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デニ・ムクウェゲ医師の講演メモ。

ムクウェゲ氏の講演を聞きながら、メモをしました。それを再現します。とてもつたないのですが、できるだけ忠実にお伝えしたくて。

写真は、講演後の主催者代表の渡辺朋子さんが挨拶をされている時の物です。

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講演があったのは106日。くしくも、1996年10月6日ムクウェゲ氏が勤務していた病院が襲撃された日、その日に今、私は広島にいます。

コンゴでは、1996年から、これまで作って来た全てが恐ろしく破壊され、ナショナリズム、ポピュリズム、テロリズムが横行し、無知、無関心を育んで来ました。今、世界に目を開いてもらわなければ。

広島の原爆のウランはコンゴで発掘されたものです。

レイプ、性暴力は、戦地では戦争の兵器として、支配の手段として使われています。強引で屈辱的な性暴力の被害を過少評価してはなりません。人間を物のように扱い、人間性を否定する行為です。

大規模に、組織的で整然として行われ、一晩で何十人も何百人も家族の目の前でレイプされています。武装勢力によるやり方、拷問は被害者を診ると、どの勢力によるものかがわかります。レイプの後、銃を性器に入れ発砲する、棒を突っ込んだり、割れたガラスを入れたり・・。

そして、性暴力は、直接的にだけでなく、間接的に被害者を増やす行為、安価で効果的な行為なのです。若い兵士の心は壊されて行き、大量の避難民を作ります。

目撃した人は激しい恐怖感を持ちます。男は家族を守れなかったと責められます。女も子も安全を求めて、追い立てられ、人口移動。人口は減少し、経済は破壊されます。畑は放置され、兵士ばかりとなり、資源を手にします。

性器の破壊は子どもを産めなくなる、不妊を作ります。性病もHIVAIDSの感染は世代を超えて広がります。感染児が生まれますし、レイプで生まれる子は社会から暴力を受け、コミュニテイーを追われ、暴力しか知らない生活を強いられます。

被害者には、包括的支援が必要です。医療、精神的ケア、経済的支援など。自尊心を取り戻し、人権意識を取り戻すためには、暴力の治療だけでなく、平和を訴えなければ。

それには、教育が必要です。幼児期から大人まで、男女は平等であるという教育をしなければ。

更に、被害者は加害者が処罰されることを望んでいます。コンゴでは、600万人が殺され、400万人の避難民が出、そして40万人の性暴力の被害者がいても、全く加害者は処罰されません。1996年から2003年までの間コンゴで起こったことが国連のレポートに詳しく書かれています。その再犯防止のためのレポートはいまだに全く実行されていません。

平和を守るためには、人権が守られなければなりません。

無関心でいないで欲しい。日本が新しい電子機器を作るときに、コンゴの違法に手に入れた鉱物でなく、合法的な物を使って頂きたい。

全ての人が尊重され、居場所が提供される社会であって欲しい。

質疑応答で。誰が真に罰せられるべきと思うか。経済時自立はどうなのか等の質問がありました。

国連の専門家がきちんと聞き取りをしたレポートには、誰が指示をしたかが、はっきりと読み取れます。はっきり名前が分かった人が今もコンゴで生活をしています。

住民が被害に遭っているのは、民族紛争でも、宗教的対立でもない。鉱物資源の取り合いで地域をめぐっての争いなのです。

コンゴでは、とても優秀なコーヒーが取れます。被害者の経済的自立のために、コーヒーの栽培をしたいのですが、畑には兵士がいて、レイプされてしまいます。そんな状況なのです。

 

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