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「先生、ハグして」

昨日の診療中、一人の人から後で話があるとナースからの伝言がありました。彼女は、性的違和で、手術もすみ、裁判所での決定も出て、戸籍上は女性になっています。でも、手術の後がよくなくって、ずっと処置が必要で、定期的に通って来ています。その処置をして、暫く休んでいる時の伝言でした。

いいよーといい、彼女に診察室に入ってもらうと、彼女が言いました。

「先生、ハグして」と。私は、即座に立ち上がってハグしました。「孤立感が半端なくって」と言いました。彼女はかつて恋愛をし、パートナーと一緒に来たりしていましたが、それがその内破綻して傷心であったのを知っています。それは彼女にとって、決定的と言える程のダメージを与えました何もできなくなって、診療内科に通いながら、今、やっとすこーしずつ元気が出てきた所です。

失恋については、本当に何もしてあげられないのです。どうしてあげたらいいのか、いろいろと考えたこともあるけれど、これはどうにもなりません。自分で乗り越えて行ってもらうしかないのですね。

特に、性同一性障害で性を変えた人、何よりつらいのは、子どもを得ることができない事。FTMの人は、彼女に精子を提供する人がいてくれれば、二人の子を得ることができます。そうして子育てをしている、とっても幸せな方も私のクリニックにもいらっしゃいます。いつも、彼女と子どもの三人で来られます。

でも、MTFの方はとてもつらいです。

日本の法律では、性腺を取ってしまわないと性別を変えることはできないことになっています。それは、即、自分の子を得ることをあきらめなければならないことになってしまいます。これは、とってもひどいことで、私は人権侵害だと思っています。不妊になることによって、やっと自分の本来の性になれると言うのですから。

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勿論、彼女の失恋やその後のつらい状況が子どもができないという事だけが原因ではではないかもしれません。それでも、彼女は「子宮移植」の新聞記事をもって来たりして、何とか自分の思いを将来実現できないだろうかと、心中苦闘していたことを知っています。

正直、今の私が何をしてあげられるのか分かりません。

帰る前に、「先生、もう一度ハグして」という彼女を、しっかりと抱きしめました。私にできることはこんなものです。




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