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性同一性障害の方の診断書づくり

昨日の診療後は、患者さんの一人を待って、一緒に診断書づくりをしました。性同一性障害の方の性別変更のための診断書です。

その方に詳しくインタビューをしながら、子ども時代からの人生を振り返りました。本当にこれまで苦難の道であったことを実感しました。幼少時から、どうして(女らしく・男らしく)しなさいと言われるのか、その苦痛、思春期の自分の体に起こることを受け止められなくっての葛藤、更に、はっきりと自分の性は体と心が逆だと自覚して、その治療を受けたいと決心した時。両親にカミングアウトした時の両親の反応、反対。これまで沢山の方の人生に触れてきましたが、それらを文章にすることで、改めてその方の人生の道のりを実感したのです。どうぞこれからの人生が過ごしやすくなりますようにと祈ります。ただ、なかなか大変でしょう。とくに、恋愛や結婚・・。

 そして、やっぱり思います。なぜ、その方の体と心を戻すのに、手術まで受けなければならないのかと。性腺を取ること、絶対にその方の子どもができないようにすることが性を変える条件であるのかと。人権侵害ではないかと。もちろん、自分で自分の体を変えたいというのであれば、手術を受けてもいいでしょう。でも、それを条件としなければならないということがひどすぎると思うのです。

 それから、親ごさん。自分の子どもが、自分の性を変えたいと言われたら、それはそれはつらいでしょう。何人もの親ごさんにお会いしました。自分の子が「息子」、また「娘」のママでいて欲しいという気持ちを分からないでもないけれど。でも、子ども自身の人生をより豊かに生きて行くために、支援して上げて欲しいと思います。そんな簡単ではありませんが。もう、私が診ていた方でも、自殺してしまった方もおありです。そこに行くまでにどれだけの葛藤があったたことでしょう。それを止められなかった私自身をも自分で攻めています。

 そんなことを感じたひと時でした。二時間余りかけて、厖大な診断書が出来上がりました。

そのうち、その日にあった、とてもいやな出来事。まったく見当違いの男性からのクレームの電話を受けるという、ひどく不愉快な事を忘れることができました・・。いろいろな人と向き合わなければならないこの仕事です。できれば、いい人とばかりと向き合いたいけれど・・。好きな人ばかりと過ごすことができれば、人生、楽しいだろうなあと思いますが。

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頂いた大きな安納芋(広島産だそうです)を焼き芋にしました。これを食べて、今日は三次の中学生に話しに行きます。紅葉はまだかな?

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