七生養護学校の性教育とバッシング
もう少し、昨日の講演から。
障がいのある人の性教育の原点は、何といっても「七生養護学校」と思います。ここの先生たちが保護者と一緒に教材も作りながら取り組んだ学習。その取り組みが記されている本は、もう絶版になってなかなか手に入りません。私は何とかアマゾンで手に入れて、宝物にしています。
素晴らしい教育、そもそも自己肯定感が低い子たちに、自信をつけてもらうこと。体や自分の命を学ぶこと・・。手探りで行われた七生の性教育、やはり障がい児の性教育の原点がここにあると思うのです。
体の発達を学ぶための「家族人形」。体の実物を見せるわけにも行かないので、その人形を使ってお父さんの体。お母さんの体、それに、お姉さんや赤ちゃん、それぞれの体を学びます。
それを、突然学校に入ってきた都議、区議、新聞記者たちが持ち去りました。そして、新聞には「まるでアダルトビデオの様」と、こんなに下半身を裸にして並べて、写真を載せました。
この人は、国会で「この人形を使って性技術を学ぶのです」と、大ウソを言いました。
なにが「性技術」でしょうか。こうして、2003年の性教育バッシングが始まったのです。
今も、この時のことを思い出すと涙が出る思いです。私でさえそうなのですから、七生の先生たちは、いかばかりだったかと。
知的障がいのある男の子がズボンの前から性器を出しておしっこをすることなかなかできず、ズボンもバンツも全部おろして、お尻を丸出しにしてする。その子たちに、ズボンをはいたままでおしっこをするのを教えるために、先生たちは、ペニスがついたタイツを作りました。それをはいて、ズボンの前からおしっこをする方法を教えました。それもわいせつな教材とされたのです。
というような話を動画も含めて、お話しました。
それから、「プライベートゾーン」を早くから教えてほしいということ。マスターベーション、それは決して罪悪視しないで。「場所と時間」を決めて、それを丁寧に教えてほしいということなども。
後で、これらのことが、本当にそうだと思ったとある先生から言われました。
余談ですが、私の父が当時のろう学校(今は特別支援学校ですが)の校長をしていた時、春休みに子どもたちの家庭訪問に行きたいからという父を車に乗せて回ったこと等の話をすると、今の校長先生等がびっくりされていました。久々に、父は子どもたちをとても大切にする教師だったなあと思い出しました。
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