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特別養子縁組・性教育バッシング

 特別養子縁組をする予定の実母とそのお母さんと、養親予定のご夫妻が対面しました。それまでずっと泣いていて、目がはれ上がっていた実母。やっぱり養親予定の夫妻にあった時も泣き出しました。でも、泣きながらご夫妻をじっと見て、「優しそう」と言いました。

ご挨拶をして別れた後、「もう泣かない」「安心した」と言いました。めっちゃいい人そうだったと。

これまでの彼女親子の苦しかった道のりを考えると、私も泣きそうになりました。

赤ちゃんは、絶対に幸せになってもらえる。そんなご夫婦だと思うよ。私は、あなたにも、絶対に幸せになってもらいたいからね。そして、いつか自分で育てられる赤ちゃんを産もうね。

そんな話をしました。彼女の苦しみは、これから長い時間をかけて、ゆっくりと癒えて行くことでしょう。

そして、今、胸にあるのは、実父のことです。男は今、こんなことが起こっていることは知らないでしょうよ。自分がしたことの結果は女性が一方的に引き受けなければならないこと。男は、何にもしないで、何一つ変わることなく、これまで通りの生活を続けることができるのだと、そんなことが胸を締め付けます。

だからこそ、私は男性たちにもちゃんと性教育を受けてほしいのです。

私が「さらば悲しみの性」以来、ずっと言い続けていること。

「身ごもる性を持っている女は自分の体に責任を持て、身ごもらせる性を持っている男は彼女の体に責任を持て」

これを義務教育に内にちゃんと伝えておきたいのです。

「中学生に妊娠や避妊を教えるべきでない」という、本当にバカな方針をこの国の文科省の指導要領が決めているのですよ。

中学の指導要領によると、性感染症について教えることになっていても、「性交」も「セックス」という言葉は使わない事。性交もセックスも言わないで「性感染症」を教えよという、まるでブラックジョークなのですよ。「性的接触」ですべて教えよと。

「性交」だの、「セックス」だのという言葉で生徒が「そそのかされる」のだそうです。本当にばかばかしい。この社会には、そそのかされることは巷にうんとあふれていますよ。それらやアダルトビデオにどっぷりとつかって、まともな知識さえも持たないままにエリート大学生になり、集団レイプをし、「セックスと言うのは、そういうものだと思っていた」という、数々の事件をどう考えるのでしょうか。

それどころか、有名ジャーナリストでさえ、本人の意志を確認することなく、すなわちレイプをし、それを権力の圧力を使ってつぶすということさえ、起こっているのですね。

もっとも、今、あの七生養護学校へのひどい介入から起こった激しい性教育バッシングの頃、「〇〇小学校で性教育をした」と新聞に立て続けに出ていた頃、そのころに比べて、すこーし状況が変わってきているとの実感はあります。

足立区の教育委員会のように、指導要領ではなく、「子どもたちの生きる力をつけるために」性教育をと考えて下さる教育委員会や学校長がいる所だけ、子どもたちに伝えることができる所まで来ました。

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今年も依頼がある限り、講演に出かけようと思います。もちろん、依頼を受けた後から「セックスという言葉は使わないでください、避妊は教えないでください、中絶はしっかり脅してください」という注文が入ることがあります。そんな所には、もちろん行くことがができません。

今回の都教育委員会の圧力を考える時、一方で絶望的になりながら、一方で、かすかな希望を持ちながら、頑張り続けるしかないと思うのですね。今年も、新版さらば悲しみの性の増刷の知らせが来ました。ありがとうございます。

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