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福島の子どもたちの甲状腺がんについて

今年初め、ミニコミ紙「未来」に書いた原稿です。すでに掲載されてひと月経ちましたので、未来の読者以外の方にも読んで戴きたくて、ここに転載しますね。

私は、原稿でも講演でも、「人」の顔が見えることを原則にしています。ですから、理論詰めではありませんが、私がお会いした方々の事を中心に書いております。忘れられがちになっている福島の子どもの甲状腺がんについて、今もご本人たちには大変に重いこととして続いていることを知って頂きたいと思います。

2011311日の東北大震災の影響による東京電力福島第一原発の炉心溶融などの事故により、大量の放射性物質が放出された。IAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書では、放出したセシウム137の量は大気中だけで広島原爆の168発分にも及ぶ。

 広島の原爆でも、また、19864月のチェルノブイリ原発の事故からも、その放射線を浴びた人、特に子どもたちの健康への影響が考えられた。
 チェルノブイリで真っ先に起こった子どもたちの体への影響は、甲状腺がんであり、福島でも当然それが心配された。
 
国や県は、人々の動揺を抑える目的か、「心配ない」キャンペーンを繰り広げた。長崎から駆け付けたか要請されたか分からないが、山下俊一氏はあちらこちらで講演を行った。
「山下氏の講演を聞いてね、なあんだ、心配ないんだってね、それまでしていたマスクも外して、外でも平気で遊ぶようになったの。」
その一方で、福島県は全子どもの甲状腺検査のプロジェクトを立ち上げた。研究者として、またとない絶好な機会が訪れたかのように。そして、全国の甲状腺学会のドクターたちに「甲状腺学会会員のみなさまへ」という通達を山下俊一氏と県立医大の鈴木真一氏の連名で送った。福島の子どもたちが受診しても、診察をしないで、福島県立医大を受診するようにと説得してほしいと。
 
私たちは、広島の地において、民間グループで福島の子どもたちの一時保養を呼び掛けた。広島では、山下氏などの通達を気にしない、気骨のある甲状腺の専門医がいる。広島に来た時に、そのドクターの診察も受けることをセットにした保養である。
 
2012年早春から始まって、春、ゴールデンウィーク、夏、冬の休みに、受け入れをしている。子どもたちの中には、甲状腺に異常が見られる子どもも何人も現れ、時間をあけて受診、検査を継続するようになっている。
 
中には、子どもの異常に耐えられず、福島から広島県へ母子で移住をした人もいる。
 
福島県の検査は、現在三巡目となっているが、県民調査報告書による発表では、2017930日現在子どもの甲状腺がん及び疑いは194人と。(疑いというのは、手術の結果良性腫瘤であった者が一人。その他はすべてがんであった)また、1225日に開かれた検討会では一人の委員の病院で手術をしたがんの一人が、統計に含まれていないことが判明したという。委員の追及には、県立医大以外でがんが判明し、手術を受けた者はデータに含まれていないとういう。
 
広島でも、福島県の二巡目の検査で異常なしと言われたにもかかわらず、その半年後にリンパ腺転移までしている進行性の甲状腺がんが見つかり、手術を受けた人がいる、その人は福島県の統計には入っていない。
 
山下俊一氏は20093月の講演で(日本臨床内科医会開始23巻第2号に掲載)次のごとく語っている。
「チェルノブイリの20万人の子どもの大規模調査、事故当時010歳の子どもに、生涯続く甲状腺がんのリスクがあることを疫学的に、国際的な協調のなかで証明することができました。
一方、日本では思春期を超えた子どもの甲状腺がんをまれにみるくらいです。その頻度は、年間100万人に1人と言われています。これは、欧米、日本ほぼ変わりません。」
 
そう言っておきながら、今だに山下氏や県民調査の委員会は、「甲状腺がんは、原発事故によるものでなく、過剰診断によるもの」との姿勢を持ち続けている。医師としての信念があっての姿勢とはとても思えない。国や東電へ将来的に保障を求められる可能性を配慮(忖度?)してのことであろうか。
 
広島への保養の際、平和公園でのドリミネーションの写真を撮って文章とともに提供して下さった方がある。そのうちの一枚、もみじの電飾の写真への文。
「広島のもみじは、暖かな子どもの手をイメージさせてくれます。放射線から子どもを守るため、仕事や家を離れる…簡単に考えられない多くの問題に頭を抱える日々です。放射線を口にすることがタブーとなってしまった福島。健康被害が増加している中で、ホットスポット・福島市〇〇地区は、除染が終わっても、山があるため線量が高いままです。」
お城の写真と共に
「本来の家のイメージだと思いました。私たちの住む家は、色を失くしてしまいました。家の中まで線量が高いため、今でも二階にあまり上がらず、多くの物を処分。長年、少しずつ作ってきた庭の植物も花も除染によって、全て無くなりました。子どもを守るために、環境に悩む日々が今でも続いています。」
 
この方の子も、甲状腺に針を立てて検査することになってしまった。まだ小学生の男の子が、「被曝しているから福島の人としか結婚できないんでしょ?引っ越しても福島ってわかるかな。」と聞いてきたとのこと。
 
ましてや、甲状腺の手術をうけ、一生甲状腺ホルモンを飲み続けなければならなくなった青年たち一人一人の苦悩は切実なものである。
 
今、必要なことは、検査を望む所で無料で受けられるようにすること。治療が必要な場合は、それも望む所で、無料で受けられるようにすること。一生に渡る保証を東電がすること。そして、二度とこのような子どもたちを出さないように、全ての原発の廃止を求めることは当然である。』

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