私が特別養子縁組のお世話をする理由①
「いよいよ4月1日から特別養子縁組の新しい法律が施行されます。これまでの届け出制から許可制に変わりますが、今後も続けられるつもりでしょうか」と。
「半年ほど経過措置の期間があって、その間はあっせんをこれまで通り続けてもいいことになっています。」
はい、お知らせありがとうございます。今も新しい方のお世話をしている所で、たった今、病院から帰って来た所です。これからも続けさせて頂きたいと思っていますのでよろしくお願いします。とお答えしました。市の方は「ありがとうございます」と言って下さいました。
そして、改めて、どうして自分はこれを続けようと思うのだろうかと考えました。自分でなければだめなのは何故かと。
その直前の養親になる方との会話がずっと気になっています。
私は、私の患者さん、私自身がずっと接してきた人の養子縁組しかしていません。彼女と家族が、産まなければならないとなった時に、どれほど大変かを見ています。本人が妊娠を自覚した時、速やかに誰かに相談できていれば、ここまで追い込まれなくとも済むのです。でも、多くの女性が一人で悩み、一人で抱え込んでしまいます。
やっと病院に来た時には遅すぎる、もう産むしかないとなった時、ほとんどすべての女性が「自分で育てたい」といいます。この時に相手の男性が二人で育てようと言ってくれたら、なにも問題はないのです。でも、それがかなわない時が問題なのですね。
自分で育てたいと言うときには、周りの大人と共に、自分で育てる方法を考えます。しばらくは施設にあずかって頂いて、そこに会いに行って、自分が自活できるようになったら引き取って、自分の所で一緒に生活しようかとか。
大人の方たちは、とても育てるのは無理だと言う方がほとんどです。それを丁寧に、一緒に考えていきます。焦って決めてはいけません。押し付けてはいけません。しっかりと時間をかけて、本人自身が結論を出すように。周りの方たちは、根気強く説得しなければなりません。
本人が、「自分で育てたいけれど、自分では、子どもを幸せにできないかもしれない」となった時に、養親に託そうかと考えはじめます。それは、決して子どもを「捨てる」ことではないのです。「自分の赤ちゃんが幸せに育つために」「どうするのが一番いいのか」と考えるようになります。
赤ちゃんが生まれる前には、ほとんどしっかり心が決まっています。揺らいでいる内や、決められないうちは、養子縁組を決めてはいけません。自分自身で決める事。それは、実母が今後立ち直って、しっかり生きて行くために必要なことなのです。決められなければ待てばいいのです。いつまででも。
無事生まれた後には、会いに行って、「気持ちは変わらないか」の確認をします。もし、その時点で気持ちが変わって、やっぱり自分で育てると言えば、それはそれでいいのですね。養子縁組はキャンセルすればいいのです。みんな泣きながら、やっぱり養子縁組をお願いしますと言います。
自分が長い間お腹で育て、大変な陣痛を乗り越えて産んだ赤ちゃんを手離す、それは大変なことなのです。決して、簡単に、喜んで手離す訳ではありません。
養親になる方たちは、その手離す彼女の心情を汲んで欲しいのです。思いを馳せてほしいのですね。
その上で、「産んで下さってありがとう。大切に育てますね。」という気持ちを持ってほしいし、そう表現してほしいのですね。
ありがとうという感謝の気持ちをもっていますか?と、昨日、私は養親の予定の方に言いました。それは、養親予定夫妻と、実母とそのお母さんとの面会の時に違和感を持ったからです。
その時に、びっくりなことを聞きました。
この項、続きます。今日は診療後東京に行きます。明日朝から性教育の会があるのですが、途中抜けて、新しい養親希望の方の家庭訪問に行く予定です。
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