吉村泰典先生の講演
一昨日の木曜日、夜は臨床産婦人科医会でした。講師は、吉村泰典先生。慶應大学名誉教授、内閣官房参与、福島県立医大副学長。なんと、タイトルが「女性が健やかに輝き続ける社会を目指して」!!それに「副題が-月経がもたらす女性活躍の弊害とは-」だったのです。うーん、全ての女性が輝く社会づくりとは、安倍首相が言ってきている空虚な言葉。内閣官房参与の先生が、現実の女性の姿と解離したこの嘘っぱちをどう話されるのでしょう、と疑問を持ちながら参加しました。
右のこっち向きは座長の広島大学の工藤教授、左のこっち向きが吉村先生。産婦人科は大分女性の意思が増えたと言っても、またまだ男性社会ですね。
吉村先生のお話しは、思いのほか、良かったです。もう臨床を離れた先生ですので、事例でなく、統計が次々と出てきました。
女性の一生におけるホルモンの変化、それに伴うライフステージ、それぞれの障がい、月経不順、月経痛、PMS、そして、不妊。不妊治療、中でも対外受精の進歩、更年期、などなど。
中でも、問題は、少子化。女性が子どもを産まなくなったこと。結婚しなくなったこと。人口問題、高齢化の問題。子宮頸がん、予防ワクチンも含めて。それらの世界との比較。ずっと楽しく聴きました。で、本当は質問したかったのです。
「女性が子どもを産まなくなった事」。シングルマザーはいけませんか?と。だって、母子手当、母子医療について、配偶者との死別、離別で母子家庭になった人には出る手当が、シングルで出産した人には出ないという、びっくりな差別が堂々と残っている行政があるという事実。だって、男が逃げてしまってそのために母子家庭となって、貧しい中で必死で子育てをしている女性たちを何としてくれる!と、日ごろから怒っています。フランスが出産の減少をどうしようかとした時に、シングルで産む人をも手厚く支援するという方針を出した途端、出生率が増えたという事実もあります。そこに光を当てないと、と日頃から思っているのですが。
それから、もう一つは教育の問題。望まない妊娠を防ぐ、望んだ時に出産をするという、この基本的な教育、ピルについて伝えたくとも、性教育がまだたまだバッシング以来十分にできない今、これらを若い人に伝える機会が無いのです。性教育、パ―トナーとの人間関係を作るという、基本的な教育ができないこと、結婚生活は二人で作って行くもの、だって、今のままでは、家事や子育てはひたすら女性が担うものと思い込んでいる若い男性たちへの教育がされないと。文科省への働きかけはどうなのでしょうか、ということも聞きたかったですね。
そしたら、最後に吉村先生がおっしゃったのですよ。
森さんが少子化の最大の問題は、結婚しなくなったことだと言われたと。でも、これからはシングルマザーをちゃんと手当する事が必要だし、それに、夫婦別姓も認めないとと。別姓の強制は日本だけですよ。別姓であってもいいじゃないですか。と。
これを聞いて、思わず拍手しました。
まだまだ古い形の、父親が実権を握っている家庭を作ることを目指している自民党の方針は、もう、とっくに破綻しているのに。これからは、様々な形の家庭というものがもう作られ始めているのに、そこにしがみついている限り、この問題は解決されないということに気付き、方針転換をしていかない限り、私はこの問題は解決しないと思っています。
最期の吉村先生の言葉に100%納得して帰りました。問題は、それらの先生の意見がどれだけ政策に行かされるかという事ですね。
『河野美代子からだの相談室』
ここをクリックすると私の体の相談室と著書の販売があります。
ぜひ覗いてみて下さい。
| 固定リンク
コメント