広島・三菱の強制連行の実態②
韓国の政府の仕事として、日本による強制動員の経験を聴き、記録に残すという役目をなさっていた許光茂さんの話は、とても具体的で説得力があり、胸を打ちました。例えば、こんな風に。
『・・・訪問先のハラボジの自宅は典型的な韓屋(伝統的な韓国の家)の家で、開いた門から中に入ると、何匹とも知れない柴犬が檻の中から激しく吠えていた。小さい中庭には農機具や雑多な品が無造作に置かれていた。家の中から飛び出してきた息子さんが私たち訪問者を迎えてくれた。・・・こわごわと私たちを見つめる目。・・・ハラボジに付き添うように座っていたハルモニも遠慮勝ちに訪問者を観察する。その眼は不安を隠せずにいた。深く刻まれた顔中のしわが、いっそうハラボジとハルモニの不安げな気持ちを克明に語っていた。雰囲気を変えようとやや高い声で明るく挨拶の言葉をかけた。
「ハラボジ、アンニョンハセヨ。ハラボジの昔の話が聞きたくてソウルからやってきました。植民地時代の、その経験を聞かせてくれませんか」
しかし、その表情は変わらなかった。・・・』
それらの口述資料集は次のようにまとめられました。
生存者に共通するのは、やはり強引に連れてこられたという事。小学校に集まれと言われ、行くと、そのまま列車に乗せられて(それも、荷物用の貨車)連れていかれ、釜山から船に載せられたと。
10畳の部屋に10人詰め込まれ、食べるものはとても貧しく、いつも腹をすかせ、重労働をさせられたと。給料は小遣いにもならないほど。その半分は家に送ると言われていたのに、帰ってみると、全く送られてはいなかったと。
やはり、日本は朝鮮半島を植民地とし、その住民にひどいことをしたのだと、そこをきちんと見ることをしないと。今年の春、性教協の友人たちと釜山に行った時、日本領事館の前に合った徴用工の像です。その数日後、ここでこの像の撤去をしようとする政府・警察とここに置けという若者たちのぶつかりが報道されました。この像の、やせこけたあばら骨。ほんとうにお話の通りでした。
韓国大法院の判決について、明日述べます。
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