少女の虐待死についての声明
野田市の小学4年生の虐待死。またまた、子どもの命が・・・。どんな思いで亡くなって行ったのか、それを考えると、胸が痛くて。私だけでなく、全ての人が胸を痛めていることでしょう。
あんなひどい虐待が行われているのに、その命を助けられなかった、それに、ここに来て母親まで逮捕されるていう事態に違うでしょう!!でした。
子どもの命がけのアンケートのコピーを父親に渡した教育委員会の対応がひどい・児相がなぜ一時保護を解いたのか・学校は、長期欠席していても、家庭訪問はしないのか、など、いろいろと言われます。私は、それはそれぞれそうだけれど、個々の問題だけではない。それらの責任は問わなければならないけれど、それだけではないと思います。
全てをひっくるめて、この社会が人の命を大切にしていない、現場では、人の命を大切にするだけの余裕もない、そんな政治が行われていることに、絶望観さえ抱きます。
昨秋、札幌であったシェルターネット全国大会に私も参加しました。その NPO全国女性シェルターネットが声明文を発表しましたので、それを転載させていただきます。
千葉県野田市DV・虐待事件についての声明 2018年2 月13 日 特定非営利活動法人全国女性シェルターネット
全国女性シェルターネットは、1998 年、サポートシェルター等の運営を活動の柱と する DV 被害当事者の支援に関わる民間団体の全国ネットワークとして設立されまし た。現在67団体がネットワークをつないでいます。団体設立当初より、年1回の全国 シンポジウムを開催し、 「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護等に関する法律」 の制定および3次にわたる法改正と関連諸法の運用改善に取り組んでまいりました。 女性と子どもに対するあらゆる暴力の根絶を目指す立場から、千葉県野田市の少女が虐 待死させられた事件について、以下の通り表明いたします。
一、この事件は典型的なDV犯罪です。 DVという暴力支配のある家庭では、直接・間接を問わず、家族の構成員すべてが暴
力支配にさらされます。とくに、子どもの被害影響には深刻なものがあります。 「DV
家庭には虐待あり、虐待の陰にはDVあり」。DVと虐待をひとつながりのものととら え、女性と子どもを連動して守る支援システムが必要です。
一、DV被害の渦中にある当事者が、どのような心身の状況にあるかを理解する必要があ ります。 DV被害は、別居や離婚など、支配の関係が変化するときに、最も過酷で危険な状況
になることが知られています。容疑者と妻は、一度離婚した後、再婚しています。以前
にも増して、DV支配が過酷になっていたことが容易に推察されます。DV加害者は、
妻が最も大切にする子どもを痛めつけることで、支配と拘束を強めていきます。こうし て、妻は子どもの虐待を止めるどころか、加害者の手足となって子どもを監視せざるを 得ない状況におかれるのです。 母親なのだから命に代えても子どもを守るべきだという神話は通用しません。暴力支 配下にある母親が子どもを守ることは至難の業なのです。
一、糸満市、野田市の関係機関は、DV虐待事案としての緊急対応を含む連携をとるべき でした。 糸満市と野田市双方の関係機関、学校、教育委員会、児童相談所、警察、市役所、医
療機関等は、DV被害に気がついていたにも関わらず、それぞれの立場からばらばらの
対応をしたことによって、母親と子ども双方の支援を実現することができませんでし
た。連携の欠如が、子どもの命を奪ったのです。これらの機関が、必死に助けを求める
子どもや女性の声を封じてしまいました。その責任は重大です。暴力の現場から、ま
ず、被害当事者を安全な場所に保護することが何をさておいても命を守るための優先課 題です。 親族からの訴えがあったとき、糸満市はDV被害者としての母親に対して、迅速に支 援を開始すべきでした。同時に、子どもたちの安全を確保すべきだったのです。 国は、DV虐待事案への連携対応マニュアルを作成し、周知・徹底するとともに、継 続的な職員研修を実施する義務があります。
一、 少女の母親は、まず、保護されるべきDV被害当事者であり、決して逮捕されるべき 容疑者などではありません。加害者による全人格的な支配の下で服従するしかなかった 被害者が、一方的に批難されることがあってはなりません。
一、 私たちは、今こそ国が、DV・虐待の根絶に向けて、DVと虐待を一体のものとして 対応する支援システムの整備と、DV防止法の改正を含む抜本的な制度改善への着手を 強く求めます。
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