性教協全国夏季セミナー3.前川喜平さんの記念講演
性教協の夏季全国セミナーの会開行事は、京都教育大学の講堂一杯、満員の人でした。何しろ記念講演は、前川喜平さん。私も、これが聞きたくて、土曜日の初めから参加できるように、診療を四方先生にお願いして来たのです。前川さんの話は広島で聞いたことはありますが、性教育について、それもあの時代、一体文科省に何が起きていたのか、それが聞きたくて。
東大卒後、文科省に入省。普通、キヤリアの国家公務員は、入省後すぐに、地方の管理職になって行きます。前川さんは、宮城県に行ったと。そこの教育委員の一人に産婦人科医の長池先生がいらっしたと。ああ、懐かしいお名前!当時、長池先生も私も地方で同じ様に養子縁組のお世話をしていて、共にシンポジウムで話していたりしていました。
その先生が、教育委員会で若者の性や性教育についてぜひ議論させて欲しいという希望を出されていたのがなかなかかなえられなかったと。やっとのことで、会議の中でなく、その後の懇話会で少しだけお話して頂きましょうとなって。長池先生は、データ等の準備をしてもって来られて丁寧にお話をされたと。でも、それはそれだけで、何ら議論されることも無く、聞いて終わりとなってしまって、とても気の毒だったと。
どうも、性教育バッシングの最中には、前川さんはユネスコ等の仕事をなさっていて、文科省の中枢にはいらっしゃらなかった様子です。
でも、教育の変遷について、とても丁寧に詳しく話して下さいました。今、政治の中で教育に何が起こっているかと。昭和二十二年に制定された教育基本法が、いかに変えられゆがめられて行ったか。新しい憲法の精神にのっとった旧法のすばらしさ。それに政治が介入できるようにし、教育勅語の復活を目指した改革。
道徳に導入が最近、とてもおかしなことになっていること。小学校一年生の「おはようございます」について。
正しい挨拶は次のうちのどれでしょう。
1.おはようございますと言いながらお辞儀をする。
2.まずお辞儀をして起きてから、おはようございますという。
3.おはようございますと言ってからお辞儀をする。
こんなのから正解を選ばせるという・・・。初めは確か道徳には点数をつけないと言っていたはずなのに、成績の評価がされるようになっている事も。
今、政権が狙っている国はどんな国なのか。天皇を頂きにしてのピラミッド。「まず国があって国民は国のためにいる」国。「国民がいて、その国民一人一人のために国がある」のが、戦後の方向であったはず。
家庭と国の在り方は相似形で、家庭は力を持った家長がいて、その下に妻や子どもがいる、そんな家庭を目指している。そんな家庭の集まりで国を作るのだと。だから、同性結婚は困るし、夫婦別姓も困るし、男女平等も困るのです。参議院選の前の党首討論で、同性結婚は認めると言ったのは、全て野党の党首たちだった、与党、自民党と公明党の党首だけ手を挙げなかったと。
だからこそ、性教育は困るのですね。性教育の基本は「男女平等」であり、カップルのコミュニケーションであるのですから。そういえば、七生養護学校の性教育をつぶし、この度足立区の性教育に再びクレームをつけた都議は「結婚を自分の意思で決められるようにした戦後の教育が間違っている」と毎日新聞の取材に答えたと。
今の社会、政治の構造がとても良く分かりました。そして、最後に代表が質問をしました。
「これから文科省は性教育をするでしょうか」と。
前川さんの答えは、「文科省という人格は無いのです。省がするのではないのです。でも、これから、文科省の役人が性教育を率先してすることはありません。今の政権は、性教育を望んでいません。それは、政治が変わらない限り、今の政権が続く限り変わらないでしょう。政権が変われば、文科省もすぐに変わります。」と。お答えは明快でした。
まだまだお伝えしたいことは沢山あります。性教協の全国夏季セミナーのご報告、とくに広島の分科会、模擬授業について、詳しくお伝えしたいのですが、今、沢山の事があります。少し時間を置いてまたお話しますね。
私は今日、診療後新幹線で東京に行きます。厚生労働省からお声がかかった、特別養子縁組についての会議です。これもまたご報告しますね。
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