広島・三菱の強制連行の実態③
この度の韓国大法院の決定について。在間秀和弁護士と、足立修一弁護士のお二人が丁寧に説明して下さいました。
ソウル大法院は2018年10月30日、新日鉄住金に、2018年11月29日、三菱重工 広島機械製作所・造船所、名古屋女子挺身隊についての賠償金を支払うことという判決を出しました。
ここまで至るには、1995年、広島地裁に三菱重工と国に対して未払い賃金と慰謝料を求めて提訴してからの、被爆者である原告の方たちの長い闘いがありました。国際法違反、不法行為、安全義務違反、被爆者放置など。三菱は戦前の会社と今の会社は別会社であるとか、時効であるとか、国は国家無答責論、原爆3法は国外には適用されないとかで反論しました。
この裁判では、原告46人がどのようにして強制連行されたかなど、丁寧に事実の認定がされました。そして、原爆3法、被爆者援護法には国籍条項がないこと、どこにいる被爆者にも適用されるべきであると、被爆者に各100万円支払えという最高裁の判決が2007年に確定しました。被爆についての補償は、それなりに意味があったと。でも、強制連行・労働等についての補償がされるものではありませんでした。
三菱重工がある釜山では2000年に提訴されています。釜山地方法院→釜山高等法院→大法院判決において差戻し判決→高等法院判決→大法院判決という長い道のりでした。
このサンフランシスコ平和条約における「請求権放棄条項」について、日本政府は「外交保護権の放棄であって、個人の請求権は外交的保護の対象にはならず、そういう形では存在しうるものである」→個人請求権はあるという立場をとってきました。(1991年8月27日柳井条約局答弁・日韓請求権協定について)
また、西松建設中国人強制連行最高裁判決で、言っています。「サンフランシスコ平和条約の枠組みにおいても、個別具体的な請求権について債務者側において任意の自発的な対応をすることは妨げられないところ、本件被害者らの被った精神的・肉体的苦痛が極めて大きかった一方、上告人は前述したような勤務条件で中国人労働者らを強制的に従事させて相応の利益を受け、さらに前記の補償金を取得しているなどの諸般の事情にかんがみると、上告人を含む関係者らにおいて、本件被害者らの救済に向けた努力をすることが期待されるところである。」
これらにより、個人の請求権は残っているとするのが妥当だと完全に理解できました。問題は、数々の戦前、戦中、戦後においての、植民地化で多大なる迷惑をかけたことに対して、真摯に心からの謝罪が国家としてちゃんとなされていない、自らの過ちをしっかり認めていない、そこにあるとまた改めて思いました。
基調な学習の機会を与えて下さってありがとうございました。
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