。もう何年も前に定年退職をされた方です。
事件があると、「先生~」と私の携帯に連絡がありました。夜中でも、お休みの日でも。電話があると、即クリニックに駆け付けて被害者の診察をしていました。その実直な警察官を私は心から信頼していました。それは、ある高校生が被害に遭ったというか、補導といったほうがいいかもしれません。世の中では「彼女が軽率だった」と非難されそうなことでした。でも、彼は彼女に被害者として真摯に向き合いました。そして、「この子のことは、学校には知られないようににしないといけない。学校に知られると、彼女は切られるかもしれん。」と。そのことがあって、私は彼を信用するようになりました。転勤で管轄が変わるとその管轄での事件があると、やはり連絡があるというのが、ずっとずっと彼の定年まで続きました。
新聞の記事の最後の私の「「いけんじゃろう」というのを読んで、あそこで私は涙が出ましてのう」と言って下さいました。
今、女性のレイプの事件があると、どうも、警察や検察では、「事件性があるか」「有罪にできるか」が優先して考えられているように思われます。「これは事件の被害者だ」と私たちが思っても、「抗拒不能」すなわち「どれだけ抵抗したか」「あらがうことができない状況にあったか」ということが有罪の条件だからです。中には、「被害届けも受けません」ということすらあります。被害に遭った人は、それによりさらに傷つけられます。「門前払い」をされた被害者が、納得できないと、改めてワンストップの弁護士さんと共に申し出ると、実はその加害者は、それまでとんでもなくたくさんの事件を犯していたということが分かったということもありました。
真摯に被害者の話を聞いてくださるという、そういう姿勢を持った昔ながらの実直な刑事さんとのやり取りが懐かしく、電話を頂いてとてもうれしかったのです。
実は、その刑事さんに、私はとんでもなくご迷惑をおかけしたことがありました。私の大失敗なのですが、それは、女性のレイプ事件ではないので少しずれますので、また改めてめてその件のことをお話しますね。
今日の平和公園の桜です。だいぶ咲きました。この頃、毎日少し遠回りをして、桜を見ながら出勤しています。今日は小雨ですが、まだ花が散るほどの雨ではありません。ちょうど私たちのお花見の火曜日が満開になりそうです。
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