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産婦人科の現場から、年末年始を通して①

今年もあと二日。今年の総括を書かなければと思いながら、時間か経ってしまいました。私は喪中でお正月もありませんので、年末から年始にかかりますが、ちゃんというべきことを言っておこうと思います。

安倍政権の数々の横暴、原発の事なども言いたいこはありますが、これは沢山の人たちが言って下さっているので。私は私の持ち場の範囲でお話をしようと思います。

産婦人科医療の現場では、性教育はやはり全くダメと言わざるを得ません。それも、大人がいけません。

詩織さんの事件が世に問うたように、現場では、性暴力がひきも切らず起こっています。薬物を使ってのレイプ、それから幼児に対する性暴力。目を覆うばかりです。

事件とならなくとも、とても貧しい性がはびこっています。性をどうとらえているのか、カップルで、お互いをいとおしみながら交わすことの喜びなど、無縁のような性を実行している姿に愕然とすることしばしばです。

あるカップル、十分過ぎるほどの大人同士です。まったく避妊のない性を続けており、当然のごとく彼女は妊娠。その彼女が私に

「親がとても厳しいから、言えません」だそうで、中絶を希望しました。
その後付き添って来た彼は、
「順番が違いますから」とのたまいました。私は切れましたね。

「順番が違う?違うことをしたのは誰ですか?違うのなら、違うことをしなければいいではないですか。それに、避妊とい手段があることくらい知らないですか?避妊しないでセックスすれば女性は妊娠することくらい、中学生でも知ってますよ。どうしてコンドームを使うことくらい、しないのですか?」

彼女も厳しい親に育てられて、してはならないことだと思うのなら、しなければいい。しようと思うのなら、なぜ避妊をくらい言わないのでしょう。

ある、緊急避妊を求めて来た高校生、受験生です。緊急避妊の薬を処方し、その場で飲んでもらいました。そしたら、言いましたね。

「このことは、親に言いますか?」

だそうです。誰が?どうして?

先生やこの人達が、と、ナースたちを指さします。

また、私は切れましたね。私たちは、守秘義務があります。わざわ連絡するなんてことはしません。そんなことを聞くのは、とても失礼なことですよ。親に知られて困るのなら、困ることはしなさんな。

このように、親が厳しいことは、若者の行動の歯止めにはなりません。厳しいという事の中身の問題です。ただただセックスしてはいけません、では何の役にも立ちません。まだ妊娠しては困るのであれば、避妊という方法があることをちゃんと伝えなければ。これは、男の子を育てるにも必要なのです。

ある高校生のカップル。二人とも、国立大学を目指して頑張っています。私は、彼女の生理痛がひどいこと、それに避妊も必要であることを考慮して、ピルを出しました。それを飲んでいることを知った彼の母親がその薬を調べて、

「こんな薬は高校生が飲む薬ではない」

とやめることを彼女に言ったと。彼女からそれを聞いて、彼の母親に「では、息子さんにちゃんと避妊をするように厳しく言っていますか?」と言いたかったですね。もちろん、守秘義務があるので言えませんが。

まさか、高校生同士で勉強も頑張っているカップルがセックスもしているなんて知らないのでしょうね。


親が厳しくすることの抑止力なんて、こんなものです。親は子育ての中で、どう性教育していけばいいのか、このブログでもさんざん言ってきました。今、学校現場での教育は後退していて、学校に期待することも無理。

まったく教育されず、まるで野放しでエリートの大学生になっての、慶応、東大、千葉大学医学部などの集団レイプや、詩織さんの山口氏のデートドラッグレイプの犯人などの姿を私たちはしっかり見なければなりません。大学生の彼らが、「セックスなんて、こんなものだと思っていた」と言ったのを報道で見て、背筋が寒くなる思いがしました。彼ら自身の人生も棒に振ることになるのではないでしょうか。

別府の我が家の庭のレモンがもうすごいことになっています。前回帰った時に沢山採ってスタッフみんなに分けたのですが、まだまだざっと数えて200個近くあります。私の父が亡くなった時に父の思い出として植えたレモンです。来年早々に父の二十周年のお祭りです。


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