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緊急避妊薬の処方、当院の統計を見て。

緊急避妊薬、ノルレボ錠の当院での処方、患者さんの統計を取っていました。大体の所が出ましたので、一部ここでお知らせしますね。

今年のなって、1月9日から7月13日までに緊急避妊薬を処方した方は、計77人でした。
年齢は16歳の高校生から50歳の主婦まで。

10代9人。高校生1。大学専門学校生7人。社会人1人。

20歳から24歳までが28人。大学専門学校生が11人、社会人16人、主婦1人。

25歳から29歳までが17人。社会人16人、無職1人。

30歳から34歳までが12人。社会人11人、主婦1人。

35歳から39歳までが3人。全員社会人。

40代が7人。社会人6人、内結婚している人3人。無職1人。

50歳一人。主婦であり社会人でもあります。

結婚している人が計5人。でも、このすべての人が夫との性での緊急避妊を求めているとは限りません。

風俗に携わっている人が3人。

そして、なぜ緊急避妊薬が必要であったかです。

レイプされて来た方は3人です。
コンドームが破れたまたははずれて膣内に射精があったという人が39人。
避妊をしなかったという人が35人です。


そして、緊急避妊薬を内服したのに妊娠した人が2人。2人とも、人工中絶を受けています。


緊急避妊薬は100%確実に妊娠を防ぐ訳ではなく、80~85%くらいの確率であると言われています。今回だけの期間で見ると、97.4%の防御率となります。その意味では、妊娠しても産めない女性にとって福音と言えるでしょう。


でも、77人の内35人、45.5%の人が避妊をしていませんでした。避妊をしなかったから、緊急避妊薬をアフターピルとして求めるというのは、あまりに悲しいことです。避妊をしたのに失敗してしまったと言うのであれば、仕方がないことですが。


私は、アフターピルは一回だけのもの、今後の避妊はどうしましょうかと問いかけます。結局は多くの方に低用量ピルをお勧めします。そうすれば、破れようが外れようが、ナシでしても、あなたの方で防衛できるのだから、と。でも、アフターピルに引き続いてOC(低用量ピル)を飲んでいる人は77人中19人しかいらっしゃいませんでした。


もう少し、せめて一年間の処方についての統計を取って、近々の学会で発表しようと思っています。
しかし、それにしてもコンドームが外れたり破れたりという人がどうしてこんなに多いのでしょう。日本のコンドームは、とても性能が良くって、そう簡単に破れる物ではないのですが。破れたり外れたりという人は、コンドームのつけ方が良くないのではないでしょうか。しっかりトレーニングをすべきでしょうね。私は、患者さんに、彼に岩室先生の「コンドームの達人」を見てもらってと言います。でも、そのコンドームの達人が「年齢確認のためにログインしてください」とあるのは、とても残念です。こんな動画こそ、若い人たちにしっかり見ておいてもらいたいのですが。


Photo

世界の中で、とても遅く、2011年にやっと日本で認可されたノルレボ錠ですが、その価格が他の国に比べて、なぜ高いのか。これも何度もいいましたが、これは認可するのに反対する宗教団体を中心とした、金と票を持っている人達の政治的動きによるものです。低用量ピルも、子宮頸がん予防ワクチンも、それらだけでなく、性教育に反対して、いまだに中学校での避妊を教えてはならない、文科省の指導要領を作らせたのも。この人達の動きによって、日本の女性行政が動いているという現実を何とかしなければと思うのですが。でも、この緊急避妊薬のジェネリックが認可されそうという情報もあります。一刻も早く安い薬が出てほしいと思います。今の15000円という金額では、若い人はなかなかつらいでしょうから。

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